デッキレシピ
- コンセプト:B
- 完成度:A
- デッキパワー:A+
- 思い入れ:B
23/4/28, ベートーベンカップADマスター到達。 絶対に行けるという安心感があった。
はじめに
DMPP-18収録テーマの一つ、「ドラゴン・ゾンビ」。 紙でのE2期に相当するドラゴン・ゾンビは、名前、フレーバー、セリフでラップを刻んでいるのが特徴。 しかし、デュエプレにおけるドラゴン・ゾンビのボイスはモザイクのかかったモゴモゴボイスのため、なんと言っているのか聞き取りづらい。 また、種族にアンノイズを含むクリーチャーはしゃべれない設定のため、そもそもラップを刻めていないヤツもいる。
種族専用サポートを複数授かったにも関わらず、環境での存在感は皆無。 19弾で遅れて《アバヨ・シャバヨ》が収録されたが、誰も話題にしていない。
誰もアバヨシャバヨ入りドラゴンゾンビの話をしていない……。
— ミケガモ (@nusu_fkr453145) 2023年4月8日
この記事では、そんな悲しきドラゴン・ゾンビたちの生き様に迫る。
……いや、ゾンビだから死んでるのか?
ND
腐っても開発班の用意したテーマデッキ。 まずはNDの限られたカードプールでどれだけやれるのかを確認してみた。
……きちーぜ。
18-19弾のND環境で【ドラゴン・ゾンビ】を組む場合に入ってきうるゾンビの収録状況は以下の通り。
SR, VRに一つずつ枠をもらい、オリジナルカード《ヘル・オベル》、懐古カード《ヴァイザス》も収録。 パックのメインテーマとは言わないまでも、NDプールでもちゃんとデッキ枠が埋まるくらいの充実度にはなっている。 それなのになぜこんなことになってしまったのか?レアリティの低い方から順に顔ぶれをチェックしよう。
【ドラゴン・ゾンビ】デッキにおける評価もつけてみた。
- 5:最強
- 4:優秀
- 3:当落線上
- 2:イマイチ
- 1:採用圏外
5が最強、1が底辺。
《黒神龍ヴァイザス》
評価:2
かわいい。まともに出せて殴れるドラゴンとしては最軽量である。 種族デッキとしての【ドラゴン・ゾンビ】においては、《ドラゴン・ボーン》を最速発射するための装置でしかない。
《黒神龍アバヨ・シャバヨ》
評価:4
遅れて19弾に収録。この遅刻はなかなか罪深い。 程度としては、10弾に《魔弾バレット・バイス》が収録されなかったくらい。
効果としては4マナで布告除去を撃つだけ。1弾の《デスモーリー》と何ら変わらないが、これを4マナのドラゴン・ゾンビができるというのが重要。 《龍神ヘヴィ》がゴッドカードになったせいで、クリーチャーとして有益に自爆できる軽めのドラゴンは実質コイツが初めてである。*1
4マナで自壊を使えば、次の《ヘル・オベル》で回収確定。仮に《オベル》からマッドネスが出てきてしまっても、返しのコイツで除去できる可能性がある。 後に触れるAD構築のエースとも相性抜群。 《ダンチガイ》や《ヤバスギル》の効果がスカらないようにするためにも、墓地にドラゴン・ゾンビを送る手段は一つでも多い方がいい。 アドこそ取れないが、この堅実な効果は【ドラゴン・ゾンビ】が欲していたものである。 だからといって、コイツが来たから万事解決というわけでもないのだが。
《黒神龍ハイサイ・ラッシャイ》
評価:2
《ハルヴェルド》や《ヘル・オベル》のcipで運良く墓地に送れれば出てくる。 紙では《黒神龍エンド・オブ・ザ・ワールド》と絶大なシナジーを誇っていたが、山札を全部見るという処理がデュエプレにそぐわないため《エザワ》は未収録。
独特な効果ゆえ発動できると楽しいが、《エザワ》がない以上能動的な発動は非常に困難。 手札に来るとどうしようもない上、運良く出せたとしてもせいぜい4000バニラ。 また、《オベル》でめくれたゾンビがコイツだけだった場合、実質的に回収効果を腐らせてしまう。 どうやってもファンデッキ止まりの性能である。
《ディアス》→《ヴォルグ》でコイツを2枚めくりつつ殲滅返霊につなぐデッキは今度作りたい。
《黒神龍ハルヴェルド》
評価:3
