- はじめに
- 『ダイヤモンド・ブリザード』
- 『火光速攻』
- 『ハンデスボルバルザーク』
- 『5cヘブンズ-BA1st』
- 『光水グレートメカオー』
- 『火光アポロヌス』
- 『水単テクノロジー』
- 『ケンジ・パンダネルラ』
- 『驚天の超人』
- 『5cヘブンズ-ゲオルグ』
- 『マルコ・ヘブンズ』
- おわりに
はじめに
特殊ルールで戦うSPルールマッチ。 2021/12/16~2021/12/28開催の今回は、「レジェンダリー・ディビジョン」。
過去の環境デッキのテンプレ構築計11種がレンタルデッキとして提供され、 プレイヤーは好きなデッキを選んで対戦できる。 レンタルデッキ内のカードは、環境当時の性能が再現されている。 すなわち、ナーフやDP殿堂が適用される前の状態で対戦を楽しめる。
ところでこのレンタルデッキのレシピ、ガチ勢の間では 「微妙にテンプレから外れた構築になっている」と話題である。
そこでこの記事ではレンタルデッキそれぞれについて、 主にテンプレ構築としての評価と、 このレギュレーションにおける性能についてコメントしていきたい。
なお、筆者は今回のイベントが実施されるまでにまともに触ったのは、 【白青メカオー】とナーフ後の【白緑ブリザード】くらいである。 各デッキの使い手からしてみれば的外れなことを言うかもしれないが、 くれぐれもご了承願いたい。
『ダイヤモンド・ブリザード』
活躍時期:3弾リリース直後
通称:【ブリザード】
構築
マナだけでなく墓地からもスノーフェアリーを回収できる、 ナーフ前《ブリザード》のデッキ。
今でこそ【ブリザード】の主流カラーは白緑型だが、 ナーフ前に流行っていたのは墓地肥やしギミックを持つ黒緑型や青緑型。
《ペトローバ》や《スパーク》が入り始めたのは4弾の頃で、 これは【ウェーブストライカー】や【5c天門】に対抗するためであった。
当時のプレイヤーからするとコレジャナイ感が強い。
性能
時代的に《進化の化身》が入っていないため、 素引きした《ブリザード》を大事に扱う必要がある。
墓地回収を活かす前提で、あえて3t《ブリザード》しないプレイングのほうが強いと思っている。
11デッキ中では比較的弱い部類で、 【テクノロジー】【青黒ボルバル】以外には不利寄り。 トリガー《スパーク》前提で立ち回らざるしかないシーンもしばしば。
それでも初期《ブリザード》を体感したいプレイヤーが多いためか、使用者はそこそこ。
『火光速攻』
活躍時期:5弾後半~7弾
通称:【赤白速攻】
構築
BA2nd優勝構築を完璧に再現(当時は6弾環境)。 ナーフやDP殿堂のカードは無し。
用途の広い《ピーカプのドライバー》《ボルカニック・アロー》ではなく《火炎流星弾》、 当時最新カードだった《紅風の盗賊ビューラー》ではなく《双神兵カミカゼ》を入れているところなどが特徴的。
《ボルバルザーク》が消えて《スパーク》ケアが難しくなったタイミングでメジャーになったのだが、 今回《ボルバル》4投のデッキがいる環境に引きずり出された。
性能
カードパワー的には見劣りするかもしれないが、速攻というアーキタイプの強みは健在。 《ボルバルザーク》入りの2デッキ相手も含めて、テンポよく殴れれば全然勝てる。
その気になれば今でも組めるので、使用者は少ない。
『ハンデスボルバルザーク』
活躍時期:4~5弾前半
通称:【青黒ボルバル】
構築
【5c天門】【ウェーブストライカー】を狩るコントロールとして広まった、 青黒タッチ《ボルバルザーク》のデッキ。 《エクストリーム》の獲得は5弾。
《裁》は3~4積みが主流だったと思うがどうだろう。 《ハルク・クロウラー》《デス・チェイサー》《二角の超人》あたりも採用が分かれていたカード。 レンタルのレシピは、限られたスペースで要素を拾おうと頑張っているように見える。
ここに無いカードでは、 《バースト・ショット》《リバース・チャージャー》《クリムゾン・チャージャー》《アクア・ハルカス》などが候補にあった。 細かい調整が人それぞれなデッキだったため、色々な意見が出ている。
性能
相変わらず【天門】系には強め。
しかしながら、苦手対面である押しの強いビートダウンがこの環境には多い。 ハンデスでラッキードロップしないと厳しいと思う。
ナーフ前の《タッチ》《汽車》を使えるのが魅力のためか、使用者多め。
『5cヘブンズ-BA1st』
活躍時期:4~5弾前半
通称:【5c天門】
構築
