概要
通算3回目の「レジェンダリー・ディビジョン」。 規制カードが当初の能力のまま、もしくは4枚編成可能な状態でデュエルができる特殊ルールである。
2回目と同じく、未所持を含むすべてのカードで自由にデッキ編成することができる。 レンタルデッキの内容も更新された。
この記事では、今年のレジェンダリー・ディビジョンの環境を整理する。
規制解除カード
今回のレジェンダリー・ディビジョンで規制解除されるカードは以下の通り。 2023年で初めてここに名前が挙がったカードは太字で示している。 《竜極神》《連珠の精霊アガピトス》は2023年内にナーフが解除され、通常ルールでも使えるようになった。
- 【殿堂解除カード】
- 《インビンシブル・テクノロジー》
- 《超神星アポロヌス・ドラゲリオン》
- 《無双竜機ボルバルザーク》
- 《竜極神》
- 《エンペラー・キリコ》
- 《魔光蟲ヴィルジニア卿》
- 《超次元ホワイトグリーン・ホール》
- 《龍仙ロマネスク》(AD殿堂)
- 【能力変更カード】
レンタルデッキ
今回新たに8つのレンタルデッキが追加され、全部で28個となった。
前回と共通のもの
前回から続投のレンタルデッキは下表の通り。 すべてが同じレシピのまま登録されている。
なお、ここの「時期」は、各デッキタイプにおいてレンタルレシピのような型が組まれていた時期を指す。
ゲーム内名称 | デッキタイプ名 | 時期 |
---|---|---|
『グランドマスター2022』 | 【MRC】 | 16弾 |
『バトルアリーナ8th優勝』 | 【ネクラ超次元】 | 15弾 |
『バトルアリーナ7th優勝』 | 【デイガナイト】 | 13弾 |
『バトルアリーナ6th優勝』 | 【リースアポロリペア】 | 11弾 |
『グランドマスター2021』 | 【赤白ボルフェウス】 | 10弾 |
『バトルアリーナ5th優勝』 | 【ラッカマルコ】 | 9弾EX |
『バトルアリーナ4th優勝』 | 【青単テクノロジー】 | 8弾 |
『バトルアリーナ3rd優勝』 | 【赤白アポロ】 | 7弾 |
『バトルアリーナ2nd優勝』 | 【赤白速攻】 | 6弾 |
『バトルアリーナ1st優勝』 | 【5cボルバル天門】 | 5弾 |
『エンペラー・キリコ』 | 【キリコ】 | 12弾 |
『火光自然NEX』 | 【リースNEX】 | 12弾 |
『火水剣誠』 | 【赤青剣誠】 | 12弾 |
『驚天の超人』 | 【黒リース驚天】 | 9弾 |
『5cヘブンズ-ゲオルグ』 | 【5cゲオルグ天門】 | 8弾 |
『ケンジ・パンダネルラ』 | 【トリーヴァパンダ】 | 8弾 |
『グレートメカオー』 | 【白青メカオー】 | 7弾 |
『ハンデスボルバルザーク』 | 【青黒ボルバル】 | 4-5弾 |
『ダイヤモンド・ブリザード』 | 【白ブリザード】 | 3弾? |
解説は前回、前々回の記事を参照。
新規レンタルデッキ
ここからは今回追加されたレンタルデッキを順に紹介する。 AD殿堂の《ロマネスク》を除き、新たにDP殿堂入りしたカードに対して、それぞれのレンタルデッキが用意されている。
『若頭 鬼流院 刃』
レシピ
活躍時期:17弾
通称:【青緑刃】
解説
《掘師》と2枚目の《刃》で複数回《刃》が出入りし、大量のマナ送りと《刃》の攻撃誘導で盤面がガチガチになる。
ひとたび《刃》が出れば、ソリティア的な長い効果処理が発生する。 トリガー《大地》から相手ターン中にぶん回ることもしばしばあった。 環境バランスが崩れていた訳では無いが、処理の長さによるゲーム体験の悪化、ならびに18弾のテーマ「ターボゼニス」への気遣いからナーフを食らった感がある。
