はじめに
デッキの組み方にはその人の個性が出る。 ランクマ成績報告ツイート然り、デッキビルド杯の投稿作然り、デュエプレYoutuberのサムネイル然り。 特徴的なレシピを見たあとに製作者を確認し、「なるほど、あの人らしいデッキだ」と納得することはしばしばある。
そんなときにふと思った。もし製作者を当てる「利きビルダー」なるものがあったら、自分はちゃんと良い成績を取れるだろうか。 ちょっと強気に申し上げるが、ボクは自分を目利きだと思っている。投稿者を伏せてレシピを観察するビルド杯仕分け配信でも、なんとなく人によるビルディングの傾向はつかめているつもりだ。
デッキレシピ以外の判断要素を取り除き、純粋なクイズにしたら面白いだろうなというのが今回の企画を作ったきっかけである。 ついでに、同じ人にいくつもデッキを作らせた時にどの程度傾向が出るのか見たいという、興味本位の実験的な側面もあったりする。
コンテスト説明
異なるデッキビルダー4人に、共通のお題を4つ渡してデッキを組んでもらった。 うち1つのお題を基準とし、残りの3つのお題に対して、製作者が同じだと思う組み合わせを解答する。 第1弾、第2弾ともに3グループ、計12問の問題を用意している。
留意事項
本企画は、決してデッキの良し悪しや提供者の評価をするものではない(すなわち「格付けチェック」ではない)。 またクイズの点数が良かったからと言って、分かりやすく何かを自慢できるわけでもない。 純粋に自分の「眼」を確かめることを楽しんでほしい。
記事の後半部分には、ミケガモ視点の簡単な問題解説を書いている。 当然クイズのネタバレになるので、まずは下まで行かずにクイズのほうにチャレンジすることを勧める。
問題において製作者は匿名。 所持カードの差やスクショの癖などを取り除くため、デッキレシピはすべてミケガモのアカウントで再現・撮影している。
ガチ/カジュアルは自由。お題カードの枚数も任意。
他人のレシピの丸パクリ、ハイランダーのようなコンセプトの説明に困る構成、露骨にクイズの答えを誘導する行為はNGとした。
問題の制作にあたっては、アドバイザーとしてお題カードの相談と問題の感触をトスカーナ氏にお願いした。 提出されたレシピ画像をデッキに変換する際は、Coco氏開発のPictdeckerに大変お世話になった。
問題フォーム
第2弾
第1弾
注:これ以降は問題の解説となる。ぜひ↑のクイズを解いてから読んでほしい。
問題解説・第2弾
各グループのお題に対するコメントと、問題の解説。
キャラクターのデッキ傾向を考察しているが、これはクイズの攻略を目的として、今回の問題から読み取れる要素を分析しているにすぎない。 グループで同席している人との相対的な特徴にも依存する。製作者個人を分析したものではないので、くれぐれも悪しからず。 なお、キャラクターと製作者の対応は適当に振り分けただけである。
グループD・カード
- 《奇跡の精霊ミルザム》
- 《魔龍バベルギヌス》
- 《レオパルド・グローリーソード》■
- R以下限定構築 ■
※■ は基準デッキに採用。以降も同様。
ガチデッキにも入りうるもの、用途が明確かつ幅広いものを選んだつもり。
……にもかかわらず、《ミルザム》は《コスモビュー》との組み合わせが2件来て泡を吹いた。 また期待に反して、素直な【ドロマー天門】はいなかった。
《グローリーソード》には多様な進化クリーチャーを採用する【ダーウィン】デッキを期待していたのだが、まさかの提出者ゼロ。 私見を述べさせていただくと、ただ進化したいだけなら《グローリーソード》の枠に普通の進化元を入れれば良い話である。 《グローリーソード》らしいデッキを組むには、試合中に種族改変を何度も活かせる【ダーウィン】ギミックか、種族改変しないと不可能なド派手なコンボを取り入れるべき。
レアリティ縛り構築は、配信でのコメントで頂いたアイデアを採用した。 VR以下は公認ルールもあって研究の度合いが人によって違いすぎること、"以上"縛りだと構築の根幹が揺らいでしまうことから、今回はR以下縛りとした。 集まったレシピを見てみると、派手なカードがプールに少ないために、個性が薄くてガチっぽいデッキが集まってしまった。 お題としては少々失敗だったように思う。
グループD・解説
基準デッキ
- ジャスミン
