ミケガモのブログ

シータヴァルキリアス【デュエプレ】【マスター】【DMPP-21】

2023/9/16, Gイズモカップ初日にADマスター。 実は前期のUKパンクカップもこのデッキでマスターに到達していた。

構築をお借りした経緯

今回は《ヴァルキリアス》を継続的に研究されているこちらの方の構築をお借りした。 ちょうど今弾のビルド杯では、《ドラゴ大王》を入れたバージョンが投稿されている。

これを見て「ADランクマで使ってみようかな」と(確か配信上で)呟いたところ、 製作者の方から「動画にしてほしいです……」という大変切実なコメントが返ってきた。

ミケガモのYoutubeチャンネルでは、基本的にガチデッキを紹介していない。 ガチデッキを扱うチャンネルは既に十分な数がある。 ゆえに自分のチャンネルでは、なるべくマイナー/カジュアルなデッキを世に送り出したいと考えているのだ。 それに自分は普段、マスター帯で高レートを目指さない。 強いデッキは強く紹介されるべきと考えているので、もっと上昇志向の強い投稿者に投稿してもらうのが良いと思っていた。

しかし製作者さん曰く、普通の投稿者に6弾SRの《ヴァルキリアス》を4枚も生成してもらうのは気が引けるとのこと。 確かにその通りだ。その点、自分は既に《ヴァルキリアス》を4枚所持している。デッキ作成には全く困らない。 また、他の方が投稿した《ヴァルキリアス》の動画もあるにはあるようだが、レシピが少し古かった。さらに、今回のデッキにはきちんと実績が付いている。新たに投稿する意義が大きいと考え、腰を据えて握ることにした。

ガチデッキを紹介する苦悩

先程も述べたように、ガチデッキは「強く」紹介されるべきだ。 原案者さんの実績の威を借ることはできるが、自分でもそれなりの実績を上げて投稿したいと考えた。

しかしながら、高レートに行くためには、構築とプレイングを洗練させた上で相当根気よくランクマッチに潜り続けなければならない。連勝数も、強いと豪語するためには10連勝くらいは欲しいところだが、それにはマッチング運も味方につけなければならない。いずれも自分の裁量を遥かに超えている。

そこで苦肉の策として、ある程度は試行回数でゴリ押しが効き、かつほどほどに体裁を保てる「初日マスター」を目指すことにした。自分にできるのはこのくらいしかない。

0時に日付が変わってから、翌夜に対談を控えていたルーたん氏との事前打ち合わせを終え、ADプラチナ帯に潜り続けた。

youtube.com

初日の深夜帯の競争は苛烈を極めた。 相手のブン回りに轢かれたりプレイングの甘さが出たりでイマイチ勝ち切れずに、プラチナ4辺りをさまよっていた。 眠気で集中力の限界が来て、8時を過ぎてから一旦仮眠。 昼過ぎにお目覚めし、14時頃から再び潜り始めた。興味深いことに、数時間経っただけなのに先程の深夜帯よりも勝ちやすかった。 大きな連勝こそ無かったものの、着実に星を積み重ねていき、17時頃に無事マスター到達と相成った。

勝率は計算しなかったが、自慢できるほど高くなかったと思う。 それでも、マスター到達時の順位は68位。 瞬間的にでも二桁の順位を取れたのは上々ではないか。

デッキの解説

構築経緯の代わりに、借りて回している身で思ったことを色々と書いてみる。

《ヴァルキリアス》

6弾収録。もう3年前のカードである。 紙版から1マナ軽くなったのはかなり大きい。大型ドラゴンを踏み倒すのにあたって、普通に手から出せばよいのでは?と突っ込まれにくくなった。

強力な大型ドラゴンが出るたびに強化されるので、ポテンシャルは高い。 進化元も今では、ブーストしながら実質cip的に運用できる《勝利ガイアール》、実質0コストの《エクス》を従えている。 当時は《アルファディオス》《ドルバロム》《サファイア》といった同期と比較されてくすぶっていたものの、それらを追い越すくらいにまでパワーアップしている。 ……《ツヴァイ》はなお別格だが。

基本戦術

このデッキのメインプランは、テンポよく《ヴァルキリアス》を出して《覇》をぶっぱなすことである。 実はこれを原案者さんに教わるまで、《覇》1枚、《大王》2枚にしていた。 《大王》か《VAN》のどちらか刺さる方を早出ししてイージーウィンすればいいだろう、という考えからだった。

しかしよく考えてみると、単に早出しなら《ギフト》を使えば良い話だ。 踏み倒しに《ヴァルキリアス》を使う利点は、自身が進化速攻3打点になるところである。 これを活かすには、やはり横に打点が欲しい《覇》と組むのがベストである。

サブプランとして、普通にブーストして《VAN》を目指すビッグマナ的な立ち回りも可能ではある。 ただ、細いリソースを《ヴァルキリアス》につぎ込む構成になっているので、普通のビッグマナのようには行かないだろう。

基盤は?

