ミケガモのブログ

デュエプレデッキビルド杯 17・18弾レビュー

次:

mikegamo.hatenablog.com

前:

mikegamo.hatenablog.com

18弾

総評

ゼニスとガチンコ・ジャッジの弾。 ライオネル、ボルメテウス、ドラゴン・ゾンビ、ヒューマノイド(ハンター/エイリアン)、ワイルド・ベジーズもテーマとなっている。 総じてややデザイナーズ寄り。 ゼニスを筆頭にこれらテーマの親玉が高レアリティ枠を占めているため、遊べるカードは限定されている。

その一方、とんでもない応用性を秘めたカードも点在している。 これらを上手く使った天才的アイデアが多く発掘された。

投稿数はだいたい700件。動き出しはかなり鈍い印象だったが、結果ちょっと多いくらいに落ち着いた。

デッキタイプで人気だったのは以下。

  • この弾で王道の【ターボゼニス】
  • 運ゲーで非常に高い出力を得る《鬼丸「覇」》
  • ソロプレイも見据えた「ボルメテウス」
  • テンプレの定まらない【ドラゴン・ゾンビ】

それはさておき、このビルド杯で最も注目すべきカードは《ヒラメキ・プログラム》。 破壊対象と踏み倒しの組み合わせ、それに絡めたコンボアイデアは極めて多岐にわたる。 最終的には100件近いデッキが投稿された。 おそらくビルド杯歴代1位のKP(被りポイント)である。 同じカードをコンセプトにしたデッキが2つ入賞しているというのも、今までに類を見ない。

そのほか、18弾の注目カードは以下の通り。

  • 踏み倒しパターンの多い《グレイテスト・グレート》
  • 全く新しい踏み倒し先を持つ《ハッチャキ》
  • ドラゴン・ゾンビで色々できる《ドラゴン・ボーン》
  • 全体高火力および大量墓地肥やしが狙える《偶発と弾幕の要塞》
  • 手札からデッキトップを仕込める《ブレイン・ストーム
  • 特殊かつ強力なデッキ回復カードとしての《悠久》
  • 《踊食》《オニゾウ》などの自軍7マナ誘発トリガーサイクル
  • 18弾ではないが、ビルド杯では実質新規の《プレミアム・キリコムーン》

特にアツかった過去カードは、

  • 《ヒラメキ》の生贄としての《メフィスト》《アルバトロス》
  • 《ヒラメキ》を2回撃てる《極楽》
  • 《ダンチガイ》《ドラゴン・ボーン》の出力変換役《バベルギヌス》
  • 《ドラゴン・ボーン》との相性がいい《ロマノフ》《アレクサンドル》
  • 紙の【弾幕フェルナンド】にちなんで《フェルナンド》
  • ゼニスを「召喚」できる《スペル・サモニオン》
  • 《ノーブル・アデル》や《オニウッカリ》のパワーを上げる《オーガ・フィスト》

など。

入賞作レビュー

入賞作のコンセプトは以下の通り。どれも個性の強い基盤である。

  1. メフィスト》《ヒラメキ》
  2. 《アルバトロス》《ヒラメキ》
  3. ガチンコ・ジャッジ×《ランブル》
  4. 《悠久》コントロール

1は《メフィスト》《ヒラメキ》から《ケンゲキ》《イカズチ》に直接アクセスできてしまうという天才的発見。始動も「《メフィスト》+1体、手札に《ヒラメキ》」だけでよい。入賞も大いに納得のスーパーコンボである。 といいつつ、実は従来の「ケンゲキイカズチ」も「犬+1体、手札に《アマテラス》」で決まるので、始動の難しさはそこまで変わらなかったりする。回した感じ、始動カードが《アマテラス》と《ヒラメキ》の計7枚に拡張されているのが進歩だと思った。

2はヒラメキ元の《アルバトロス》からクリーチャー2体、ヒラメキ先の《セラフィナ》Wホール《ヤヌス》x2で打点を一気に生成するアイデア。 5色でクセの強い構成となっているが、その分決まったときの展開力はやみつきになる。