- 素直寄りの構築。色は少なめ。基準デッキでは傾向を掴みづらいので、困ったら消去法で選ぶ。
- 王道の【刃】【赤白速攻】に対し、《ケルケルヨ》《プリン》のコンボ
- JJ
- コンボ要素の少ないガチチューニング。思考はややビート寄り。
- 《リュウホ》による【メイデン】のアレンジ。《グローリーソード》《ドルザバード》には苦労が見える(※本人談)
- アーク
- 様々なギミックとマイナーカードを散りばめた斬新な基盤。回転率は確保されている。
- 《怒髪》《ミリパ》、《ヴォイジャー》《ヘックスペイン》、《スチムパンプ》《トライ・スネーク》
- ダピコ
第2弾の中では特徴が分かれていて解きやすいほうだと思う。
D-1
コンボを狙わず真面目に仕上げている「え」はJJ。
コンボを含む残り3つのうち、「う」は色の少なさと構造の素直さからジャスミン。 ギミックとしてちょっと複雑な《コスモビュー》の「あ」「い」を、アークとダピコに充てたい。
《マグナム》をセットにして即起動するギミックの「あ」は、特にコンボ好きなダピコ。 一方、マイナーカードの《ラル・アブゾーバー》に加え、「悠久チェンジ」のギミックまで組み込んだ「い」はアーク。
D-2
ループしたがってそうな「あ」がコンボ脳のダピコ。 《バイケン》が生産者表示、かつマイナーな《バビロニア》《ゴルドノフ》のある「う」がアーク。
「い」と「え」はちょっと難しい。 探索バグもどんと来いな「い」がガチチューンのJJからは出て来ないだろうということで、ここをジャスミンにできれば正解。
グループE・カード
- 《超電磁コスモ・セブΛ》■
- 《華憐妖精ミンメイ》
- 《復活のトリプル・リバイブ》■
- インビンシブル呪文
ここも色々できる簡単めなカードをチョイス。《トリプル・リバイブ》はアドバイザーからの提案。 《ミンメイ》《トリリバ》はともに踏み倒し系カードだが、マナと墓地、大型と小型という点で差別化できると思った。
VRインビンシブルは《フォートレス》一強なので(下記アンケート)、ここか《テクノロジー》が被るのは予想通りだった。 が、支持率低めの《パワー》までもが被るという想定外の事態に。ビルダーの反骨精神を舐めていた。
— ミケガモ (@nusu_fkr453145) 2023年4月26日
グループE・解説
基準デッキ
- クロ
- 的を絞った合理的な構成。直球から斬新まで、コンセプトは変幻自在。
- 真面目な【ラムダビート】に対し、奇抜なチャージャー&《トリリバ》入り《ミセス・アクア》。
- リロ
- メインギミックを複数作り、戦況と引きで使い分ける構成。光がお嫌い?
- 次元基盤と《ガラムタ》、《ラムダ》と《ドン・グリル》、低コスト蘇生と《Bロマ》
- クル
- コンセプトも構成カードもマイナーに拘る。色少なめで安定感重視。
- 《オブシディアン》《勇気の玉》《フィオナ》《ジンロウ・ドレイク》
- ポゴ
4人ともどこかしらで他の誰かと共通点がある。 クルがまだ分かりやすいので、そこから攻めていくのが良いか。
このグループでは、判別がつかないからという理由で基準に回されたお題はなかった。
E-1
ウィニー戦術にサブプランとして《ミンメイ》を入れ込んだ「い」がポゴ。
2色基盤の「あ」がクル。マイナー要素は薄めだが、《ヴィレム》《二角》あたりが該当するか。
「う」と「え」は《ヴィルヘルム》が共通している。 《ミンメイ》を3にしてプランを多く取る「う」がリロ、《ミンメイ》4で構成を寄せている「え」がクロ。 《ガラムタ》がリロの象徴デッキと「え」の両方に入っているが、これはミスリード要因。
E-2
非常に難しい。
ビーストフォーク軸とホーン・ビースト軸の【緑単パワー】が邂逅している。 《荒野の猛進》《セブンス・タワー》あたりの渋いチョイスから、「う」をクルに結び付けないといけない。 ここでも《ガラムタ》はミスリード要因。
もう一つの【パワー】である「あ」はクロ。 残る3人のうち、コンセプトに的を絞るまっすぐな姿勢を持つのは誰かという視点で充てがう必要がある。 《フィオナ》1挿しが象徴デッキの《シヴィル・バインド》1挿しとも共通していたりする。
残る2つの《フォートレス》踏み倒し組については、合理的な説明が不可能。 「インビンシブル」という高コストカードがお題のため、ウィニー好きなポゴの動向が読めなくなっている。 象徴デッキを参照すると、「い」がリロ、「え」がポゴに思えてしまうが、答えは逆。 多分誤答が多いと思う。