基盤は間違いなく、シータカラーの《吸い込む》《リュウホ》基盤だ。 しかし先に述べたように、このデッキはシータ基盤でありながら、ビッグマナではない。 メジャーデッキでは見かけない、特異な構成だと言える。

ゲームレンジ的には、ビッグマナよりは【Nエクス】に近いかもしれない。 しかし、ゲームプランは【Nエクス】とはかなり異なる。

【Nエクス】の戦術は、序盤に《グレンニャー》《青銅》などでちょこちょこ盾を削り、《N》《エクス》で押し切るという形である。 さらに今の【Nエクス】には、強みを伸ばすべく《シューマッハ》《ベニジシ》《クロスファイア2nd》まで入っている。 手札をガツガツ消費するデッキが多い中、《N》をどんな相手にも出すには《ギフト》も必要になるだろう。 ここに《ヴァルキリアス》を乗せるのは、スペース的にちょっと難しいように思える。

軽量ブーストの枚数

軽量ブーストは、《ライフ》4, 《ピラフ》4, 《お清め》2で、計10枚。 一般的なビッグマナは12枚程度積んでいるので、それに比べるとちょっと少ない。 しかし、このデッキのひとまずのゴールは8マナ。 その辺りまでマナが伸びた後のブーストカードは腐るので、この枚数が適量である。 《覇》のジャッジを少しでも有利にしようという狙いもあるだろう。

ジャスミン》でなく《ピラフ》なのは、《VAN》を回収できるという理由だと思われるが、相手の《大地》で引きずり出されないためというのもありそうだ。

《お清め》は【MRC】と【墓地ソース】意識。 【MRC】に対しては、《N・ワールド》2枚と合わせればギリギリ足りるという印象。 【墓地ソース】に対しては、2枚目の《アツト》が出てきた辺りで都合よく撃てたら楽になるよね、という程度。

大型ドラゴン

《勝利宣言 鬼丸「覇」》

メインプラン。2枚。 プレの《覇》は単体で「ビクトリーラッシュ」できないのが弱点と言われているが、これを《ヴァルキリアス》の打点でサポートしてやれる。 EXターンを取った試合は全部勝った。当たり前か。

《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》

コマンドとドラゴンのロック。2枚。 主に【ライゾウ】【アガサ】などに対してイージーウィンするためのカード。 普通の使い方ではエターナル・Ωも併せて非常に強力なロックとなるが、《ヴァルキリアス》で出すと除去されたときに出し直せないのには要注意。 上位帯に行くほど出番が少なくなっていく印象。

《龍世界 ドラゴ大王》

21弾の強化要素。1枚。 ビートダウン系や【MRC】を完封できる。《大王》を使う場面は対【MRC】を除いて《覇》で良いのでは?という話がある。 ジャッジに依存しない点がポイントか。

全体の枚数

積極的に踏み倒したい大型ドラゴンの枚数は、《覇》2枚、《VAN》2枚、《ドラゴ大王》1枚となっている。 4積みの《ヴァルキリアス》に対して計5枚というのは、やや少ない。 時に使い分けが必要にもなることを考えれば尚更だ。

その一方で、デッキ全体を見渡してみても、これ以上大型ドラゴンに割くことのできるスペースは無い。 さらに《ヴァルキリアス》目線では1枚マナにセットできれば十分なので、多量投入する必要性もない。

大型ドラゴンの数の結論は、「少ないけどこれでなんとかしろ」となる。

ちなみに、実際にあったケースとして、ビート相手に《吸い込む》を撃って《リュウホ》《覇》《ドラゴ大王》が同時にめくれたとき。 手札には《フェアホ》があり、マナにはまだドラゴンが無かった。 自分は目先の動きを考えて《リュウホ》を選択したのだが、 その試合はデッキを残り10枚くらいまで掘り進めたのに《覇》も《大王》も見えず、《ヴァルキリアス》と《エクス》で突っ込んで《クロック》を踏んで負けた。 この経験から、踏み倒し対象のドラゴンが複数枚引っ掛かってしまったときは、すぐに使わなくてもキープしたほうが良いと学んだ。

《ボルバルザーク・エクス》

《エクス》は実質0マナの進化元。 早いデッキ相手に《ヴァルキリアス》を組み立てるのに重宝する。 3積みなのは調整の表れだろう。回してみても、すべての試合で使うわけではないので、適正枚数は2.8枚程度だと感じた。

《エクス》を含めると《ヴァルキリアス》の探索対象が4種類になっているが、 実際はマナにドラゴンが4種類いなくて探索が濁らないことが多い。 仮に濁ったとしても、75%で目的のドラゴンが引っかかるのでさほど問題ない(0敗)。 たまに《ヴァルキリアス》から《エクス》を踏み倒すこともあったりする。

《クルメル》vs《シャワー》

4マナのブースト枠を《クルメル》にするか《シャワー》にするかは難しい問題である。

実際、前期のマスター到達時には《シャワー》で回していた。 プラチナ下層では、【5cコン】【4cヴィルヘルム】【ライゾウ】などが人気である。 こういった序盤の動き出しがゆっくりしたデッキ相手には、手札を減らさない《シャワー》の方がいい。 《シャワー》はカードを手札とマナに振り分けられるので、大型ドラゴンをマナに埋めたい《ヴァルキリアス》とも相性が良い。

