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はじめに
特殊ルールで戦うSPルール。 第7回(2021/02/04~ 02/15)の今回は、初となる「ハイランダー戦」。
同じカードを1枚までしか積めないという縛りでデッキを組まなければならない。
この記事では、
- ハイランダー戦のゲーム性考察
- 個人的な注目カードをピックアップ
- デッキレシピ案を5個紹介
という順で、今回のハイランダー戦について事前考察していこうと思う。
なお、お題箱にもこんな投稿が来ていた。
ハイランダーの楽しいデッキを教えて頂きたいです。
https://odaibako.net/detail/request/be07cbae-3d2c-4b1e-8c64-ed2f9c6787a2
誤解を恐れずに書かせてもらうが、私はハイランダーという縛りで楽しいデッキが作れるとは微塵も思わない。 面白さを見出すべきは、作る過程とプレイングだと考えている。 ここで紹介するレシピを参考にするなら、どう改造するか、どうプレイしたらよいかという試行錯誤のプロセスを楽しんでもらいたい。
ゲーム性考察
初心者に厳しいルール
まず、このルールはかなり初心者泣かせだと思う。 デッキ構築もプレイングも型にはまったものが無いため、デュエマへの理解度が高いプレイヤーが非常に有利である。 また、資産に余裕が無いプレイヤーは、方向性の揃ったカードを40種類用意できない可能性が高い。
初心者が困ることを見越してか、公式のデュエプレ研究所で、ハイランダー戦のデモンストレーション動画が投稿されている。 どちらのデッキレシピもなかなかレベルが高いので、時間のある人はチェックしてみると良い。
デッキコンセプトを定めにくい
ハイランダー構築では、同じカードが1枚しか使えないため、 特定のカードと組み合わせて使う前提のカードは扱いにくい。
使いにくいカードの例として、《ヘブンズ・ゲート》が挙げられる。 ハイランダー構築では、大型の優秀な光ブロッカーを十分数確保することができない。 そして、《ヘブンズ》自体も1枚しか積めない。 したがって、メタゲームで良く使われている【天門】は、そもそもコンセプトとして成り立たない。
このように、特定のカードに寄せた構築となるデッキタイプは、基本的に成立しない。
今の通常環境にいるデッキのほとんどは、カードを組み合わせてコンボするデッキである。 【ツヴァイランサー】【グレートメカオー】【ブリザード】【アポロヌス】といったデッキタイプは、ハイランダー構築では存在しえない。
原始的な環境
今のデュエプレは、開発班がデザインしたコンボによってゲーム自体が激しくインフレしている。 しかし、それが軒並み使えないハイランダー戦では、極めて原始的な戦いが展開される。
クリーチャー同士のパワーラインを意識して殴り合ったり、カードアドバンテージに忠実なプレイを心掛けたりという、ゲームの進め方の基礎が分かっているかどうかが重要になる。
カードパワーのインフレが進む前のデュエマを知っている人は(デュエプレで言うと1~2弾)、 当時の環境を思い出すとイメージがつかめるかもしれない。
安定しないプレイング
基本的にハイランダーというのは、「ハイランダー構築で戦ってる俺かっけぇwww」という自己満足で楽しむものである。
では完全にネタ構築なのかというと、必ずしもそうではない。 ハイランダー構築には、「状況に応じて色々な種類のカードを使い分けられる」という強みがある。 紙版で真面目にハイランダーを組むなら、 欲しいカードをサーチカードによってデッキから持ってくる設計にするのが基本だった。
しかし、デュエプレではデッキサーチが探索に置き換わってしまっている。 探索は、対象領域にあるカードの種類数が多いほど、目的のカードを持ってこれる確率が低くなる。 そのため、ハイランダー構築で欲しいカードを探索するのはまず不可能。 紙版ハイランダーのような、柔軟なプレイングが可能であることを利点とした構築は、デュエプレではできない。 デュエプレのハイランダー構築は、基本的にはただの足枷にしかならないのである。
欲しいカードを使える確率が低いので、シンプルにプレイが安定しない。 同じような効果のカードを多く積めばある程度解消できるが、動きにぶれが出やすいゲームだということは頭に入れておこう。
除去カードが少ない
定番のS・トリガーである《デーモン・ハンド》や《地獄スクラッパー》も1枚しか積めない。 《ファントム・バイツ》や《クリムゾン・チャージャー》といった軽量除去カードや、 《ホーリー・スパーク》《天使と悪魔の審判》といったタップキルカードについても同様である。
除去カードの種類はクリーチャーに比べてずっと少ないため、通常ルールよりもクリーチャーが除去されにくい環境となるだろう。
ただし、《デス・チェイサー》や《バースト・ショット》など、代用カードが無いわけではないので注意。
注目カード
この環境だからこそ輝けるであろうカードをピックアップしてみた。 強いかどうかは分からない。
《ガルベリアス・ドラゴン》
ハイランダー構築では、各文明の優秀なカードを使いたいがために、デッキカラーが多くなりがちである。 バトルゾーンに沢山の文明のクリーチャーが並ぶことが予想されるため、かなり強いと思う。
《砂男》《マイキーのペンチ》
種族支援カードを使うのは難しいが、このような文明支援カードならば割と汎用的に機能する。 通常ルールより除去されにくいのも追い風となるだろう。
《進化の化身》
デュエプレにサーチカードは存在しないと述べたが、カード種類を指定した探索ならば話は別。 特に《進化の化身》は、進化クリーチャーの枚数を抑えることによって、確実なサーチとして運用できる。