グループF・カード
- 《竜装 ザンゲキ・マッハアーマー》■
- 《「命」の頂 グレイテスト・グレート》
- 《神秘の宝箱》
- ハイブリッド種族■*1
《マッハアーマー》はガチからカジュアルまでなんでもござれな強力カード、《グレグレ》は活用方法が多彩なカジュアル寄りのカードとして選定。 どちらもビルダー的には歓喜のはず。
《宝箱》は、この企画を考えたときから絶対にお題に出すと決めていた。 3マナのマナブーストという最低限の仕事が保証されている一方、《宝箱》にしかできない役割を持たせるのは難しい。
選択式のお題としてハイブリッド種族を選んだが、各種族で定番の構築が確立されているせいでイマイチ個性が出なかった。お題としては失敗。
グループF・解説
基準デッキ
- ディー
- 素直で整ったデッキ。マイナーカード入りでややカジュアルに寄る。
- 《ジャガルザー》、《バルガ・ラゴン》、《ダイイング・メッセージ》
- キリコ
- ウェディング
- 鬼丸
- 目新しさと遊び心を兼ね備えたコンボ。超次元はブラフの場合でもデッキコンセプトに合わせた極端な構成。
- 《デスフェニ》+《ヒラメキ》、《マスターチャ》でドラゴン化して《シギャラ》、連鎖メカオー
ディーとウェディングが正統派組、キリコと鬼丸がコンボ組で、それぞれ傾向が近い。 2-2に振り分けるのは容易だが、その後の選択に悩まされる。
お題としては、差のつきにくいハイブリッド種族が確定で1枠。 残る1枠を決めようとしたところで、鬼丸の《ザンゲキ・マッハアーマー》のお題に、
- ディーの象徴デッキにある《プラネット・フィスタシオ》
- キリコの《グレグレ》にある《シデン・ギャラクシー》《アポロ》
が全て含まれていることに気付いた。これだと、どうやってもミスリードを解消することができない。 悩んだ結果、「お題提出で同じカードを2回も使わないだろう」という推理ができるように、ディーと鬼丸の《フィスタシオ》を基準デッキに入れることに決めた。
F-1
「あ」「う」がコンボ組、「い」「え」が正統派組と仕分け可能。《グレグレ》の枚数に注目すると、前者は4枚、後者が2枚なのも対照的。
コンボ組のほうは、渋好みな《シギャラ》《マサト》の「あ」をキリコに、やんちゃな《鬼セブン》《ブライゼ》の「う」を鬼丸に結びつけたい。
「い」「え」は判別困難。 「い」はウェディング。デアリガズのアンノウン基盤に黒エンジェルを混ぜ、ガチ路線でアレンジしている。 そして「え」がディーなのだが、不運なことに目印となるマイナーカードが含まれていない。 強いて言うなら《キリュー》が環境カードではないというくらいか。
F-2
またしても「あ」「う」がコンボ組。 《ワーグナー》《フュージョン》で成功時の出力が高い「あ」が鬼丸、《グリーン・バルト》を使うテクニカルな「う」がキリコ。 超次元に注目しても、真っ赤に塗り潰して遊んでいる「あ」が鬼丸、特にブラフなしの「う」がキリコになる。 余談だが、どちらも《宝箱》を合理的にコンボルートに組み込んでいるので、やるじゃんと思った。
「い」「え」の正統派組は、デッキ強度で判別可能。 《ミセス・アクア》軸でカジュアル構築の「あ」がディー、【5cオーケストラ】基盤の「え」がウェディング。
問題解説・第1弾
グループA・カード
- 《悪魔神グレイトフル・デッド》
- 《偽りの名 ルードヴィヒ》■
- 《ビクトリー・アップル》
- 五王と《エタフェニ》
※■ 基準デッキに採用。以降も同様。
デッキ製作難度は平均のつもりで作ったが、よく考えると十分に難しい。
《グデッド》はお題適性高めなカード。 《グライフ》ほど万能ではないが、強さ・使いやすさ・特徴がどれも高水準で、いろいろな使い道があると見込んでいた。 しかし、まさかの《ルナ・コスモビュー》とのコンボが2つ提出されてきたので頭を抱えた。
最後はDMPP-05収録の進化Vから自由に選んでくださいという形式。奇跡的に1枚も被りがなかった。 ハブられた《ナーガ》に合掌。
グループA・解説
基準デッキ
- エレナ
- グレン
- 回転率を保証した構築。このグループの中では判別しやすい。
- ブースト札や《ボルシャリオ》《ヴォイジャー》
- ルカ
- マイナー寄りのカードをエンジンに据える構築。色少なめ(?)