3はGJでボトムを固定して《ランブル》の覚醒補助ができるという渋いコンボ。 それだけでなく、GJ用の高コストトリクリと《オニゾウ》、1挿しの《オオ・ヘラクレス》、《インテリ》《ディアス》覚醒のコンボなど、通好みなシナジーがいくつも張り巡らされている。 ところで《プロメフィウス》のときといい、選考班にボトム固定が好きな人がいるのだろうか。

4はまさかの「悠久LO」。 概念に過ぎなかった「悠久弾幕」を高い完成度で形にしたのが大きな功績である。 徹底したシールド送り除去と、《ロスチャ》から確定で《悠久》を引っ掛けて山回復できるギミックが面白い。《ロスチャ》と競合するためだと思うが、5cでありながら《ミラクル》が無いのも特筆すべきか。 LOを主戦術としつつ、《オレドラゴン》《DDZ》《悠久》で真面目に殴るプランも取れるのがグッド。

dmps.takaratomy.co.jp

デッキピックアップ

非常に「濃い」レシピが多かった。 注目カードが少なかった反動か、はたまたビルダーが成長しているのか。

『ヒラメキパドンナPG』

シンプルでありながら要素のしっかり詰まった「ヒラメキPG」。

  • 《リバイバー》を生贄に《ロリエス》サーチ
  • 《バロスト》の全破壊を出てきた《PG》が耐える
  • 《PG》を生贄にしてそのまま《バルカディアス》に進化

といったムーブが可能。《ファルシ》を《バロスト》の爆発に巻き込めば、 出てきた《PG》に《ヒラメキ》を撃つ体制も整う。

『グレグレハバキカチュア』

《グレイテスト・グレート》のテンプレは、《シシマイ/アニマベルギス》《キリュー》。 せっかくならそれを超えるアイデアを出したい。

こちらは《グレグレ》から《カチュア》《ハバキ》、1マナ起こして《キリモミ》をぶっ放すというもの。 《GILL》で盤面と盾1枚を焼き、《グレグレ》でQブレイクを決め込むのがカッコいい。

ただし、始動に《グレグレ》ともう1枚単色カードを構える必要があったり、 《GILL》《サファイア》が大量ブースト時にマナに行ったりするので、 理想通りに動くのは意外とムズい。要研究。

『サンマイベジタブル』

メインステップに《サンマイダー》から《ベジタブル》を集め、アタックステップに4枚吐いて5枚ブレイク。 《サンマイダー》で持ってきたカードをそのターン中に活用し、さらにはエンド時ドロー効果まで使えてしまうのが革命的。 《サンマイダー》界隈に激震が走った。

『無限覇』

《覇》はエクストラターン中にエクストラターンを取れなくなってしまったが、 メインターン中に複数回エクストラターンをストックすることはできる。 こちらは《スパーク》を踏ませてから《無限掌》を絡めて複数回攻撃し、オーバーキルを狙う。

応用例として《無限掌》《勝負だ!チャージャー》と《覇》を同時にプレイしてみたいのだが、どうするのがいいだろうか。

『極楽バルトプレキリ』

「極楽ヒラメキ」の傑作。 《極楽》から《グリーン・バルト》にヒラメき、《バルト》を破壊しながら《プレキリ》を出す。 《プレキリ》の種は、《バルト》から出てくる緑のマナ進化で用意する。 《バルト》は置換効果のため、《バルト》破壊→コスト8リクルートの処理の間に割り込んでマナ進化を出せる。しかも《バルト》がマナに行くので、マナに他の緑クリがなくても大丈夫。

マナ進化が《ビシャモン》なのは、《覇》のGJを意識してコストの高いものを選んだからと聞く。 仮に《覇》を出さないなら《ダイヤモンド・クラック》もいい。 実際《クラック》を入れた「ヒラメキプレキリ」も投稿があった。

