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スタン落ち・制限改定(23弾発売)
スタン落ち
今回落ちたのは17弾。パワカもりもりの多色弾である。
その筆頭は《超次元リュウセイ・ホール》。 リリースからここまで常にトップクラスの採用率を維持し、環境に大きな影響を与え続けてきたカードである。 そのスタン落ちにより、《リュウセイホール》に支えられてきたシータ基盤のビッグマナ系統は、NDから撤退を余儀なくされた。 ついでに、付属品の「勝利セット」も落ちた。これまた3種とも高い汎用性を誇るサイキックである。《リュウセイホール》以外のサイキックギミックも、大幅にパワーダウンした。
超次元ギミックでは他にも、DP殿堂してもなお耐久の要であり続けた《ホワイトグリーン・ホール》、堅い打点とアド稼ぎを両立する《ヨーデル・ワイス》、中堅デッキの座を維持した《天下統一シャチホコ》といった見慣れたメンバーが落ちた。
これらに加えて、
- 進化を遂げ続けた《ドラゴンフレンド・カチュア》
- 【リキピ】の優秀な進化先《スーパーパラディン》
- 赤青・クローシス系のウィニービートを構成した《アツト》《グレンニャー》
- 【祝門】の防御札《スーパーエメラル》
- ハンデス系コントロールの《ベルリン》《陰謀と計略の手》
など、ランクマで使われ続けた一級カードが多く落ちた。
当然、既存デッキの弱体化も多岐にわたる。具体的な影響は以下の通り。環境変化の要因は、23弾の追加よりも、17弾が落ちたことのほうが大きいだろう。
なお《吸い込む》《大地》は、再録によりスタン落ちを免れている。
バランス調整
バランス調整では、22弾収録の《デスシラズ》の龍解コストが、味方4体破壊から3体に軽減された。 23弾の新規パーツとともに、【黒単】を大きく強化している。
環境前半・ND
デッキタイプ
新弾で分かりやすく強いのは《モルト王》。 ガンガンブーストし、可能なら《ガイムソウ》から早めに《モルト王》を投げつけるシンプルな勝ち筋が売り。 【赤緑モルト王】は、環境最初期から立ち位置によらず高い使用率を誇っている。
【黒単ワルボロフ】は、22弾の【黒単】を大幅にアップデートした形。 特に《タイガニトロ》のハンデスは凶悪。これに対して全く回答が無いデッキは、今環境ではかなり厳しい。 《ゴートゥーヘル》をスムーズに起動できる《ワルボロフ》、強化を貰った《デスシラズ》も強い。 《ゲンセトライセ》《シバカゲ斎》も縁の下の力持ちである。
続いて、大幅に強化が入った【赤単ヒューマノイド】。 ヒューマノイドを2コスト軽減する《爆炎ヒビキ》、効果もりもりの《ヴァルブレア》のオリカ2種を引っ提げ、環境の門を叩いている。 個人的には、非常に【ウェーブストライカー】の雰囲気を感じる。
少し経つと、【トリーヴァMAS】が現れる。 置きドローの《エビデゴラス》でリソースを継続的に確保し、《エメラルーダ》の盾仕込みで粘る耐久デッキである。 【黒単】には《エビデゴラス》、【赤単】【モルト王】には《エメラルーダ》が刺さっているという仕組み。 青を多めに採用して《チュレンテンホウ》《デカルトQ》《スパイラル・ハリケーン》を採用したタイプも良く見られる。 派生として、《エリート》《ジャバジャック》を搭載したビート路線の【青緑MASリキピ】も出てきた。
半ガチャデッキの【ジャックポット】も出現。 《サイクリカ》、場合によって《サイケデリカ》を絡めて中型ドラゴンを大量展開する。 構成カードは【ドラフレカチュア】に近い。
【リースドラゴン】は、《ディグルピオン》の登場で序盤が安定し、《メンデルスゾーン》のヒット率も上がった……が、ランカーの構築を見るとそれらは入っていない。 《ロマネスク》から《ヴィオラ》《金ライオネル》につなぐ基本設計は変わっていない。
【白緑アガサ天門】も一時的に復活。 《マザー・ホール》がいなくなった部分を《セイントローズ》《ヘブンズヘブン》が埋めた上で、 強力デーモンとして《デストロキール》を加え入れている。 なお、《ミルザム》がレジェプレ2023収録のため、環境後半には解体を余儀なくされた。
【赤青UKパンク】が勢力を伸ばしてきている。 苦手なシータビッグマナが減ったことで、 粘り強いビートダウンとトリガーカウンターが通りやすくなった。 エグザイルに対して《吸い込む》を当てられることが減ったのも大きい。 以前《スーパーエメラル》が担当していた盾仕込みは、 無理やり白を足して《エメラルーダ》に引き継がれている。
シータビッグマナは、【シータ聖地刃鬼】としてリペアしたタイプが見られる。 《リュウセイホール》の器用さこそなくなったが、その枠を《聖地》《プロメテウス》にすればブースト自体は可能。 仮想敵を低速デッキに絞って環境に残っている。
【4cヴィルヘルム】は、《リュウセイホール》の穴をトリガーで埋めて対応した様子。
前環境で活躍した【グレンモルト】は、グッドスタッフ基盤の《リュウホ》《ヨーデル》が落ちたことで消滅。 《シューゲイザー》も一緒にどこかに行ってしまった。強いて言えば、《グレンモルト》本体は【赤単ヒューマノイド】に取り込まれている。
前環境で使用率の高かった【白単サザン】も行方不明だが、理由がよく分からない。 【赤単】の《シューターマッカラン》《ヴァルブレア》はキツそうだが、不利要素と言えはそのくらいである。
《MAS》抜きの純正【リキピ】は、未だに強いようである。 7000ラインの《グレンモルト》が減少して立ち回りやすくなったか?