- 《二角》、《アンタレス》
- ルピコ
- 独創的なコンセプトを前面に押し出す構築。色多め(?)
- 《ジュカイ》+《シャドウ》、《デストラーデ》+《ルードヴィヒ》
エレナ-ルカ-ルピコの判別が割と難しい。 ルカとルピコは基準の2デッキだけ見ると、色数の傾向で判別できるように思えるのだが、実際はそうでもない。
基準デッキにした《ルードヴィヒ》は、ドラゴン軸ゆえあまり差が出なかった。当たり前。
A-1
「う」は《ジュカイ》で生産者表示しているルピコ。ここの正答率は75%近くで、流石に高かった。
「あ」は《奇兵》《ライプラ》で回転率が高いグレン。
「い」と「え」はともに《グデッド》《コスモビュー》。 ちょっと迷うが、《ピエール》《キラーメガネ》《ブラックルシファー》とマイナーめな1挿しがある「い」がエレナ。 と言いつつ、「え」にもどマイナーな《エニグマ・カスケード》が1挿しされているという罠。
A-2
クソマイナーな《アンリストヴァル》、《カチュア》1積みから「う」はエレナ。 ちょっとだけ選びにくいが、【ワイルド・ベジーズ】での無難な運用の「い」は、4人の中では一番真面目なグレン。
「い」のシンプルな2色構成がルカに、「え」のコンボ寄り多色構成がルピコに結びつきそうだが、この2人が逆。この問題は間違うほうがセンスとして正しい。 そもそも、ルカとルピコの色数傾向は基準デッキの中だけの話で、実際は全然それにとらわれない。 ルカは基準デッキの《ルードヴィヒ》で《カンタービレ》を入れていることから、「お題2個にクセ強めの同じカードを入れないだろう」というメタ読みを利かせると「い」を外せるかもしれない。難しいけど。
平均0.88点。第1弾中で2番目に低い。 解説の通り、ルカを「い」にしていた人が44%, ルピコを「え」にしていた人が42%いた。
A-3
《ロマネ》《バーズ》エンジンが手堅い「う」をグレンに、《グレグレ》《ドラピ》《デスフェニ》でコンボ脳な「あ」をルピコにする。
「い」「え」は迷いどころ。「え」が2色構築なのに引っ張られ、ルカに結びつけて間違いそう。正解率4割程度の2択に思える。
……と予想していたが、エレナ=「え」は正答率42%の簡単問題だった。基準デッキ2つと《スターマン》の共通点もないし、謎。
グループB・カード
- 《サイバー・G・ホーガン》
- 《偽りの名 ヤバスギル・スキル》
- 《時空の鬼若コーシロウ》■
- 城
お題としてはまあまあやらかしている。 上の3枚がどれも8マナを要求するため、マナ加速が必要なお題に偏ってしまった。 なんなら《ホーガン》《ヤバスギル》は《コーシロウ》から出せてしまう。
《ホーガン》はお題適性が非常に高いカード。構築を適度に縛りつつ、組む人の個性を引き出してくれる。
グループB・解説
基準デッキ
- チュリン
- 古くて渋いカードのチョイスが光る。破壊欲求強め。
- 《キュラトプス》、《霊光の化身》
- カイト
- コンセプト、構築ともにシンプル。メジャー基盤や明快なコンボに沿った構築が多め。
- 「エタサイジャクソン」のコンボ、王道の【トリーヴァグライフ】
- カノン
- デッキ全体でカードパワーと安定感を確保しつつ、1-2積みのカードで繊細なシナジーを組む。
- ブースト札多めのグッドスタッフ構成。《バリアント・バデス》《宝箱》《バウライオン》
- カスミ
- 独自マイナーコンセプトに全力投球。色少なめ・4積み多めで安定化を狙う。
- 《時空ホーガン》+青軽量進化、《コーシロウ》+《ミスディレクション》
チュリンとカスミは比較的選びやすい。 正しく方針を立てられれば割りとスムーズに解けるはず。
《デストラーデ》《オレオレ・ダークネス》《バウライオン》など、複数回登場するカードが多数あるのが面白い。
