ミケガモのブログ

キーボード「かな入力」の習得を断念した

はじめに

昨年の11月頃から、キーボードの「かな入力」を練習していた。 練習と言っても、全く本格的なものではない。 スピードを求められない場面で使いつつ、気が向いたときにタイプウェルでタイムを計る程度である。

ローマ字入力をやめてかな入力に移行したいというわけでもなく、 速く打てるようになったらあわよくば普段使いにしてしまおうかというくらいのモチベーションだった。

配列暗記は3日、ブラインドタッチは1週間で、1か月後にはギリギリ実用できるくらいにまで慣れた。

しかし、練習し始めてから2か月が経ったくらいで、私はかな入力を普段使いにすることを断念した。 その理由は、かな入力に大きなデメリットを感じたからである。 今も遊びでかな入力を使っているが、これから先もメインはローマ字入力にすると思う。

この記事では、自分が感じたかな入力の短所をつづろうと思う(かな入力で)。

ちなみに、私はタイピングが割と好きな方だが、 普段から大量に文字を打つ生活をしているわけでもないし、競技志向というわけでもない。 一般人がちょっとした趣味の範囲でやってみたときの話と思っていただければ幸いである。

ちなみに、 練習開始から3か月が経った今のかな入力のスピードは、タイプウェルKで100秒くらいである。 練習量が少ないとはいえ、遅い。

キー配置自体の問題

小指が痛くなる

断念した一番の理由がこれ。

この運指表を見れば分かる通り、かな入力は小指が担当する文字の数がとても多い。 さらに、左小指はTab, Shift, Ctrlキー、右小指はEnter, Backspaceキーも押すことになる。

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https://happylilac.net/sy-keyboard03.html

小指は最も力の入りにくい指である。 それを一番酷使するのだから、負担がかからない訳がない。

自分も、かな入力を始めて1か月半くらいの時に痛みを感じるようになった。 仮にもっと打鍵速度が上がったら、ますます小指を痛めることになると思う。

対策として、ホームポジションを右に1~2列ずらすという手があるらしい。 しかし、後述するように、かな入力は手を大きく動かさなければならない。 ゆえに手の位置をリセットしたいと思うときが多いのだが、そういうときにずらしたホームポジションを使っていると、 「F」「J」キーの突起が使えなくて不便だ。

濁音・長音が打ちにくい

かな入力の濁点は、ローマ字入力の「@」の位置にある。 使用頻度が高い濁点が、こんな端に追いやられているというのはいただけない。

小指の負荷を軽減するため、私はこれを右薬指で打っている(それでも小指を痛めたのだが……)。 しかしそうすると、ホームポジションの「O」から指を2つ分動かさなければならないので、誤タッチはかなり多くなる。

また、かな入力の長音記号は、Backspaceの左隣にある。 これもホームポジションからめちゃくちゃ遠い。

Backspaceキーは、キーボードの右上の角にあるので、場所的に遠くても手の感触のみで探し当てるのは容易だ。 しかし、長音記号だとそうもいかなくて困っている。

「ほ」「へ」「ー」を間違いやすい

「ー」と並ぶ形で、平仮名の「へ」と「ほ」もキーボードの右上にある。 ホームポジションから外れたこれら3つのキーを確実に打ち分けるのは、かなり難しい。 自分のレベルだと、単語に「へ」が含まれていたりするだけで「ゲッ!」と思ってしまう。

連続打鍵時の問題

ホームポジションが崩れる

「お」「や」「ー」「へ」「む」といった遠いキーを押しに行くと、 どうしてもホームポジションを崩さなければならない。 遠いキー自体押しにくいし、その後の打鍵もとてもミスしやすいので厄介だ。

離れたキー同士の距離感を完璧につかめれば話が変わってくるかもしれないが、 自分はその領域には達していない。

カタカナ語・記号の多い文に適さない

かな入力では、小文字の「ぁ」「っ」を打つとき、平仮名キーとShiftキーを同時押しする。 そのため、擁音や促音が来ると、打鍵数が増えてスピードが落ちる。

カタカナ語は、Shiftを押さなければならない擁音や促音が多い。 さらに、打ちづらいと前述した濁音や長音も多い。

例えば、「ヴィ」や「ジェ」といった文字を打つ場合、ローマ字入力では2打で良いのが、かな入力では4打必要になる。

また、かな入力は記号を打つのも面倒だ。 「。」「、」「・」は、Shiftキー同時押しが必要になる。 「!」「?」「()」「:」などは、ローマ字配列でのそのキーの打ち方をした後、F9キーを押して変換するというとても面倒な手順を踏まなければならない。

このブログでよく書く題材は主にゲームやパソコン関連で、それもそこまで格式の高くない記事である。 文章にはカタカナや記号が沢山登場するので、かな入力が余計に不利な環境だと言える。

例えば、ゲームに出てくるカード名、「超神星ヴィーナス・ラ・セイントマザー」と打ってみる。 この打鍵数は、ローマ字入力が32打、かな入力が28打。 打鍵数の少なさが売りのかな入力だが、この文字列だとわずか4打分しか有利にならない。 配列のでたらめさや、Shiftを離すタイミングにも気を配らなければならないことを考えると、ローマ字入力のほうがずっと高速である。

打鍵速度が単語に大きく左右される

ローマ字入力は、基本的に「子音→母音→子音→母音→……」の繰り返しである。

母音は5キーしかないので、「続けて打つ2キーの組み合わせ」の総数は少ない。 ゆえに運指のパターンが限られているため、脳にかかる負荷は少なくて済む。 さらに、その運指パターンも打ちやすいものが多数だ。 そのため、ローマ字入力は打鍵数こそ多いが、その割には打ちやすい。

一方、かな入力の場合、平仮名の並び順にはローマ字ほどの規則性が無い。 運指パターンはローマ字入力よりもずっと多くなるため、脳の負担も大きい。 また、難なく打てる単語もある一方で、ひどく打ちづらい単語にもしばしば出会う。

試しに、かな入力で「ホームページ」「セーラームーンと打ってみてほしい。 ローマ字入力に戻したくなること間違いなしだ。

入力法の持つポテンシャル

日本一もローマ字入力

競技タイピングの世界においてはどうか。 そこまで真面目に調べたわけではないが、多数派はやはりローマ字入力で、かな入力は一定の数がいるという情勢らしい。

東プレ主催のタイピング大会で2017年から3連覇を達成した凄腕タイパーは、ローマ字入力を使っているという。 流石にレベルが違いすぎるとはいえ、かな入力でしか突破できない限界がある、などということは全くないようである。

www.realforce.co.jp

ローマ字入力の最適化

かな入力の練習を始めたのは、かな入力にしかないスピードアップの可能性に期待したからという背景も少しある。

だが調べてみると、ローマ字入力にも自分が実践していなかった伸びしろがまだまだあることを知った。

標準的な運指を自己流で改造する、「入力の最適化」である。

pasokatu.com

簡単な例だと、

  • 「ん」を「n」1打で打つ
  • 「de」や「ki」のような同じ指が連続するパターンを改良する

といったものがある。

この辺りのテクニックによる技術的な成長の余地が自分にもあることを知ったため、 無理にかな入力に可能性を見出す必要は無くなった。

おわりに

自分で試した結果、かな入力は

「真にかな入力を習得した人」、もしくは「2本指でキーボードを見ながら打つ人」

のための入力法だと解釈している。 しばらくは遊びで練習を続けると思うが、メイン使いはローマ字入力のままのつもりである。