- デッキレシピ
- 《聖霊龍王 アガピトス》と《神秘と創造の石碑》
- 緑は不要?
- 採用した緑のカード
- 白で言及すべきカード
- 超次元
- 緑で検討して入らなかったカード
- 【白単サザン】にあってここにないカード
- プレイング・対面所感
- おわりに
デッキレシピ
2023/11/18, スペルサイクリカカップADマスター。 戦績26-12。基盤が強かった。
《聖霊龍王 アガピトス》と《神秘と創造の石碑》
《龍アガピ》は《石碑》適性が高い。 自己軽減が効くため、《石碑》を唱えたターンに召喚することが難しくない。 また、《石碑》で2体目を出すと1体目の最小タップが起動し、スムーズにタップキルに移れる。
今まで数多くのクリーチャーに《石碑》を適用してきた石碑オタクとしては、これに手を付けないという選択肢は無い。 22弾初期の頃から注目していたのだが、パックからなかなか《龍アガピ》が出てくれず構築できなかった。 前期のランクマ報酬で22弾を天井し、シクverの《龍アガピ》を交換してようやく構築の挑戦権を得た。
語りかけたところで話の腰を折るようだが、正直なところ、《石碑》《龍アガピ》はオーバーキルだ。 この2枚を同ターンにプレイできるほど《龍アガピ》のシンパシーが効いているなら、盤面は十分展開できているはずである。 その場合、《龍アガピ》を2体立てても、盤面制限の都合で踏み倒しが上手く機能しない。
さらに、《石碑》によってデッキの動きが拡張されるわけではない。 《石碑》で可能になるのは物量展開。気まずいことに、【白単サザン】にとっては既に得意な分野である。
つまるところ、《石碑》投入は趣味の域を出ないカスタムである。 石碑オタク以外には特段勧める理由が無い。
緑は不要?
《石碑》を使うには、【白単サザン】に緑を混ぜ込むことになる。果たして、それは有益なのだろうか。
【黒単ウルボロフ】には、積極的に緑を足す理由がある。《ズカズッカ》《未来設計図》が、【黒単】の欠陥を補ってくれるからだ。
一方、【白単サザン】には色を加えるモチベーションが乏しい。シンプルに、単色でも十分すぎるデッキパワーがあるからである。むしろ、下手に色を足すと本来の動きが阻害され、デッキパワーが損なわれてしまうだろう。
趣味で《石碑》を使うとはいえ、基盤はバリバリの環境デッキ。多少使い勝手が劣るのは仕方ないにしても、緑カードをプレイする機会が全く無いようでは、ガチデッキを無為に弱くしただけのゴミになってしまう。緑を入れる弊害を最小限に抑えつつ、できれば《石碑》以外にも緑の役割を持たせたい。
採用した緑のカード
《霊騎幻獣ウルコス》
白緑の3コスト以下で唯一採用価値がある。 ただ、cipで確実にアドを取るなら《ピカリャン》が、相手に追いつきたいという意図でのブーストでは《バロンアルデ》がいる。 緑入りなら間違いなく4枚入るが、意外と独自性は小さい。
《超次元フェアリー・ホール》
独自性という意味ではこっちが本命。主に《アンタッチャブル》を2体撒く。
通常の【白単サザン】の欠陥を強いて言うなら、アドバンテージ源が《サザン》《龍アガピ》に集中していることである。 これらを展開する前に盤面が半壊した場合、立て直すのは非常に厳しい。 【白単サザン】は先攻依存性が高いと言われるのもまさにこのため。相手の《吸い込む》《リュウセイホール》《鬼スナイパー》などが間に合ってしまうと、ロクにアドを取れずに撃沈してしまう。
そこで《フェアホ》は、ブースト+2体展開により、単体で2アド取ることができる。 《アンタッチャブル》は除去されにくいため、小型処理が得意な相手にも強い。そこから《サザン》《アガピ》に繋ぐことができれば、ジリ貧を脱してなんとか試合を続行できるだろう。
序盤の爆発ムーブを少し弱め、《フェアホ》で後ろ寄せにするのが緑入りの特徴である。
実は最初、日和って2積みにしていた。 全く《石碑》《龍アガピ》が決まらなかったので、マナを増やすべしとヤケクソで4枚積んだら、これが上手くハマった。
《神秘と創造の石碑》
一生擦ってる。 《石碑》と組み合わせたくなるのは、①軽減やG0で簡単に召喚できる ②2体以上出すことに価値がある のどちらかを満たすカード。《龍アガピ》は両方に該当する。
先程も指摘した通り、《石碑》《龍アガピ》はオーバーキル気味なのだが、予想よりは実用的な範囲で決まってくれた。
都合よく引いてくれば良いので3積み。多色枚数をなるべく抑えたいという気持ちもある。なんなら2枚でもいいかもしれないが、そうなると緑の合計枚数が足りなくなりそう。