基準デッキを《コーシロウ》にしたのは、カノンとカイトの《グライフ》がミスリードになるのを避けた形。
B-1
「あ」は《グライフ》がカノンの生産者表示。基準デッキ2つとともに初動9枚体制なのも特徴である。
《オレダー》のハンデス欲、《オーラヴァイン》《メビウス・チャージャー》などの渋いセンスから「い」がチュリン。
王道の【青単トワイライト】に乗せた「う」がカイト。
《ザガーン》《ホーガン》の変態寄りコンセプト、かつ4x10の「え」がカスミ。
平均1.85点。第1弾の中では2番目に高い。 カイト=「う」だけランダム解答並だったが、それ以外の3人は正答率50-60%と解きやすかったようだ。
B-2
グループBの中では難しめ。
2色構成、かつマイナーな《ボーン》4積みから「い」がカスミ。 1-2積みの多いグッドスタッフ構成、かつ初動9枚の「あ」がチュリン。
『黒単Bロマノフ』の「う」は、破壊衝動のあるチュリン、素直なコンセプトのカイト、両方に結びつきそう。 「え」のカードチョイスが《プライマル》《ダイイング》《バウライオン》など全体的に渋めなので、そちらをチュリンにする。
平均0.65点。第1弾中で最低である。 特にカイト=「う」を当てた人は48人中4人しかいなかった。《ドルバロム》と《DEATHドラ》の大量破壊ムーブ、結びついてもおかしくなさそうだがそうでもないらしい。 誤答として顕著に多かったのは、カスミ=「う」。色の少ない構成という根拠で選んだ人が多かったか。 「う」はコンボもマイナーカードも少ない構築ゆえ、カスミの傾向とは異なっている。
B-3
オールイエス基盤の「え」がチュリン。ここは正答率約60%と顕著に高かった。
マイナーSR《エルレヴァイン》を2色構成で仕上げた「う」がカスミ。
構成全体が王道の【赤緑ハンター】である「あ」と、【黒エンジェル】基盤を《ハッスル・キャッスル》はじめとする緑でアレンジした「い」では、 前者がカイト、後者がカノンの傾向に近い。
グループC・カード
いっっっちばんヤバいお題。このグループに振り分けられた4名の皆様、申し訳ない。
《ライオネル》を用途多彩枠で配ったつもりだったが、冷静に考えれば構築は死ぬほど難しい。 大まかに《ワテライオ》軸と【ターボゼニス】軸の2種類を想定していたが、全員前者で来たため判別もできなくなった。
そこに加えて《プラチナム》という、これまたクセの塊のようなカード。 筋金入りのカジュアルデッカーならともかく、ガチデッカーや構築初心者にとっては地獄のようなお題セットとなっている。
《パンドラ城》はアドバイザー提供のお題。 中々のカードパワーでありながら一筋縄ではいかない、絶妙なラインのカードだと感心した。
グループC・解説
基準デッキ
- 勝舞
- 白凰
- 攻撃的かつ破壊要素が多い構成。デザイナーズ基盤に忠実。赤と白を好んで使う。
- 《武者》&《ウルフェウス》、エイリアンビート
- 黒城
- ミミ
- この中では比較的素直な構築。攻略上は消去法で選ぶのが無難。
- 実は代表デッキがスタートチャージ用なので、クイズ中に特徴を掴むのは難しい……。
勝舞と黒城を同席させたのが采配ミス。 別グループなら、2人とも異彩を放つ構築ですぐ見分けられるボーナスキャラになれたのに……。 攻略上は4x10構築を勝舞のほうに結びつけることで正解可能。
《パンドラ城》はクローシスの素直なエイリアンビートが2個来たため、あえなく基準デッキ送りとなった。
C-1
「ライオネル」テーマを取り込み、破壊的なカラーリングで仕上がっている「あ」が白凰。
「い」「う」はコンボ構築。コンセプトから判別するのは難しめだが、4x10の「う」を勝舞に、 《バルホルス》《オレワレオ》のチョイスが《ザラブ》《プラチナム》《ガブリエラ》あたりと近い「い」を黒城に充てたい。