《英霊王スターマン》《邪魂王ナーガ》《聖獣王ペガサス》
進化Vの面々。種族参照カードは使い辛いが、これらは進化元の片方が文明指定のみ。 出しやすさとカードパワーのバランスを考えると、かなりコスパが良いと思う。 そもそもこれらも1枚しか積めないので、もう片方の種族を積むのを頑張りすぎる必要も無かろう。
デュエプレ研究所でクボ研究員が使っていたデッキも、《進化の化身》で《ペガサス》を呼ぶ構築だった。 中々分かっているではないか。
《ディープ・オペレーション》
雑にクリーチャーが並ぶ環境なら使いやすいはず。 《エナジー・ライト》《トリプル・ブレイン》に次ぐドローソースになってくれることを期待。
デッキレシピ
注目カードを紹介したところで、ここからはデッキレシピを紹介する。
明確なコンセプトを持つデッキは組めないわけだが、それでもデッキとしての方向性は決めておいた方が良い。 例えば、
- 低コストクリーチャーで殴り切って勝つ
- 除去呪文を撃ち続けて大型フィニッシャーで勝つ
といった具合。 まずは漠然とでも良いので、どのようにゲームに勝つのかをイメージして、そのイメージに沿ったカードを探すという風にデッキを組むと良い。
ここにアップロードしたリストの通りに組む必要もない。 持っていないカードがあれば、コストや効果の近いカードを探して適当に突っ込んでおけば大丈夫だ。
【HL赤緑速攻】
右も左も分からない環境で、一体どのように勝てばよいのか? 混乱したら、まずは最も勝利に対して素直なデッキを考えるべきだろう。
ということで、まずは赤緑のウィニーを詰め込んだ速攻を組んだ。 弱いカードが入っているとはいえ、デッキの動き自体は、ベスト構築の【赤緑速攻】と大きくは変わらない。
2マナウィニーが多く、スピードアタッカーもある赤は確定で良いと思う。 今回は速さ重視で、2色目に緑を選んだ。
【HL白青ガーデイニシ】
速攻に最も簡単に対抗できるのは、ブロッカーを入れたデッキである。 そこでお次は、光の軽量ブロッカーを積んだ堅いデッキを組んでみた。
軽量ブロッカーはガーディアンとイニシエートが多いので、この2種族の進化クリーチャーが採用できると判断。 《守護聖天》3体と《聖天使》2体でパンチ力を確保した。 さらに、サイバーロードもいくらか積んで《英霊王スターマン》にも来てもらった。 並大抵の速攻には負けないだろう。
【HLドラゴン】
※2021/02/12, トリガーを入れたverに差し替え。
上のような守りの硬いデッキにも押しが効くビートダウンデッキには、どんなものがあるだろうか。
そこで思い浮かぶのが、各文明にわたって収録されているドラゴンたちである。 単一種族でデッキを組むのは難しいが、優遇種族であるドラゴンに限ってはそれは例外。 いくつかのサポートカードを備えた、中~大型カードのビートダウンが組める。
起用したのは歴史の長いデアリガズカラーのドラゴンたち。 全体的にコストが重いので、ブーストカードを多めに積んでいる。 なんとなく強そうだと思ったドラゴンを入れているだけなので、好きなようにカスタムして構わない。 《緑神龍グレガリゴン》《紅神龍グリムゾンサンダー》《黒神龍ギランド》なども、安くて使いやすい良カードだ。
【HLクローシス除去コン】
本家でハイランダーを組んでいたプレイヤーであれば、やはりコントロール型を使ってみたくなるところだ。 サーチによる柔軟なプレイこそできないが、通常環境と違って理不尽コンボの押し付けは存在しないので、 ネチネチとしたコントロールが使いやすい環境ではある。
そこで、除去カードを寄せ集めて、フィニッシャーに2種の《ボルメテウス》採用したコントロールを作った。
速攻対策のため、軽量のブロッカーを多めに積んでいる。
恒常的な除去手段として、《ガトリング・ワイバーン》《電磁旋竜アカシック・ファースト》を採用。 もう1枚欲しければ《勇神兵エグゾリウス》も使える。
置きドロソとして、《ルナ・ブリッツホーク》《コマンダー・テクノバスター》の2種も投入。 リソース勝負になったときに力を発揮してくれるはずだ。
※2021/02/12, 光入りの4c型を追加。ブロッカー、確定除去の《魂と記憶の盾》、フィニッシャーの《陽炎の守護者ブルー・メルキス》を採用できる。
【HL青単ビート】
最後に、何となくいけそうだと思った青単の構築を載せて終わりにする。 青はドローソースが豊富なため、このような環境でもまともに回せる単色デッキを組むことができる。
戦略はバウンスビートダウン。 《スパイラル・スライダー》《封魔バルゾー》《一角魚》でテンポアドバンテージを取りながらチクチク殴ろう。
お遊びで《レジェンダリー・バイロン》を入れてみた。 ちょっと無理があるかもしれない。
【HLシータビートダウン】
2021/02/12, 追加。 何回かマッチングしたり、レシピを見かけたりしたので載せておく。
殴り性能の高いシータカラーでビートダウンを仕掛ける。 キーカードは《独裁者ケンジ・パンダネルラ将軍》。 ドリームメイトが少ない構築でも、確実に山からドリームメイトを呼んでこれるのが優秀。 《バンジョー》《進化の化身》が引ければサーチも容易だ。
おわりに
初めてとなるハイランダー戦、どのようなデッキが出てくるのか非常に楽しみだ。 ただ、「高い勝率を出せました!」という構築の報告があったとしても、 それが本当にベストの構築なのかは分からない。 ハイランダーは、構築もプレイングも自由度が高すぎるからである。 このSPルールでは、自分で工夫を重ねて勝つというプロセスを大事にしてほしい。