一方、今期に初日マスターを目指した際には、この枠は《クルメル》でないとダメだと思った。 初日に星を稼ごうとする猛者は、速攻やビートダウンを使っていることが多い。 こういう相手に対しては、《クルメル》の方が有効だ。

両方使ってみた感触としては、グッドスタッフ性が高くて回しやすいのは《シャワー》だが、デッキの特長を伸ばせるのは《クルメル》だと思った。 繰り返すが、メインプランは《ヴァルキリアス》《覇》である。 ビートダウン相手にこのムーブを確実に通すために、《クルメル》で相手の猛攻を凌ぐのが有効である。

それに、8マナの《ヴァルキリアス》まで辿り着きさえすればいいことを考えると、リソースを確保する意識は弱くても良い。 軽量ブーストを12枚積んで10マナ超を目指すビッグマナでは間違いなく《シャワー》の必要があるが、ここでは《クルメル》でも手札はなんとかなる。

さらに初動が少なめであることで4tスタートの確率も(少しだけ)高いわけだが、その時に頼りになるのは、相手の気まぐれな特攻を防げる《クルメル》である。

総じて、デッキにマッチしているのは《クルメル》だという結論になった。ただし、《シャワー》も全然アリである。 月半ばのゴールド・プラチナ帯を走るか、初日マスターを目指すか、レジェンドタッチを狙うか、大会に出るか。 環境によって差し替えて使うのが良いと思われる。

正直、自分で組んだらこの枠は間違いなく《シャワー》になっていたと思う。 《クルメル》の強さを学べてよかった。

対面所感

初日に数が多かったのは、【バニラツヴァイ】【白青ジャバジャック】。これらに対しては微有利と言い張らせてほしい。 流石に3t《ジャバジャック》や4t《ツヴァイ》のような上振れムーブを決められると厳しいが、それさえなければ《ヴァルキリアス》《覇》による追加ターンを高確率で得られる。 《覇》がすぐに引けなくても、頼れるシータ基盤でゲームを長引かせれば、ある程度はデッキを掘れるはず。

これらの対面ではやはり《クルメル》が大事。《ツヴァイランサー》はブロックできないが、横にいる小型や《マーキュリー》を止めればまあまあ時間を稼げる。

リュウセイ・ホール》で一番多く使うのが、火力モード&《パンツァー》の組み合わせとなる。 リキピ側は《ジャバ》《ティーチャー》《ルーペ》で溜めるプランを取れるので、こちらも継続したリソース補給手段を用意しないとジリ貧になって負ける。 《勝利ガイアール》での2面処理は本当にマズいときだけにして(例:《ティーチャー》が2体立っている)、まずは《パンツァー》で早期からアドバンテージを取っていきたい。

【墓地ソース】は五分(たぶん)。 《ヴァルキリアス》が出せれば《覇》か《大王》で勝てるのだが、相手に速度を出されると辛い。 《お清め》が引けていたら、《クロスファイア》が出てくる直前のターンを狙って撃ち込む。

速攻は不利。トリガーが少ないので基本的に厳しい。 先攻を取れて、《ライフ》《クルメル》超次元《ヴァルキリアス》の最速ムーブを決めればワンチャン、という程度。

【MRC】は有利。《N》と《お清め》の墓地メタを引ければよし。 《ドラゴ大王》を出せればほぼ詰む。一般的な構成なら《デス・ゲート》が唯一の回答だが、手札の細い【MRC】にキープする余裕はない。 《ドラゴ大王》を寝かせてしまえば完全に終わりである。

【シータ刃鬼/大王】【4cヴィルヘルム】はやや不利。 シータ基盤同士で戦うと、パワカが多く入っている通常のビッグマナの方が優位である。 《覇》で早めにカチコミに行けるとベスト。そうでなくとも、部分的な「Nエクス」ギミックでこちらから攻めなければならない。

【バルガライゾウ】は微有利。 《ヴァルキリアス》《VAN》で蓋ができればイージーウィン、最悪殴られても《クルメル》で耐えて《VAN》を手から出したりできれば勝てる。 ただし《VAN》が引けないパターンもあるので、楽勝な相手というわけでもない。ぶん回られると普通に負ける。

【白緑アガサ天門】は有利、【青黒祝門】は微有利。 これらも《VAN》が刺さる対面だが、【祝門】は《陰謀と計略の手》が飛んでくるので油断できない。

おわりに

Youtubeのお約束として「強すぎる」的なことをタイトルに書かせてもらったが、ランクマッチはそんなに甘い場所ではない。 この【シータヴァルキリアス】は実績もある「本物」のデッキではあるが、それでも「使えば必ず勝てる」というわけではない。 強いデッキであっても、出力の波もあれば環境の移り変わりもある。 視聴者の皆さんは動画を鵜呑みにせず、デッキを見る「目」を鍛えてほしい。