消去法的にミミが「え」。
C-2
難しい。コンボ&4x10の「あ」を勝舞に結びつけた後、残り3つが判別困難。
- 相手干渉要素の多い「う」が白凰
- 手数の多いコンボを狙う「い」が黒城
- 【サバイバー】基盤で比較的素直な「え」がミミ
という説明ができるが、自信を持って選べるほどハッキリした特徴にはなっていない。
C-3
マトモなデッキじゃない(←褒めてる)「あ」が黒城。 4x10でこそないが、ロマンを追い求めている「い」が勝舞。 《武者》で生産者表示している「え」が白凰、素直な《サンダム》の「う」がミミ。
平均1.96点。第1弾の中で1番高い。 特に《武者》つながりの白凰=「え」は、正答率77%の楽勝選択だった。 むしろ逆張りする人が2割いるのか……。 黒城の異端児っぷりも流石によく正答されていた。
出題者紹介
→長くなるので記事を分けました。
第1弾解答状況
2023/5/1時点で、48人の方にクイズを解いていただいている。 結果の概要は以下。
……なんだこれ。
4点 x 9題=36点満点のところ、平均はわずか12.13点。 最高は出題サイドで有利な条件の方の21点、非出題者に限れば19点だった。
仮に全てデタラメに答えた場合、今回の形式では1題あたりの得点期待値は 11/12 ≒ 0.91666...点。第1弾なら9題で8.25点、第2弾なら6題で5.5点となる。 一応、第1弾の平均点は、それよりは有意に高い。 また出題形式上、4点を逃すと2点になってしまう(1つ間違えると連動してもう1つ間違う仕組みのため)のもシビアではある。
が、得点率33%が平均のクイズは、果たして良い問題と言えるのか。 問題を解くからには、やはり正解する喜びを味わいたいものである。 デタラメよりはいい結果が出ているからといって、満点の半分にも届かないような点数では、決していい気分にはなれまい。 第2弾はもっと問題を簡単にしようと意を決するミケガモであった。
ただし、この点数の低さは、誰かの過失や能力の低さに起因する失敗というわけではない。 今回、製作者の皆様には、お題以外の指示を特に出していない。 製作者同士ですり合わせなども特にせず、純然たるレシピだけを提出いただいている。 ミケガモがコントロールしているのは、製作者のグループ分けと、基準/問題の振り分けのみだ。 問題を解きに来ている人も、多くはデュエプレへの理解が深く、自身でのビルド経験も豊富な方である。
そういう中でベストを尽くした結果が、今回の得点分布なのである。 言い方を変えると、平均点をなんとしても上げたければ、デッキ製作の時点でヤラセをするか、何かほかのメタ読み要素を入れなければならない。
この企画は、かなり挑戦的かつ実験的であることは理解していた。 その結果として、デッキ製作とはそんなに単純なものではないんだよ、ということが示唆された。 問題を解いて爆散した方々には申し訳ないが、これはこれで価値のある結果だと考える。
問題制作裏話
第1弾の反省と第2弾の工夫
第1弾はあまりにも難しすぎたので、第2弾でやり方を少し修正した。
まず、第2弾では基準デッキを「象徴デッキ + お題4つのうち2デッキ」とした。 製作者ごとの特徴をつかみやすくすると同時に、難しそうな問題をもう1つ弾くことができる。 問題数が9題から6題に減ってしまうのが心残りだったが、前回は量が多すぎたのでこれでよい。
次に、お題をよりデッキが組みやすいカードに変えた。 《ルードヴィヒ》《ヤバスギル・スキル》《プラチナム》のような難解なものは避け、ガチからカジュアルまで多様なデッキが組めるものを選んだ。
さらに、象徴デッキを問題に使うことを伝え、提供者自身が不適だと思ったらそれを再提出してもらった。
これで少しは得点率が上がればいいのだが、果たして……?