総評
《リュウセイホール》ロスによって環境が激変している。 23弾のデザイナーズはそれなりに強いが、環境を支配するほどではない。 狭くなったカードプールと新規の基盤の間を行き来しながら、開拓の試行錯誤が続いている。
【黒単】【赤単】の2デッキは、環境に入っていく上での関門となっている。 《タイガニトロ》のハンデスを乗り越えるためには、前寄せ・置きドロソ・マッドネスなどの回答が必要。 ヒューマノイドの盤面処理と猛攻を凌ぐには、受けの強さまたはカウンター性能が必要。 両方とは言わずとも、少なくともどちらかには有利を取っておきたい。
中盤のカードプール変化(レジェプレ等)
2023/12/14, NDのカードプールに以下の変更があった。 なお、直前のランクマッチ期間「スペルサイクリカカップ」は、 このカードプール変更よりも前(12/10)に終了している。
- 追加
- 削除
スタン落ちした中で、環境でよく使われていたものは以下のカードなどがある。
- 【リースドラゴン】の足回りだった《ロマネスク》
- 《ガロウズ・ホール》と《死海竜》セット
- 置きアド超次元《四つ牙》《パンツァー》
- 【ドロマーGイズモ】のマナ要員だった《ケミプロ》《ゼンアク》
- 軽量除去《魂と記憶の盾》
レジェプレ再録に際し、《アガピトス》は弱体化が解除されてリクルート対象が再び3コストに。 《インフェルノ・サイン》は墓地探索が廃止された。
https://dmps.takaratomy.co.jp/news/7880
追加カードはとても数が多いので、以下の個別デッキタイプの所で述べる。
環境後半・ND
構築済みデッキにより、【モルト王】の基盤が直接的に強化された。 赤マナ兼初動の《ジョニーウォーカー》、 マナ武装達成で破格の性能となりドラグハート対策までできる《バーニング銀河》、 《モルト王》の盤面制圧力を高める《ガイオウバーン》。 煮詰まったレシピではあまり見かけないが、 《オウギンガ》の弾として《ヴェロキボアロス》《バトライ武神》も選択肢に入った。
ランプにしては珍しく、最終的には比較的素直に殴ってくる。 トリガーもちゃんと効くので、ミッドレンジ的な性質を持つアーキタイプであるとも言える。
基本のプレイングがシンプルなため、使用率が高い。 その一方、正当に評価したデッキパワーでも現環境トップである。 ランプデッキの課題であるビートダウン対面は、《ガイムソウ》《ヴィルヘルム》に加え、 《ガイムソウ》《モルト王》からの《将龍剣ガイアール》《ガイオウバーン》で脅威の5面処理が可能。 《火の子祭り》がブーストカードのスペースを圧縮しているため、トリガーを多めに積むこともできる。 構築の煮詰め方、複雑な状況におけるドラグハートの使い分けで差がつく。
【黒単ワルボロフ】は変わらず健在。 相変わらず先攻4t《タイガニトロ》の威力が高い。 マッドネスやブースト&トップ待ちなどで対策されることもあるものの、 間違いなく環境を規定するデッキタイプの一つである。
また、このころに開拓されたのが【白単天門】。 従来の【天門】系は【黒単】のハンデスが厳しいのだが、 このデッキは《ボンソワール》のマッドネスで一時的に手札を得た後、 《トロワ》《コッコルア》や《セイントローズ》《ヘブンズヘブン》からのブロッカー展開で手札を吐くことができる。
実は、レジェプレ等による直接のパーツ変更はない。 おそらく、強化後の【モルト王】の台頭に対して、 強力な防御札である《シールド・レイユ》や《ヴァルハラ・グランデ》、 バトル必勝の《ネバーラスト》を構えることができたのが大きかったと見ている。
既存デッキタイプの中では、【ドロマー祝門】がより目立つようになった。 《スーパーエメラル》や《陰謀》の再録によっての復興……かと思いきや、 使われているのは24弾再録の《ヴォイジャー》。 従来は超次元メタとして《陰謀》を積み、【青黒ハンデス】風に動くのが主だった。 ところが《リュウセイ・ホール》スタン落ちによってそのメタ対象が消失したこと、 さらに《チャーマジュン》《ヴォイジャー》が生き残りやすくなったことによって、 軽減クリーチャーをたくさん並べて《アルファリオン》を目指すルートが太くなった。
これまた実質的にパーツ変更はないのだが、【モルト王】に対してトリガーを踏ませ、 《アルファリオン》でトリガー呪文を封殺しながらカウンターを決めるという戦術が上手くはまったのだと思う。