実は魔改造カードの1枚なのだが、今更すぎて語られない。 cipで4枚墓地肥やし。LOが近づくという点でデメリット扱いなのだろうか、4-4000でスレイヤーまで持っているハイスペッククリーチャーである。 これがあってなお戦えないというのはやや情けない気もする。
4積み必須かに思える書きぶりだが、コイツよりも3→5でNDゾンビ最強カードに早くアクセスするのが重要。 5マナの人が来なかったときの保険として入る形なので、3枚程度でもいいと思う。
《邪龍秘伝ドラゴン・ボーン》
評価:4
ドラゴン・ゾンビの攻撃時に詠唱し、墓地からドラゴン・ゾンビを釣る。 【ドラゴン・ゾンビ】デッキのカードというよりは、むしろ違うデッキでのコンボパーツの印象が強い。 確立された使い道には以下のようなものがある。どちらも構築は種族デッキと言えるものではない。
- 《バベルギヌス》を経由して《サファイア》《覇》などを釣り上げる
- 《ロマノフ》攻撃時に《アレクサンドル》を蘇生。《ロマノフ》詠唱の呪文をすぐに2倍にする
- プレでは手札からAC→通常ATの順で処理するために成立する
……というのがちょっと前までの見解だった。 実際に【ドラゴン・ゾンビ】に入れて回してみたところ、4枚必須のカードだと認識を改めた。
重要なのが、NDプールでは《ヘル・オベル》の常在効果を最も手軽かつ確実に発動できるのが《ドラゴン・ボーン》だということ。 コスト的には《ヤバスギル》《ダンチガイ》を釣りたいところだが、堅実なプレイングのために《オベル》《シャバヨ》でも十分。 出力こそ先に挙げたコンボに及ばないが、痒いところに手が届く。
それと、ビートダウン相手に手札を吐くカードでありながら、表記上のコストが重いおかげでGJに強いのもいい。
《黒神龍ヘル・オベル》
評価:5
NDプール最強のドラゴン・ゾンビ。 デッキとして強いと言える次元に達するには、これクラスのカードがもう2種類ほど必要である。
墓地肥やし、リソース確保、さらにハンデスまでついてくる高性能カード。 他のカードがあまりに使いづらいので、【ドラゴン・ゾンビ】は「ヘルオベルハンデス」だと揶揄されることもある(大体合ってる)。
強いて言えば、選ばせハンデスのため《永遠リュウ》のマッドネスを許してしまう点は困る。 ちなみにハンデス効果は強制である。19弾で《シャバヨ》が来たおかげで多少対処しやすくはなった。
《黒神龍オドル・ニードル》
評価:4
まともな性能のトリガークリーチャー。 トリガーで出れば確実に1体足止めできる。もし相手が攻撃の足を止めれば、殴ってきたクリーチャーと相討ちを取れる。 この性質は、最近見なくなって久しい《デーモン・ハンド》に近い。 アンタップクリーチャーを処理する《デス・ゲート》の相性補完が取れていて、しかも《デス・ゲート》トリガーで《ニードル》を出せば2体分止められる。
攻撃を仕掛けるターンに出すのも有効。 相手の殴り返しやカウンターパンチに対する保険として、《ダンチガイ》《ドラゴン・ボーン》から横に置いておくのが強い。
《偽りの名 ヤバスギル・スキル》
評価:3
決して弱くはないが、強いと断言できるほどでもない。 墓地回収は継続的なリソース源となりうるし、コスト限定除去も相手によってはぶっ刺さる。 一方で、8マナのカードが動き出す頃に墓地回収は悠長とも言えるし、除去の方は完全に腐ることがある。 とりあえず毎回8マナ払うのはバカバカしいので、なるべく《ドラゴン・ボーン》や《ダンチガイ》での踏み倒しを狙うべき。
パワー8000は、スレイヤーを除くとND【ドラゴン・ゾンビ】の最高打点である。
《黒神龍ダンチガイ・ファンキガイ》
評価:3
ドラゴン・ゾンビのエース(笑)。 SR枠をもらったからには、デッキを牽引するパワーを持っていてほしかった。 一応、紙版はATだけだったのが、cipでもGJできるようになっている。
GJに勝ったときの出力は申し分ない。 仮に必ず能力が発動できると考えると、流石に強すぎるようにも思える。
ではなぜ弱いのかと言えば、負けると何も起きないからである。 往々にして《ザガーン》以下のゴミになってしまうのは流石に許せない。 【ドラゴン・ゾンビ】は黒主軸のため、マナが伸びない。 GJに勝ちやすい高コストのカードが入ってきにくいので、構築段階でGJに弱いことも指摘しておく。