弾幕クロスNEX』

《クロス・NEX》は、墓地に《NEX》か《ルピア》とある"カード"が5枚以上あれば5軽減される。 《弾幕》を撃ち、ギアの《レジェンド・ルピア・ウイング》、城の《フォートレス・NEX》をまとめて墓地に送ることで、そのコスト軽減を達成しようという試み。

1発で揃えるのは難しいかもしれないが、 単純に《クロス・NEX》を引っ掛ける《弾幕》の火力は強力。 小型を一掃して《クロス・NEX》でロックするという流れも綺麗。

『トラマルブルー』

対戦会でハメられた。 おバカ構築に見えるが、種も進化も実質8積み、出したいカードも《スペルブルー》《スーパー・グレートブルー》《覇》で充実。理に適っている。

『モヒート誘導ホーガン』

めちゃくちゃ渋いコンボと、ネジが飛んでる怪文書。 誰も真似できない。

『ヤバスギルバズラ/ボルスレッド』

太古の手札コストドラゴンを《ヤバスギル・スキル》がカバーするだけ。

17弾

総評

ハンターとエイリアンの路線を16弾から引き継いでいるものの、 デザイナーズ色はほとんど見られない。 単独で機能する、個性的かつパワフルなカードが多い。 覚醒リンク総決算の弾でもあるため、サイキックまで含めると収録カード種類はとても多い。 ビルド杯開催以降、デッキ構築の幅が最も広い弾だったと思われる。

全体投稿数も760個と結構多め。

この弾における注目カードおよびテーマは以下の通り。これ以外にも、構築意欲を掻き立てる優良カードがたくさんある。

  • クリーチャー
    • 常在でバトル誘発する《ゾルゲ》のコンボ
    • ガチの【天門】として開拓される前の《ルドルフ》
    • 赤青呪文2回撃ち《ガロウズ・極楽・カイザー》
    • 置きリソース《スネーク》
    • 軽量墓地肥やし《アツト》
    • 単体で場に5色揃える《ウマイタケ》
    • 構築の縛りが面白い《ミセス・アクア》
  • 呪文
    • 使い方無限大《母なる大地》
    • 3体同時蘇生がカギの《復活のトリプル・リバイブ》
    • 条件付き軽量蘇生札《湧水の光陣》
    • デッキエンジン兼サイキック除去の《吸い込む》
  • サイキック関連
    • シータカラーの基盤《リュウセイ・ホール》*1
    • 紙での愛用者も多かった《天下統一シャチホコ
    • 独特な効果のシステムクリーチャー《激沸騰》《激天下》
    • クリーチャー狙い撃ちで墓地を肥やす《ヴォルグ・サンダー》

過去カードで特に熱かったのは、

  • 《ホワグリ》《ブラブル》を撃てるようになった《アマテラス・セラフィナ》
  • ゾルゲ》《勝チャ》でバトルしやすくなった《アカシック・サード》
  • 《ヴォルグ》と相性の良い《デュランザメス》
  • 《大地》《ルナ・ヘドウィック》を得た《マーシャル・クイーン》
  • 《ウマイタケ》や守り手サイクルでG0しやすくなった《プラチナム
  • 《グレンニャー》でループ覚醒しやすくなった《ヤヌス

など。

入賞作レビュー

入賞作のコンセプトは以下の通り。今回はアクの強いデッキがずらりと並んでいる。

  1. 《トリファリオン》+《激沸騰》
  2. 《セラフィナ》+《湧水》を絡めたコンボ
  3. 《サード》+《メビウス》+《ゾルゲ》
  4. 《ベルリン》+《豪遊》

1はマナカーブが綺麗な《激沸騰》コンボ。 《ガガ・キャンサール》は、《激沸騰》を保護できて《トリファリオン》からも出せるナイスカード。

2は《トリプル・リバイブ》でウェーブストライカーの下準備→《セラフィナ》で《崩壊と灼熱の牙》、《湧水》《爆輪男》というものすっごく手間のかかるパズルコンボ。ここまで難解なコンボアイデアが入賞するのは初めて。