BA1st優勝構築の再現。今見ても財布に厳しすぎる。
構築としては、 4積みの《サーファー》と《アクアポインター》が若干珍しい。 火力兼ドロソの《炎槍と水剣の裁》、 ミラーに著しく強い《腐敗勇騎ガレック》などのほうがよく見た印象。
当時はミラーと【青黒ボルバル】ばかりだったため、 長期戦に強い《ロスト・ソウル》が3積みされている。
各色の枚数が非常に美しい。
性能
いまなお溢れ出るデッキパワー。 長期戦になったときの《ロスソ》《ボルバル》が強すぎる。
【テクノロジー】には不利、【青黒ボルバル】も若干キツめだが、 それ以外には五分以上が取れているはず。
コントロール対面ではライブラリアウトで勝つ展開が多いのも当時と一緒。 3積みずつの《ハンド》《エリクシア》を大事にしたい。
《ボルバル》4枚のインパクトは強烈だが、試合が長引きがちなのと、 【ゲオルグ天門】と需要が重なるため数はほどほど。
『光水グレートメカオー』
活躍時期:7弾~
通称:【白青メカオー】
構築
BA3rd準優勝構築。
BA3rdが7弾環境での開催だったので、 8弾以降に獲得した《エル・カイオウ》《オボロカゲロウ》は入っていない。
テンプレとしてはほぼ完璧。 尖り気味な《アポカリ》3積みは、当時の【ツヴァイ】【ブリザード】などを意識している。
性能
現行の【メカオー】より弱いはずなのに、なんでこんなに戦えるんだ……。
【アポロ】【パンダ】【驚天】あたりがややキツめ、それ以外には五分以上。 図に乗っている【テクノロジー】に有利なのは強みと言える。
実質レシピ公開制なので、 《ヴィーナス》《マーキュリー》《ミリオンパーツ》をどのように揃えればいいかが予め分かるのもアドバンテージ。
ランクマッチでも飽きられ気味なこのデッキを、 わざわざ使いたがる人は少ない様子。
『火光アポロヌス』
活躍時期:7~9弾(リペアは現役)
通称:【赤白アポロ】
構築
BA3rd優勝構築……と思いきや、 《ヘリオライズ》と《バルケリオス》の枚数が入れ替わっている。単なる誤植? そのせいで《アポロヌス》が実質5積み体制。DP殿堂状態の【赤白アポロ】とほぼ変わらない。
7弾環境当時のテンプレは、《アポロヌス》3~4積み、《バルケリオス》4積み。 あとは、【メカオー】対策を《ガルベリアス》と《コメチャ》のどちらにするかというくらい。 8弾環境では《ボルガウルジャック》を手に入れた。
《予言者リク》は、当時多かった【アポロ】ミラーを意識したカード。
リスト違います(^ν^)
— そーすやきそば (@sauce_yakisoba7) 2021年12月16日
正しくは画像3枚目 pic.twitter.com/SSDyA2M0GO
性能
まぁ順当に強い。
しかしランダムハンデスや《ザーディア》の耐久、 トリガー《スパーク》を許さない《ボルバルザーク》などの障壁もそれなりにあるので、 環境全体で見ればバランスは取れているか?
プレイングの幅が広いデッキも多い中、11デッキの中だと間違いなく一番回しやすい。 それゆえ周回目的に使う人がいるのだろうか、 通常ルールでも近い構築が使えるにもかかわらず結構な頻度で出会う。
『水単テクノロジー』
活躍時期:8弾後半~9弾前半
構築
BA4th優勝構築。
BA4thは8弾環境での開催。 全盛期の8弾EX時は、《キング・レムリア》《ラセン・チャージャー》も候補入りしていた。
《スライダー》と《ツヴァイ》をそれぞれ4積みした上で《スパイラル・チャージャー》まで挿し、 《テクノロジー》が間に合わない相手を強くメタっている。
《ハルカス》が3枚しか無いのもかなり異色。
性能
もちろん強い。
人気の【天門】2種には有無を言わさず有利、【青黒ボルバル】にも《テクノロジー》さえ撃てれば勝ち同然。 一方、【メカオー】【驚天】【アポロ】【赤白速攻】など、不利寄りの対面も少なくない。 得手不得手がハッキリしているデッキ。
回りとしても、先攻6t《テクノロジー》が決まってイージーウィンのこともあれば、 一向に《テクノロジー》を引けずに劣化【ツヴァイ】として戦うしかないシーンもある。
対面で【テクノロジー】を回し慣れていない人を見かけるので一つだけ言っておくと、 このデッキは序盤から《ガード》《スクリュー》を出すことはない。
『ケンジ・パンダネルラ』
活躍時期:8弾前半
通称:【トリーヴァパンダ】
構築
《ジェネラル・クワガタン》《アガピトス》が入った、 トリーヴァカラーの【パンダネルラ】。