GJ勝利時の効果が《ドラゴン・ボーン》と丸被りなのも微妙にイケてないポイント。 実際は依存度を分散できるという点で悪くなかったりするが、それはそれとしてSRの迫力とオリジナリティを感じさせてほしいものである。
開発班は《ダンチガイ》の性能調整に、もう少しその手腕を振るうことはできなかっただろうか。 先に指摘したように必ず使えたら強すぎると思うので、調整が難しいことは認めよう。 それでも、「GJを2回して1回でも勝てば」とか「負けても墓地回収は可能」とか、もういくらかのアッパーが欲しかったところである。
デッキ構築(19弾)
19弾環境の自分の中での結論構築がこれ。 ドラゴン・ゾンビらしく勝つため、《ダンチガイ》を4枚使うことだけは譲らない。
19弾で《アバヨ・シャバヨ》《エンゲージ・チャージャー》を獲得したのは大きい。 また環境的にも《N・ワールド》が減り、だいぶ戦いやすくなった。18弾環境よりは間違いなくやれる。 ただ、やれると言っても環境でバチバチにやり合うのは厳しい。噛み合えば勝てるかも、くらいのレベルである。
要素としてブロッカーが欲しかったため《ザビ・バレル》を入れている。
一番の問題はやはり、エース枠の《ダンチガイ》が全然強くないこと。 出力が不安定すぎてまともなゲームプランを立てることができない。 《ハルヴェルド》《オベル》の墓地肥やしの運にも左右されるので、使っている側もとにかく先が読めない。
地味な課題として、打点とパワーラインが足りない。 上手くコントロールできたとして、最終的には3000-4000の準小型、6000-8000の中型でちくちく詰めることになる。 パワーは微妙に足りない、即席打点は組めない、除去耐性持ちもいないので、押し込みも苦手。 ADだとこれを解決する手段が2つもある。
即席打点は組めないので、オベルシャバヨハルヴェルドら3000-4000の単打点で小突いていくことになる。
— ミケガモ (@nusu_fkr453145) 2023年4月9日
1弾のペコミラビートか?
パワーラインと墓地の有効活用という点で、真面目に《超神龍アブゾ・ドルバ》が欲しくなった。 《オベル》《シャバヨ》でグダグダ展開に持ち込んだあと、過剰打点で一気に攻め込めるはず。 《B・ロマノフ》を2枚ほど入れるのでもいい。とにかく即席打点が欲しい。
AD
気を取り直して、本命のADに望みたい。 組む前から本命と言い切れるのは、評価5のカードが2枚もあるから。
《神滅竜騎ガルザーク》
評価:5
文句なしの最高評価。3年前の収録とは思えぬ強さである。 《ガルザーク》下で《シャバヨ》を自爆させれば2体処理できることに思い当たり、やはりADでやるべきだと意を決した。
6コスト帯が渋滞するので、《ガルザーク》が参戦したら《ダンチガイ》には退席いただくほかない。
SATBにより、ND黒単【ドラゴン・ゾンビ】に全く足りなかったフィニッシュ力が手に入る。 さらに黒ドラゴン破壊時の能力は、破壊を主戦術とする【ドラゴン・ゾンビ】では特に輝く。 盤面制圧力も大幅にパワーアップだ。 1枚でこなせる仕事が多すぎる、これぞインフレの象徴である。 ↓の記事を読めば、《ガルザーク》についての想いがより深まることだろう。
《黒神龍グールジェネレイド》
評価:5
もう1枚のキーカード。 ドラゴン・ゾンビといえばやはり《グール》は外せない。 多少パワーラインが低くても強気に殴りに行けるのは、相手の破壊除去に対し大きなリスクを付与する《グール》がいるおかげである。 さらには、《オベル》の常在効果起動、《シャバヨ》自壊からのおまけ打点、《オドル・ニードル》のバリューアップと、新規ゾンビとも相性バッチリ。
レジェプレ2022でなぜか再録されたが、ロクに使われなかった。 2023のほうで再録されるべきだった。
《黒神龍ゾルヴェール》
評価:3
オリカの優秀なドラゴン・ゾンビ。 5-4000、実質キャントリップ付き、殴ろうと思えば殴れるブロッカー。明らかに2弾のスペックではない。