《父なる大地》
【白単サザン】に無い確定除去。 《オリオティス》と組み合わせて相手の高コスト獣を引っ張り出せれば、実質《Nトラ》になる。除去対象がサイキックなら実質ランデスだ。
はじめは、これが緑の特色になると思って4積みしていた。しかし驚くほど全く機能しなかったので、大幅に減らした。4積み時代からカウントしても、一度もプレイしていない。
ブーストが上手くいくと妙にマナが伸びることがあるので、それに期待して《グローバル・ナビゲーション》を入れる方がマシだと思う。
緑の枚数
緑は全部で12枚。 初動を緑に頼る構築の場合、少なくとも緑を16枚程度積むべきである。しかし今回は白の小型獣が充実しているので、必ずしも緑のカードからプレイするとは限らない。 3t《ウルコス》できたらラッキー、5t《フェアホ》で初めて緑を使うのでも十分、3コストブーストには最悪《バロンアルデ》もある、といったマインドで運用すればいいと思っている。
緑単色は5枚。 《龍アガピ》のマナ武装を達成しやすいように、その邪魔になるカードは抑えめにしている。 《フェアホ》x2《父なる大地》x4の時代は、しばしばマナ武装に失敗していた。 《フェアホ》4に《バロンアルデ》まで積んだことでマナが溜まりやすくなったので、緑単色も6-7枚くらいにまで増やせそうな感覚はある。
白緑多色が7枚。 【白単サザン】は序盤からマナをぴったり使い切るように動くので、多色事故は致命傷になる。 多色枚数はできるだけ抑えたい。
白で言及すべきカード
白単色で4積みしているカードたちについては、枚数をいじるべきではないと判断している。
《エバーローズ》x3
中コスト帯に《フェアホ》を導入したことにより、その引き換えで-1。 《石碑》《龍アガピ》すると盤面が埋まりやすいので、盤面食いのドラグナーは活躍させにくい。とはいえ《龍アガピ》の貴重な当たり枠なので、2枚にはできない。
《ソルハバキ》x1
2コストはなんとなく9枚積んでおきたかった。 《ウルコス》《フェアホ》でマナ落ちしたカードを拾いたいことを考えると、普通の【白単サザン】以上に役割が多い。仮に4積みできるなら、《石碑》で増殖させると実質0コストになるのも面白いとは思う。しかし、とにかくスペースが無い。
《バロンアルデ》x3
《ウルコス》を6-7枚積みたいなぁ……と心の中でボヤいた時、コイツがいたことを思い出した。 同時に「緑の意味とは……?」と錯乱した。 《ウルコス》4のみだと《フェアホ》の5マナが遠く感じたので、必要であることは間違いない。一方、ブーストが不安定なので4は要らない印象。
《DNA・スパーク》x1
《父なる大地》《バロンアルデ》あたりとのスペース調整枠。 普通の【白単サザン】には3-4枚入っているので、マナに置いておくと、相手が「見えない《スパーク》」を警戒したプレイングをしてくれる(2勝)。 見せれば相手のプレイを歪め、見えていなければシールドに期待して頑張る理由になる。ご都合でも1枚は入れておきたい。
超次元
《石碑》《バーロー》の可能性があるので、《パーフェクト》x2。
《フェアホ》からのバラマキで《チャブル》x2、SAの《勝利ガイアール》、ごまかしの《勝利プリン》。
《サザン》《バーロー》で簡単にひっくり返るので《マティーニ》。
あと1枠しかないので、とりあえず《四つ牙》を入れた。
割と《ジオザマン》が欲しいシーンが多かったので、要検討。
緑で検討して入らなかったカード
《グローバル・ナビゲーション》
先述のように、《父なる大地》の代わりに入れたい。あまり使わない未来も見えるが。
《未来設計図》
【黒緑ウルボロフ】では、暇な2マナ時に《未来》を撃ち、3コストのナイトメアを用意する動きが強かった。切り札の《ウルボロフ》《インザダーク》を持ってくるのにも重宝した。
これに対して【白緑サザン】では、2コストの枠は既に軽量白クリーチャーで埋まっている。 切り札にしても、《ウルボロフ》を引かないと始まらない【ウルボロフ】とは違って、《サザン》《龍アガピ》のどちらか(もしくは《エバーローズ》)を引けば十分立ち回れる。 その場で引いたカードを、マナを使い切るようにプレイしまくるのが【サザン】の特徴である。《未来》で手札の質を上げる動きは噛み合っていない。
……と決めつけて、実際に使ったことがない。《サザン》がどうしても欲しいときには便利かもしれない。実は2枚くらいなら積めるか?