3は《ゾルゲ》と相性の良い《サード》《メビウス》を活躍させるというアイデア。 相性の良いカードが無駄なく詰め込まれている。

4は、《豪遊》の手札捨て効果の発生源が相手のカードであるという裁定に基づき、《ベルリン》を組み合わせてインチキする。 実はこの「効果の発生源」問題は闇が深い。17弾リリース後、ユーザーからの問い詰めによって《ベルリン》の「効果の発生源」に関する挙動が変わり、後天的にこのコンボが可能となった。 今後、なにかの拍子に仕様が再変更されてもおかしくないと思っている。

dmps.takaratomy.co.jp

デッキピックアップ

動画にさせていただいたいくつかのアイデアは省略した。 ↓の記事にもいくつかビルド杯由来のデッキを載せている。

mikegamo.hatenablog.com

『ODミセス』

《ミセス・アクア》の決定版。 マナカーブがガタガタになるという弱点を、 《ピーチ・プリンセス》のコスト軽減、《ガスティン》《コアラ大佐》のO・ドライブでカバーしている。

『ヴォルグメリーアン』

《メリーアン》に《ライデン・ホール》を当てて破壊しつつ、《ヴォルグ・サンダー》で重量級ブロッカーを墓地へ。《メリーアン》のpigで、それをすぐに蘇生できる。 16弾で《メリーアン》に頭を悩ませていたのがアホらしく思えるほどスムーズに繋がるコンボ。

このように、《ライデン・ホール》《ヴォルグ》は「自壊しながら墓地にクリーチャーを落とせるカード」という性質を持つ。

『復活のドンドンダンディ』

《トリリバ》で《ナスオ》と《ドンキ》2体を吊り上げ、墓地に《ザビ・ミラ》を送りつつ呪文を6軽減。 《ナスオ》で1マナ回復しているので、1マナになった《インフェルノ・ゲート》を撃って《ザビ・ミラ》蘇生。 《トリリバ》で3体場に出ているので、それを食わせて確実に《死海竜》が完成する。

クリーチャー3種で《ゲート》《ディメゲ》の探索確定、 旧来の探索と違って《トリリバ》が同名カードを蘇生可能、 《ドンキ》を《ライデン・ホール》の生贄にしつつさらに墓地にクリーチャーを落とせるなど、 アイデアの何もかもが噛み合っている。 盤面ゼロから6マナ&手札2枚で《死海竜》を発進できるというのもアピールポイントとして十二分。

記事執筆時点で、歴代ビルド杯No.1のアイデアと言っても過言ではない。 入賞しなかったのが非常に悔やまれる。

『オールリベンジチャンス』

17弾には、紙で「リベンジ・チャンス」を持っていたカウンタークリーチャーが多く収録された。 「自分から動かずドローゴー」をテーマとするこのデッキが、「ワンオペ杯」開催のきっかけになったとかなんとか。

mikegamo.hatenablog.com

『キタロウデモバイ』

《キタロウ》は、相手に手札を2枚見せるよう要求し、その中から自分が1枚捨てさせる。 相手がマッドネスを1枚持っている場合、相手は見せる2枚のうち1枚をマッドネスにすることで、《キタロウ》を実質セルフハンデス化してくるだろう。 そこまで考えなくとも、なんとなくマッドネスを見せたくなるのが人間の心理というもの。

これは逆説的に、相手がマッドネスを見せてこなかったなら、それはマッドネスを持っていないということ。 次のターン、安心して《デモニック・バイス》を撃ち込むことができる。

……そうですか。

『極楽フォートレス』

《極楽》の一つの形。 6→7で繋がって《フォートレス》が6枚焼却。《ガイアール・ホール》も強い。

『五人の花嫁』

ターン開始時に5体のサイキックを同時に覚醒できるというパズルデッキ。 手順を解き明かしてみてほしい。

おわりに

17弾が忙しすぎて、また2回分まとめてになってしまった。 18弾分はこれから動画で色々紹介できたらいいな。

*1:この時点では《パンツァー》《四つ牙》が無いためまだ仮の姿