ミケガモのブログ

デュエプレデッキビルド杯 21弾レビュー

mikegamo.hatenablog.com

総評

E3シリーズ第2弾。アウトレイジvsオラクルの構図を20弾から引き継ぎつつも、ドラゴン・サーガからいち早く駆けつけた《ドラゴ大王》たちおよびその引き立て役の皆さんが収録されている。

SRは、分かりやすく環境デッキに仕上がりそうなのが《ジャッキー》《Gイズモ》くらいしかなかった。VR以下も全体的に方向性がバラけているので、テンプレのガチデッキやデザイナーズコンボを意識せずに、マイナーデッキを心置きなく組めるということである。雑食なカジュアルデッカーには美味しいカードパックだったと言える。

サブテーマは「バニラ」。紙ではE2期にプッシュされたネタがここで消化された。 21弾分だけで十分デッキになるが、ビルド杯では過去のバニラカードも開拓された。 《ブルース》にちなんだ「デスパペット」もいくらか収録されている。

リバイバル枠は人気投票1位の「ゴッド」。再録枠の《ゲキメツ》、関連カードとしては《ゴッド・ウォール》《ゴッド・ゲート》などが収録された一方、肝心の新規ゴッドは《Gイズモ》と《世紀末》(※ゴッドじゃない)程度。プッシュはかなり弱めである。

この弾の注目カードは、

  • 広く人気なガチャ《フレア・エッグ》
  • 単体で強いかつトリガー付与もできる《獅子ライオネル》
  • 6ドローでG0できる《クロスファイア2nd》
  • 召喚扱いで踏み倒せる《イザナイコットン》
  • 運用方法が独特な《クロスオーバー・ヨミ》
  • 真面目と不真面目、両方の路線で行ける《ジュピター》
  • 効果が豪快な最重量トリガー《アトランティス
  • ディスカードと組み合わせる《キャロル》
  • 白3コスト以下と併用する《ヴァルハラ・ナイツ》
  • やや特殊な踏み倒しルートの《バトライオウ》

などなど。

今回熱かった過去のカードは、

  • クロスファイア2nd》を起動するための《オボロカゲロウ》
  • G0呪文となる《ゴッド・ウォール》と相性の良い《魔光神》
  • 《ジュピター》に進化させるための《ハックル・キリンソーヤ》
  • 《2nd》《テラフォーム》とのコンボに加え、《シューマッハ》との二刀流も可能になった《N・ワールド》
  • バニラかつデスパペットの《ジュンカツ》

など。

先の通り、総じて21弾はカジュアルデッカーに優しいカードパックである。 ところが、その期待が高すぎたためだろうか、自分のお気に入りフォルダに保存されたデッキ数は、 20弾の方が多かったりする(20弾が61個、21弾が38個)。 もちろん、21弾が不作というつもりは全くないし、良いデッキは確実に産み出されている。しかし、だからこそ、この結果にいまひとつ納得がいかない。 デッキをたくさん眺めたことで目が肥えすぎたか。純心さを取り戻さねば。

入賞作レビュー

dmps.takaratomy.co.jp

入賞作のアイデアおよび基盤は以下の通り。

  1. 《石碑》《オボロ》から《クロスファイア》《2nd》《GT》の3種を発射
  2. フォボス・エレイン》で《トンギヌスの槍》を集める
  3. 《ダイハード・リュウセイ》を絡めた《バベルギヌス》《ドラゴン・ボーン》《ファル・ピエロ》のループ
  4. 《ドラゴ大王》《ブルース》《ナイン》《時空ホーガン》を組み合わせた無限ループ

前回に引き続き、非常に「濃い」デッキが選考された。

パック 解説文字数
21弾 7,400
20弾 4,600
19弾 3,300
18弾 3,200
17弾 2,800

それ以上に、公式の解説文がとんでもない分量に膨れ上がった。 特に、「バベピエロ」「大王ブルース」はループ手順が事細かに説明されている。

1は、《石碑》からの《2nd》にとどまらず、《クロスファイア》《GT》まで欲張っているのが特徴。自分ならせいぜいこの中の2種を組み合わせるに留めたであろう。製作者いわく、「《メーテル》《トリプル・ブレイン》ができればOK、それ以外は負け」。その割り切りが素晴らしいと思う。

2は、呪文を《槍》だけに絞っているのがこだわり。実は《フォボス・エレイン》は、13弾の『超次元サバイバー』でもキーカードになっている。選考者の「癖」が表れている?