実はこのレシピ、BA9thの準優勝構築である。 大部分が標準的だが、《N》4枚の上で《キラーメガネ》を2枚搭載しているのが特徴である。 遅い環境に強いデッキタイプなので、長期戦を見据えてこのような構築になったのだと思われる。 逆に高速デッキに抗いたい場合、《クルメル》を2-3枚入れるのが一般的なチューニングである。
元から必須パーツで埋め尽くされているため、大胆な改造は難しい。 デッキパワーは高いものの、説明の通り速いデッキに対しては厳しい。 5t《刃》を全力で間に合わせに行くしかない。
『ルドルフ・ヘブンズ』
レシピ
活躍時期:17-18弾
通称:【ルドルフ天門】
解説
自壊クリーチャーを出して《ルドルフ》の効果を起動しまくる。 《ルドルフ》を複数体並べ、デッキ外呪文から《煉獄と魔弾の印》を唱えて自壊クリーチャーを吊ると、《ルドルフ》の効果がどんどんスタックされていく。 上記の【刃】同様、主にゲーム体験を損なうという観点から、《ルドルフ》の効果がターン1限定になった。
大まかにはテンプレ通りのレシピ。 《コアクマン》から《ガガ・アルカディアス》に進化してブチギレるルートもしっかり再現されている。 強いて言えば、ドロソがちょっと少ない。 《陰謀》を減らして、1-2枚《エナライ》か《無敵タイム》を入れたい。 1挿しされている《白騎士ゲート》は、15弾AD環境の【ドロマー天門】などで《天門》の補助として積まれることがあった。 しかし17弾環境はビートダウンが少なかったため、【ルドルフ天門】にはほぼ入っていなかった。
回してみれば、《ルドルフ》が帰ってくるべきではないことを再確認できるだろう。 上述の通りドロソが少ないので、まずはそれを補完したい。 当時無かった《コアクアンのおつかい》を入れるのが良さそうだが、その場合《コアクアン》《ガガアルカ》のセットは抜ける可能性が高い。 呪文ケアを抜いても良いのかどうか、要検討。
『耐久ビッグマナ』
レシピ
活躍時期:20弾
解説
《ホワグリ》《N》《大地》でひたすら耐久&遅延する。 上記2つのデッキ以上に遅延の性質が強かったため、あえなく《ホワグリ》がお縄についた。
《パドンナ》4枚は流石に過剰。 場持ちが最強なので、2-3枚積んでおけば十分である。 その分、《スパーク》か《クロック》の枚数を増やすべきだろう。 その点以外、構築に変なところは無い。 採用する大型クリーチャーには個性が出るが、この構成は割と一般的なパターンである。
【ツヴァイ】などの速すぎるデッキを除けば、おおよそ対等に戦える。 アレンジは《スペルサイクリカ》を1-2枚入れる程度で十分か。 20弾環境は《メイ様》が存命だったが、このデッキの結論構築には積まれていなかった。
『ヴィルヘルムコントロール』
レシピ
活躍時期:19-22弾
通称:【4cヴィルヘルム】【サイクリカ大地】
解説
《ヴィルヘルム》登場から《リュウセイ・ホール》スタン落ちまで長く使われた【4cヴィルヘルムコントロール】のうち、《サイクリカ》登場直後の型。 7コストの《大地》を《サイクリカ》で毎ターン使い回すことができた。
再現度は完璧。 テンプレートとしては1枚も入れ替える必要がない。 《大地》《サイクリカ》ともに3積みにとどまっているのは、一度サイクルが組めれば2枚目以降が必要ないからである。
ただ、この構築自体はかなり使い古されたものである。 上位ランカーはビート耐性を高めるため、 白をタッチして《ホワグリ》を入れるなどの改造を施していた。