ただ、新規の《オベル》とコストおよび動きが被るので、4枚はいらないかなという印象。 それでもブロッカーという点を評価して投入している。
これもレジェプレ2022での再録だが、やはり2023のほうで再録されるべきだった。
《神滅翔天ザーク・ゼヴォル》
評価:3
《デスフェニ》のバーターオリカ。 なんちゃってでドラゴン・ゾンビなので、《オベル》などのゾンビ専用サポートも受けられる。
オリカだけあって基礎スペックは高いが、単体性能では同じ路線の《ハルヴェルド》にやや劣る。 しかしAD構築では、赤いドラゴンゆえ《ガルザーク》のTB化に貢献できる点、 手札に来た《グール》を墓地に送れる点が評価できる。今回は4枚採用でいいだろう。
《竜極神》
評価:3
バカタレに強いゴッド。《ゲキ》で《シャバヨ》を蘇生可能。 カードパワーを見込んで採用。
ただしDP殿堂のため、手札に来ていない状態でゲームプランに組み込むことはできない。 《オベル》や《ゾルヴェール》での回収も不可能。必須ではないと思う。
《ロスト・チャージャー》
評価:4
ドラゴン・ゾンビではないが、墓地利用のデッキではまず考えたくなる1枚。 仮に《グールジェネレイド》を採用しないにしても、《ヤバスギル》《ベルザローグ》などを確定で落とせば、デッキとしての安定性はぐんと向上する。
《ダンチガイ》視点だと、最重量コストを引っこ抜くことでGJに弱くなるのがちょっと嫌な気分。そうは言っても落とさないと始まらない。
《黒神龍ベルザローグ》
評価:3
一番デカいドラゴン・ゾンビ。《ダンチガイ》から出てきたらシンプルに脅威である。 《ロスチャ》《グール》のために今回はお留守番。 《ダンチガイ》軸のADゾンビを組むなら入ってくると思う。
《魔龍バベルギヌス》
評価:1
勘違いしないでほしいのだが、《バベルギヌス》自体は色々面白いことができる良カードである。 しかしこと【ドラゴン・ゾンビ】デッキにおいては、《バベルギヌス》を採用する意味はほとんどないと考えている。
ドラゴン・ゾンビは《ダンチガイ》や《ドラゴン・ボーン》で直接出せばいい。 学に、《バベルギヌス》経由で出さなければいけないようなカードを積むなら、それはもう種族デッキとしての【ドラゴン・ゾンビ】である意味がない。
さらに、《ロスチャ》《グール》を採用する場合はコスト的にも入ってこない。
デッキ構築
基盤は8-9弾頃の【赤黒ドラゴン】。 当時は《ゲキメツ》がエースだったり、【メカオー】【アポロ】【パンダ】を見るために《ボルガウルジャック》が入っていたりした。 今回のデッキは、そこに《オベル》と《シャバヨ》を加えただけである。 "だけ"と言いつつ、今までになかった軽量除去とハンデスの要素が加わったのは重要。
言わずもがな《ガルザーク》が強い。 過去環境で活躍した実績、《ガルザーク》を軸とする絶対的なカードパワーがあるため、ごっちゃなAD環境では絶対にマスター到達できるという確信があった。
個人的な趣味で《ゾルヴェール》を使いたかったが、単体だと出すタイミングが微妙に無い。 そこで、軽量化して1ターン内の複数枚プレイを狙える《コッコ・ルピア》を採用。 最悪《コッコ》《ガルザーク》《ガルザーク》で5tジャスキルが組めるというのもある。 《コッコ》はシータ基盤のデッキに弱いが、AD環境はそのシータ基盤の割合がNDほど高くない。 適切な状況で出せればちゃんと役に立った。
おわりに
バランス調整は上手いと評されるデュエプレであっても、「不遇なデザイナーズ」は時々生まれてくる。 強いデッキは一瞬で開拓が進んでしまうが、こういうデッキは基盤はロクに使われないので、 ただ基盤に乗っかるだけでも"自分で組んだ感"を味わえてお得だと思う。
《ドラゴン・ボーン》の評価を見誤ったのも、これを使ったコンボデッキが多く見られる一方、【ドラゴン・ゾンビ】デッキのテンプレがほとんど流れてこなかったからである。 いくらか回せば気付けることだというのに、思い込みで最初から否定してしまっていたのだから恐ろしい。 今後の教訓ということにしたい。
*1:《ゼキラ》はデメリット効果、《バベルギヌス》は重い