《フェアリー・ライフ》
アドを取らないブーストカードは微妙。適当な白クリーチャーを展開した方がいい。
《ジオ・ブロンズ・マジック》
概ね1アド取れるブースト呪文。トリガーもついている《バロンアルデ》の方が優秀と判断。
《無頼聖者スカイソード》
白緑の優秀な多色。 《龍アガピ》から出てくると嬉しいかもしれない。しかし、《サザン》のカウントにならない点で《フェアホ》には大きく劣る。
《勇猛護聖ウォルポニカ》
白緑のちょっぴり強い多色。 《サザン》のカウントにならないのでボツ。
《超次元ホワイトグリーン・ホール》
トリガー枚数が多くない、マナが伸びていないかもしれない、といった理由で不採用。
「殿堂だからとりあえず1枚入れる」という思想は危険だと思っている。4枚使えると仮定し、それで入るビジョンが見えないなら、1枚も入らないはず。
《調和と繁栄の罠》
しょっぱい《スパーク》。 白緑多色がどうしても欲しければ検討するが、多色枚数は間に合っている。 手撃ちするイメージも全く浮かばない。
《霊騎ディス・アルニラム》
17弾のしょーもない多色軍団の一人。 これを入れるくらいなら《ソルハバキ》を増やす。
《無頼聖者サンフィスト》
白緑3コスト多色というだけ。
《大神砕グレイトフル・ライフ》
緑のグッドスタッフカード。 《ウルコス》や《サザン》の上に置ける。 マナを7まで伸ばすのが難しい、進化元が多くない、超次元の枠がない、盤面が埋まりがちでサイキックを展開しにくいことから厳しいと判断。
【白単サザン】にあってここにないカード
《剛厳の使徒シュライバー》《鏡面の翼 リブラミラ》
主にシータ基盤への抵抗。同じ役割は《フェアホ》が担当している。 この人たちは先攻3tで置けると呪文コントロールへの強い抑止力になる一方、間に合わなかった時は全く機能しない。《鬼スナイパー》にも無力である。 これに対し、《フェアホ》は制圧の予防はできないものの、崩された後でも立て直しが利くのが特長。
《ガガ・ピカリャン》
cipアド取りは《ウルコス》に任せている。 調整によっては2枚程度入る可能性あり。
《聖歌の翼 アンドロム》
「フリーズさせて次のターンに《龍アガピ》に進化し、タップキルする」 という使い方は、
- 進化に適任な軽量cipとして《ウルコス》を足している
- 《石碑》《アガピトス》ができればタップキルには困らない
といった具合に否定できる。 本家【白単】でもせいぜい2-3積みゆえ、《石碑》前提で4積みベースなこの構築では検討しにくい。
《光陣の使徒ムルムル》
《石碑》《ムルムル》したくないと言えば嘘になる。 普通の【白単サザン】よりブロッカーが少ないので、積んでも恩恵は小さい。
《予言者キュベラ》
AD用のチューン枠。マナブーストと低コストクリーチャーの充実は逆センス。
プレイング・対面所感
相性関係は、普通の【白単サザン】とほぼ同じ。 先攻のぶん回りムーブが弱くなり、後攻もしくは盤面処理を食らった時の粘りが強くなっている。
2t《アクロアイト》を置くと、 3t白緑多色を埋めながら《ウルコス》、もしくは3t《ウルコス》+2コストの動きができる。
手札と対面に応じて、《フェアホ》を撃つことを早いうちから強く意識する。 普通の【白単】は序盤に上振れるためにとにかく展開するのが大事だが、このデッキはあえて手札を温存するパターンもある。
初手の《石碑》は迷わず埋める。 緑が無いときの《ウルコス》も割と埋めていいと思っている。
おわりに
【白単】ってつえーな、と感じた。 不純物を入れているのに、AD環境という魔境でさほど勝率を落とさず戦えたのは、シンプルに《コッコルア》《サザン》《龍アガピ》の基盤性能、および《オリオティス》のメタ性能が高いからのようだ。 前期AD最終に【白単サザン】が多く残っているのも納得である。
《オリオティス》の対【ツヴァイ】性能も楽しみにしていたのだが、3回のマッチ全てで《オリオティス》を引けずに沈んだ。それと、初めて《石碑》《龍アガピ》ができた対戦で、《龍アガピ》が山になくてスカった。ふざけるな。