レジェンダリー基準だと、デッキパワーはヌルい。 当時のADですら環境上位に食い込めていなかったくらいなので、今回のLDでは狩られる側である。 似た系列のデッキまで含めると、使用者は多い。
『バトルアリーナ9th優勝』
レシピ
活躍時期:16-17弾
通称:【ドロマーエイリアン】
解説
17弾環境のBA9th優勝構築。
【ドロマーエイリアン】が活躍したのは主に16弾の頃である。 17弾で《リュウセイホール》が登場した折に、小型展開系のデッキは絶滅したと考えられていた。 しかし、《陰謀》と《ガガアルカ》をガン積みすることでシータ基盤のデッキを対策し、見事に優勝をかっさらっていったのがこちらである。 【エイリアン】にしてはトリガーが多めなのも特徴。
【エイリアン】のデッキパワーはそれほど高くない。 当時のメタゲームに合わせたチューニングでBAを勝ち抜いたデッキであるので、 今のLD環境で絶対的な強さを発揮できるかというと、答えは否である。 レジェンダリー要素も特にない。 レンタルするにせよ改造するにせよ、玄人向け。
『デュエプレ選手権優勝』
レシピ
活躍時期:19-22弾
通称:【シータ刃鬼】
解説
19弾環境のデュエプレ選手権優勝構築。
当時は悪名高き《メイ様》全盛期の環境である。 その恩恵を最大限に活かすことができた【シータ刃鬼】の構築がこちら。 《鬼スナイパー》採用でトリガーを厚く取っているのと、必要に応じて《ウェディング》プランが取れるのが特徴。
レジェンダリー要素の《メイ様》を存分に使えるのが嬉しい。 改造するなら《サイクリカ》《ダイハード》が入るだろう。 ただし《メイ様》がいる都合上、緑単色の枚数は減らさないように。
『バトルアリーナ10th優勝』
レシピ
活躍時期:19-22弾
通称:【青黒祝門】
解説
21弾環境のBA10th優勝構築。
オーソドックスな青黒カラーの【祝門】である。 《カナサンド》が1枚採用されているのが面白い。
LDで戦うには、《チャマ》《オレダー》を決めるのが前提。 対応力こそ高いものの、絶対的なデッキパワーとトリガーケアで押し切られてしまう場面も多いだろう。 まあまあ使用者がいる印象。
『グランドマスター2023』
レシピ
活躍時期:21弾
通称:【白シータ刃鬼】
解説
21弾環境のグランドマスター2023優勝構築。 2-2で迎えた最終試合は大熱狂のドラマを見せてくれた。
《刃鬼》の3枚目が入っている。 代わりに、普通なら入っている《覇》が無い。 《フィーバー》は《大地》ナーフを受けた調整。《ボルフレ》は《シューゲイザー》《グレンモルト》を意識したトリガーと思われる。
レジェンダリー要素はない。 普通に戦えはするが、LDで進んで使う理由も特に無さそう。
自由編成デッキ
【真・ツヴァイ】
結論デッキ。今回のLD環境をガチで攻略するなら、 【ツヴァイ】に勝ち目があるかどうかを第一に検討しなければならない。
リキピ4体で出てくる《ツヴァイ》はやはり脅威。 ……ではあるのだが、最新構築はドロー性能が高いため、通常ルールの5体条件でもそこまで苦労しない。 むしろ、昔に比べて呪文がインフレしてきたことで、ある程度溜めて《マーキュリー》と一緒に突っ込むルートの重要性が増している。 ゆえに、4体か5体かの違いを感じるシーンは意外と少ない。
レンタルにも【ツヴァイ】があるが、あちらは《メルゲ》《ジェスタールーペ》が加入した14弾当時のレシピである。 今の【ツヴァイ】の本気はこんなものではない。 《ティーチャー》による最序盤からの手札補充と、《ジャバジャック》の手札調整によって、一回り上の出力を得ている。