《ライフ》x3の《ヤッタルワン》x4だったり、 アレンジとしてはややマイナーだった《ギフト》が入っていたりと、 ちょっぴり妙なレシピになっている。
当時よく入っていたカードとしては、 殴り合いをさらに意識した《ホーリー・スパーク》、 【ゲオルグ天門】メタで《アポカリプス・デイ》、 マナが伸びると強トリガーになる《清浄の精霊ウル》など。
人によっては、《バンジョー》《ジェネラル》の探索および《パンダネルラ》のリクルートを強くするために、 《ヤッタルワン》を抜いて《石版》や《幻緑の双月》を入れる場合もあった。
性能
とても強い。
非破壊の確定除去が1枚もない環境のため、《ジェネラル・クワガタン》が止まらない。
素早く攻めるというよりは、リソースを溜め込みながら圧殺するイメージ。
大事なのは《アガピトス》の使い方。 攻撃一辺倒でなく、展開やタップキルに回るプレイングも覚えたい。 テンプレを外れた《ギフト》も、使ってみると悪くない。
スピードアタッカーが《パンダ》進化速攻しかない点にも注意。
速すぎるデッキ相手には、《レモン》を出して1ターン凌ぐ選択肢もある。
『驚天の超人』
活躍時期:8弾EX~9弾初期
通称:【驚天ビート】
構築
8弾EX~9弾初期の環境が荒れに荒れた元凶。
《選択》《驚天》《アラゴナイト》の3種さえ抑えておけば、残り枠の自由度は非常に高い。 リース速攻型、5cトリガー型など、様々な型がランクマにいた。
今回のレシピは、《アルバトロス》が入った黒型で、 《ジャック・アルカディアス》を得た9弾仕様。
当時の黒型は、 【ゲオルグ天門】【4cギフトアガピ】などを狩るために《ガレック》を積んでいる人が多かった印象。
性能
このルールでも最強クラス。一人だけやってるゲームが違う。
ビート系には豊富なトリガーでカウンター、 コントロール系には《驚天》押し付けで理不尽ゲー。 《魂と記憶の盾》が無いおかげで、素早く出した《驚天》は邪魔されない。
《エリクシア》搭載の【天門】が2種類いるが、 運悪く出されても《ロウバンレイ》《アルバトロス》でゴリ押しが利く。
一見は脳筋デッキだが、《驚天》を投げるタイミング、 そして殴るタイミングが意外と奥深かったり。
『5cヘブンズ-ゲオルグ』
活躍時期:8弾~9弾初期
通称:【ゲオルグ天門】
構築
構築は8弾環境初期の、環境読み要素が無い頃の型。
【トリーヴァパンダ】との2強環境が形成された8弾環境中期には、 《ジェネラル・クワガタン》を封じるために《魂と記憶の盾》が採用されていた。 8弾EX環境では《居合のアラゴナイト》、そしてやはり《魂と記憶の盾》が入っていた。
最終形態とは色々違うが、初期型の再現度としてはほぼ満点だろう。
性能
8弾SRトリオを筆頭に、カードパワーの塊。 トリガー《ヘブンズ》からの盤面制圧はもちろんのこと、 《ゲキメツ》パンチ、ブチギレ《ゲオルグ》、《ボルバルザーク》待ちなど、 勝ち筋も無限にある。
トリガー8枚・ブースト4枚・多量ドロソ4枚の尖った構築のため、 回りが悪いとコロッと負ける。
カリスマ性の高いデッキだったため、使用者はとても多い。
『マルコ・ヘブンズ』
活躍時期:9弾後半
通称:【ラッカマルコ】
構築
BA5th優勝構築。
構成は概ねテンプレ通り。 といっても、テンプレが浸透するほどメジャーなデッキタイプではなかった。 BA5th後はすぐに9弾EX環境になったため、 現役でこれを使ったことがあるのは一部の玄人プレイヤーだけだろう。
性能
非常に慎ましい。
デッキの完成度は高いし、このルールでも勝てないわけではないのだが、 激動の7~8弾環境で前線に立っていたデッキたちと比べるとどうしても地味に映る。
この中のビートダウンでは唯一《スパーク》が入っていない。 パワーラインも低いため、早めにペースを掴むが吉。
《コメット・チャージャー》は刺さる相手にはしっかりキープして、確実に刺していきたい。
《ジェネラル・クワガタン》と同じく、《烈流神》はこのプールだと確定除去を喰らわない。
おわりに
このルール、めちゃめちゃ面白い。 合法的に環境デッキをブンブンできるのが最高すぎる。 【青黒ボルバル】エアプを卒業できたのが一番嬉しい。
自分で回してみると、 【5c天門】は《ロスソ》で【青黒ボルバル】に対抗できたり、 相手のマナ置きから《驚天》を出すかどうかの判断があったりなど、 環境デッキの奥深さにも気付ける。
報酬はとっくに回収し終わったが、イベント中はちょこちょこ遊びたいと思う。