3は、製作者のさらなる研究により、《マッハ・ルピア》《ファル・ピエロ》を、《メテオライト》《バウライオン》に差し替えたほうが良いとのこと。自分もその意見に大いに賛成なのだが、「バベライオン」のほうをビルド杯に出したとして、果たして選考してもらえるのだろうかという疑問も湧いてくる。ループしやすそうな《ファル・ピエロ》に対し、《バウライオン》はちょっとだけループ手順が直感的でなくなっている(実践難度はむしろ下がった)。

21弾・ミケガモが組んだデッキ【デュエプレ】 - ミケガモのブログ

4は、仕様分析の極地。 ループに気付くだけでも一仕事なのに、「召喚する」という行為に目をつけて《時空ホーガン》で生産性を持たせるテクニックが素晴らしい。さらに、そこから辿り着くゴールも文句ない出力を兼ね備えている。 《大王》《ブルース》《ナイン》《カオスウィッチ》と、新規カード4種類を組み合わせているところも評価が高い。《エナジー・ライト》《カオスウィッチ》で成功率を少しでも高めようとする堅実さも見逃してはいけない。


今回の入賞作は、どれも決めるのが難しい分、出力が極めて高い。 オーバーキルな盤面だったり(1,4)、シールド焼却だったり(2,3)、難解なループであったり(3,4)と、派手さが売りである。

一方で、個人的には「そこそこ決まるけどすぐには勝たない」といったような、地味だが手堅いシナジーも好きである。公式の選考がインパクトを重視するなら、自分は繊細なギミックに注目して補完したい。

投稿作ピックアップ

ミケガモがアイデアをお借りして自分でも組んでみたデッキは、こちらの記事に載せている。 併せてチェックして欲しい。

mikegamo.hatenablog.com

普遍的なアイデアは通常鉤括弧「」、投稿作固有のものは二重鉤括弧『』。

「ヒラメキワテライオ」

《ワテライオ》に《ヒラメキ》を当てて「ライオネル」を出す既存のコンボ。 《白ライオネル》登場により、そこにさらに《ヒラメキ》を当てて《アルファディオス/リオン》を出すコンボができるようになった。 《ワテライオ》から繋がるのは《メガギョロン》《アルシア》《エールフリート》など。 ビルド杯では出ていなかったが、《バキューム・クロウラー》を出すアイデアもカジュアルマッチで遭遇した。

「托卵ジュピター」

《キリンソーヤ》が緑のデカブツを抱え、それを《ジュピター》に進化させてATで出す。 期間初期から複数の作品が見られた一方、《トリファリオン》などの真面目な型が一向に出てこなくて笑った。

「バトライドラヴィタ」

《バトラッシュ》《バトライオウ》で赤ドラゴンを並べ、《ドラヴィタ》の覚醒条件を満たす。 《ボルシャリオ》から《シャニホ》に繋ぐと最速。

『ガッツンダーバトライオウ』

《ガッツンダー》に《ムシャ・レジェンド》をクロスしてドラゴンを付与すれば、最速3ターン目に《バトライオウ》を出せる。アレンジも色々。

「ドラゴVANナイン」

クリーチャーと呪文を完全に封じる「ドラゴVANナイン」ロック。 入賞作4もこれに該当。 ガチャパターンなどもあったが、再現性が高そうなこちらをピック。

「キャロルソース」

《キャロル》を捨てて手札を稼ぐ。手札が増えたときの定番である《コスモビュー》、のほか、手札進化(特に《クリスタル・アックス》)、《アクア・ブラザーズ》などにも注目。

「Nシューマッハ

《Nワールド》《シューマッハ》の二刀流で、《ベニジシ》《クロスファイア2nd》に繋ぐ。 それぞれ8枚積みのため、再現性が高い。そしてちゃんと強い。 《テラフォーム》を組み合わせたタイプもあった。

『ROLE OF ROLL』

オリカなのにどうしようもない性能の《ブリティッシュROLL》に花を持たせる。 《トリプル・ZERO》を手札に引き寄せつつ唱えられるのは彼だけである。 《プレリュード》《メガギョロン》→《プレリュード》《ROLL》という動きがあるらしい。

『ヴァループラネット』

《ヴァルハラ・ナイツ》と《プラネット・フィスタシオ》の相性の良さに注目。 白赤版もあった。 《ヴァルハラ・ナイツ》は白いドラゴンなので、《ドラヴィタ》の覚醒条件にも貢献できる。 さらに、5マナホールから《シャンデリア》《メリーアン》をばらまけば、《ヴァルハラ・ナイツ》の能力を起動しながら《豪遊》プランも睨める。

『コットンブリム』

《ブリム》で手札を溢れさせ、《イザナイコットン》の発動タイミングをターン開始時からずらしてしまう。手札パンク時の仕様を活かした力作。 手札が大量にあるので、その後の《ブレイン・ストーム》からゼニスを仕込むムーブも決めやすい。

『ジュンカツプルート』

バニラかつデスパペットの《ジュンカツ》が熱い。……本当か? 《ティーチャー》が引けなかった時のドロソは《コダマンマ》だと言い張ろう。

参考:裏ビルド杯出場デッキ

有志のカジュアル大会「裏デッキビルド杯」では、クオリティの高いカジュアルデッキが戦いを繰り広げている。こちらも要チェック。

note.com

おわりに

この2-3弾、ビルド杯で開拓されなかったアイデアを、カジュアルマッチや裏ビルド杯などで新たに発見することが増えてきた。それどころか、ベーシックな使い方や、誰かが既に出していそうだと思われる案であっても、ビルド杯に中々出てこないこともままある。 プール拡張に伴うカード組み合わせ数の増加が、ユーザーの開拓速度を上回っているということだろう。 「未知の領域がありそうだ」という状態には、得体のしれない恐怖を感じる。この恐怖に負けないように遊びたい。