カード選定
- 用途多彩なメインカード
- 環境レベルのガチカード
- 運用しづらいマイナーカード
- いぶし銀なサポートカード
- サイクル・テーマから自由選択
などのテーマでお題を分け、偏りのないように配った……つもりだった。 同一グループ内では、お題カードの色およびデッキ基盤(「ドラゴン」など)が被らないように気を使った。 しかし結果的には、良くも悪くもグループごとにお題の傾向が出てしまったようにも思う。
お題カードは、構築を縛りすぎず、かつ使い道がちゃんとあるものを選んだ。
当初、基準デッキは1つだけ、すなわち4つのお題から1つ選んだもののみにする予定だった。 しかし、それだと問題があまりにも難しくなりすぎることがテストプレイで判明した。 少しでも正答率を上げたいという狙いのもと、製作者のデッキ傾向をつかんでもらう目的で、最初に「自身を象徴するデッキ」と「お題の中から1つ」の2つを見せることにした。 お題から基準デッキに選んだのは、最も判別に苦労するお題、つまるところ1番難しい問題である。 難しいお題を問題からはじくことで正答率向上を試みた。 逆に当初の予定通り基準デッキが1つだけだった場合、基準にふさわしい"簡単な"お題をそこに使う必要があるため、残り3問の難度が跳ね上がってしまう。
本音を言うと、「象徴デッキ」は問題では公開したくなかった。 熱心にTwitterを追いかけている人には、象徴デッキから製作者が透けてしまう可能性があったからだ。 レシピ以外の情報を一切排除するという設計思想だったので、具体的なプレイヤーが思い浮かぶのは避けたかった。 しかし、そのままだと問題の難度が高すぎた。 カジュアルデッキの審美眼があるアドバイザーでさえ、「バチクソムズかった(第1弾)」「ハチャメチャにムズい(第2弾)」と評したくらいである。 これを受けて潔く方針転換し、象徴デッキを基準にして問題を解いてもらうことにした。 中の人を完璧に見抜けるのは一握りだろうし、それができるならおめでとうございますの精神に切り替えた。 一応、各製作者にもう1デッキ作ってもらえば解決しそうだが、4デッキ作っていただくだけでも作業負荷がとんでもないので流石にやめた。
グループ分け
応募者をTwitterのメディア欄に投稿されたデッキでタイプ分けし、グループ内でタイプが分散するように振り分けた。 似たデッキが並ぶと本当に解けなくなってしまうからである。 デッキが送られてくる前の段階でグループ分けしなければならないので、この作業はそこそこ力を入れた。 実際にデッキが送られてくると、綺麗に傾向が分かれたグループもあれば、采配ミスとしか言えない事態になったところもあった。
以下は分類したタイプ。 どのプレイヤーがどのタイプに分類されたかは書かないので、類推してみてほしい。
- アイデアマンタイプ
- 新しいギミックを常に生み出し続ける。自身の発想と欲望に忠実。
- 愛好家タイプ
- 好きなカードに対してあらゆる可能性を探る。時々迷路に迷い込む。
- 職人タイプ
- 堅実かつ精緻な構築にこだわる。ドロソ無いと死んじゃう病。
- ガチ勢タイプ
- 環境に切り込める強靭なデッキを開拓する。つよい。
- トリックスタータイプ
- ガチからロマンまで、何が飛び出すか分からない。しばしば禍々しいオーラを纏う。
- タイプ不明
- メディア欄では情報不十分。有り体に言えば別ゲー兼業者。
おわりに
利きビルダーコンテストの準備にあたって、たくさんの方にデッキ製作のご協力をいただいた。 この企画は自分一人では成立し得ないので、大変ありがたい限りである。 一つ安心したのは、幅広い層のプレイヤーから出題希望を貰えたことだ。 ハードなお題にも臆さぬ手慣れたビルダーしか集まらないことを危惧していたが、実際はランクマガチ勢やデュエプレ専でない方も来てくれたので、その点も大変安心した。
企画の趣旨と逆行するような事を言うが、私自身は「誰がデッキを組んだか」はそれほど重要ではないと思っている。 最も注目すべきは、結論として出来上がったレシピそのものだからだ。 その一方で、良いデッキを作る人を見つけて観察したり、その人の調整の傾向を見抜いて改善点を考察したりというように、 個人の特色を押さえておくことも少なからず役に立つ。 それに、レシピと製作者が結びつくと、なんとなく親しみが湧いてくるのもまた事実である。
レシピと製作者は切っても切り離せない。このコンテストでその一端を体感していただけたら嬉しい。