【白単天門】の増加、【祝門】の復権、【モルト王】の対ビートへの適応力のせいで、ビートダウン系列のデッキはやや苦しくなった。 【モルト王】対策でトリガーが多めに積まれる環境であることも向かい風。 その結果として、環境全体が低速・高出力にシフトしている。 ただ、強いデッキタイプは依然として環境に食らいついている。
【赤青UKパンク】は、レジェプレで《スーパーエメラル》《グレンニャー》が戻ってきたことにより、従来の赤青型へと回帰している。 【天門】【祝門】【黒単】には大きく不利だが、【モルト王】をはじめとする他の対面に《カツドン破》《UK》のカウンターを刺すことで戦っている。
【青単ツヴァイ】は、《ツヴァイランサー》再録によってNDに舞い戻ってきた。 ただしNDには《マーキュリー》がいないため、ADほどの圧倒感は無い。 既存の【青単ジャバジャック】がビートダウンと違って、ワンショットに近い動きをする点には留意したい。
【赤単ヒューマノイド】は特に構築が変わらない。 立ち位置はやや悪くなったとはいえ、依然として意識すべきデッキタイプの一つである。
【墓地ビート】は《アツト》《グレンニャー》で完全復活したものの、以前と比べ影が薄い。 墓地メタが多いわけではないので、何かの拍子に復活する可能性はあるだろう。
【赤単速攻】は、《赤コダマンマ》の再録に注目した最新の速攻である。 【モルト王】を速度で落としたければ、速攻クラスの速さが必要である。
純正ビッグマナの最後の砦として、【シータ聖地刃鬼】も奮闘している。 《偶発と弾幕の要塞》を採用し、ビート対策と《聖地》での大量ブーストをまとめて狙う型が流行。 《刃鬼》はもちろん、《VAN》の刺さりも比較的良い。 一応【4cヴィルヘルム】も《バイスホール》を迎えているが、デッキパワーでは一歩劣る。
環境終盤には、【青黒/ドロマーシューゲイザー】が開拓された。 ビートダウンに対しては《インフェルノ・サイン》によるカウンター、 コントロールに対しては《シューゲイザー》のワンショットで柔軟に立ち回る。 動きとしては【赤青UK】に近い。 立ち上がりが遅い一方、トリガーを絡めた中盤以降のゲームメイクに幅があるのが特長。
レジェプレ新規の《ボアロアックス》は、【緑単サソリス】として多少健闘。 《イメン=ブーゴ》は《シューゲイザー》の亜種という認識。
AD環境
ADはレジェプレなどの再録カードの影響を受けないフォーマットだが、 23弾環境でかなり多くの変革があった。
23弾リリース直後は、既存デッキの強化パーツがいくつか開拓された。
- 《ディグルピオン》《コルティオール》によって【バルガライゾウ】強化
- 《トレジャー・マップ》によって【スノーフェアリー】強化
- 《豊潤フォージュン》で【白緑アガサ天門】が安定化
環境級の強さがあると発覚したのが、【ドミティウスカチュア】。 《ドミティウス》から《ガラムタ》《キリュー》を飛ばしてワンショットを狙うデッキタイプである。 NDだと《ドミティウス》のアクセス手段が限られているが、 ADでは《カチュア》、《ロスチャ》《バベルギヌス》とルートが複数ある。 これらに《フェアリー・ギフト》まで絡めると、4t《ドミティウス》がそれなりの再現性を持つ。
《ドミティウス》のめくりが渋くても、 《バベルギヌス》や《ペンチ》《カチュア》で《ドミティウス》を出し直せるので、 ガチャのヒット率も低くない。
次環境以降も使われ続けるかは不明だが、少なくとも環境を荒らす力は持っている。
続いて、【黒緑ウラミザビミラ】。 《ギガヴォル》《ズカズッカ》《シバカゲ斎》で墓地を肥やし、 《ウラミハデス》《バベルギヌス》を連鎖的に吊り上げて盤面を埋め、 《ザビミラ》《死海竜》でフィニッシュする。 速度は出ないものの、【MRC】のように「墓地さえ溜めればどこからでも勝てる」という性質を持っている。 23弾登場直後に開拓されたが、途中で《サイン》の探索解除が入ったのも地味な強化ポイントだったりする。 https://x.com/uniuni_0625/status/1729813682832429205?s=20
参考
画像は基本的に↓から引用。
オウギンガカップ最終TOP100(ND) - Togetter
オウギンガカップ最終TOP100(AD) - Togetter