LD環境では、1t《メイ様》をごく自然にメタれるのも評価が高い。 《リュウセイ・ホール》を普通に撃たれる分にはリソース稼ぎでどうとでもなる。
【真・スノーフェアリー】
レンタルデッキのレシピは、2年前のLDで整備された3弾環境のもの。 さっさと更新してほしい。
ただし、1年前から更新すべき点は多くない。 直近の《トレジャー・マップ》くらいだろう。 【ツヴァイ】の強化幅に比べると、【スノーフェアリー】のそれは少々物足りない。
【ツヴァイ】が《ティーチャー》《ジャバジャック》でリソースを取れるようになってしまったので、《ブリザード》の強みはやや薄れている。 黒型で《ザビミラ》の安全なフィニッシュを狙うにしても、トリガーケアは《マーキュリー》で良い。
サンプルで上げたレシピには、本来《スパーク》《アポカリ》が入る位置に《セレスト》を投入している。《マーキュリー》にぶん殴られても返せるようにという意図である。 しかし、こちらが【ツヴァイ】メタを意識した時点で【ツヴァイ】に負けている。 あちらもその気になれば《クロック》を積めるのだから。
【ゼロフェニハリケーン】
永久にレンタルにはならないであろうレジェンダリー専用デッキ。 《テスタロッサ》《ナスロスチャ》で順当に強化されている。カス。
自作・アレンジデッキ
テンプレとは言えないかもしれない、自作もしくはアレンジのデッキ。
【リースライゾウ】
超安定型の【ライゾウ】。 《ロマネスク》と《ディグルピオン》が同居できるようになった。
【メイ様刃】
《刃》と《メイ様》の共演が初めて許された。 以下のように相性が大変よろしい。
- 溜まったマナを直接的に使える
- 緑単色が多い
- 《大地》《ザビミラ》のギミックがある
【黒単ルドルフ】
《ゴーヘル》の3体自壊で《ルドルフ》を起動しまくる。 裏ビルド杯で上がっていたアイデアに《タイガニトロ》だけ突っ込んだ。 意外と勝てる。
【黒単バルクライ】
今や《デスシラズ》のAT蘇生があるので、《バルクライ》の個性が失われていると感じた。 そこでも強いて言うなら、《デスシラズ》で進化速攻の打点を組めるところを評価したい。
《ワルボロフ》と《バルクライ》のコストが被っているので、《ロスチャ》からの確定蘇生は使えない。 そこで《バルクライ》をメインルートに置くのは諦めて、《ヴィルジニア》と3-3でサブプランにした。
環境所感
【ツヴァイ】が最強。Twitterで連勝報告を見かけるのも大体コレ。 レンタルには無いが、ADランクマのテンプレをそのまま持ち込むだけで良い。 【ツヴァイ】に対してガンメタを張って倒そうとすると、他の一切に勝てなくなる。 割合としては5-10戦に1回程度なので、メタりすぎるのもよくない。
次いで多いのはビッグマナ系統。 《メイ様》《大地》がLD要素ではあるが、実際はLD要素が見当たらない【5cコン】のようなデッキも結構見かける。
【ターボドラゴン】もよく見る。 先に紹介した真面目な【バルガライゾウ】が沢山いるわけではなく、 現ND仕様の【モルト王】、もしくは《フレア・エッグ》などのガチャ系も多い。
【祝門】【天門】もそこそこ人気。この【天門】は必ずしも【ルドルフ天門】ではない。
全体として、自作デッキを回している人が多い。 レンタルデッキの遭遇率は、前回よりも明らかに減っている。 お手軽に回せるレンタルデッキが少ないからだろうか。 カードプールが広がり全貌が掴みづらくなってきたので、LDを敬遠しているライトユーザーもいるかもしれない。
おわりに
今回のレジェンダリーで初めてできるようになったことを模索中。