はじめに
この記事は利きビルダーコンテスト解説記事のうち、第1弾の部分のみを抜粋したものである。 内容は第1弾時点で公開していた解説記事から大幅にアップデートしてある(アップデート内容は元記事の方にも反映される)。 第1弾の復習をしてから第2弾に臨みたい方はどうぞ。
問題フォーム
第1弾
問題解説・第1弾
グループA・カード
- 《悪魔神グレイトフル・デッド》
- 《偽りの名 ルードヴィヒ》■
- 《ビクトリー・アップル》
- 五王と《エタフェニ》
※■ 基準デッキに採用。以降も同様。
デッキ製作難度は平均のつもりで作ったが、よく考えると十分に難しい。
《グデッド》はお題適性高めなカード。 《グライフ》ほど万能ではないが、強さ・使いやすさ・特徴がどれも高水準で、いろいろな使い道があると見込んでいた。 しかし、まさかの《ルナ・コスモビュー》とのコンボが2つ提出されてきたので頭を抱えた。
最後はDMPP-05収録の進化Vから自由に選んでくださいという形式。奇跡的に1枚も被りがなかった。 ハブられた《ナーガ》に合掌。
グループA・解説
基準デッキ
- エレナ
- グレン
- 回転率を保証した構築。このグループの中では判別しやすい。
- ブースト札や《ボルシャリオ》《ヴォイジャー》
- ルカ
- マイナー寄りのカードをエンジンに据える構築。色少なめ(?)
- 《二角》、《アンタレス》
- ルピコ
- 独創的なコンセプトを前面に押し出す構築。色多め(?)
- 《ジュカイ》+《シャドウ》、《デストラーデ》+《ルードヴィヒ》
エレナ-ルカ-ルピコの判別が割と難しい。 ルカとルピコは基準の2デッキだけ見ると、色数の傾向で判別できるように思えるのだが、実際はそうでもない。
基準デッキにした《ルードヴィヒ》は、ドラゴン軸ゆえあまり差が出なかった。当たり前。
A-1
「う」は《ジュカイ》で生産者表示しているルピコ。ここの正答率は75%近くで、流石に高かった。
「あ」は《奇兵》《ライプラ》で回転率が高いグレン。
「い」と「え」はともに《グデッド》《コスモビュー》。 ちょっと迷うが、《ピエール》《キラーメガネ》《ブラックルシファー》とマイナーめな1挿しがある「い」がエレナ。 と言いつつ、「え」にもどマイナーな《エニグマ・カスケード》が1挿しされているという罠。
A-2
クソマイナーな《アンリストヴァル》、《カチュア》1積みから「う」はエレナ。 ちょっとだけ選びにくいが、【ワイルド・ベジーズ】での無難な運用の「い」は、4人の中では一番真面目なグレン。
「い」のシンプルな2色構成がルカに、「え」のコンボ寄り多色構成がルピコに結びつきそうだが、この2人が逆。この問題は間違うほうがセンスとして正しい。 そもそも、ルカとルピコの色数傾向は基準デッキの中だけの話で、実際は全然それにとらわれない。 ルカは基準デッキの《ルードヴィヒ》で《カンタービレ》を入れていることから、「お題2個にクセ強めの同じカードを入れないだろう」というメタ読みを利かせると「い」を外せるかもしれない。難しいけど。
平均0.88点。第1弾中で2番目に低い。 解説の通り、ルカを「い」にして間違えた人が44%, ルピコを「え」にして間違えた人が42%いた。
A-3
《ロマネ》《バーズ》エンジンが手堅い「う」をグレンに、《グレグレ》《ドラピ》《デスフェニ》でコンボ脳な「あ」をルピコにする。
「い」「え」は迷いどころ。「え」が2色構築なのに引っ張られ、ルカに結びつけて間違いそう。正解率4割程度の2択に思える。
……と予想していたが、エレナ=「え」は正答率42%の簡単問題だった。基準デッキ2つと《スターマン》の共通点もないし、謎。
グループB・カード
- 《サイバー・G・ホーガン》
- 《偽りの名 ヤバスギル・スキル》
- 《時空の鬼若コーシロウ》■
- 城
お題としてはまあまあやらかしている。 上の3枚がどれも8マナを要求するため、マナ加速が必要なお題に偏ってしまった。 なんなら《ホーガン》《ヤバスギル》は《コーシロウ》から出せてしまう。
《ホーガン》はお題適性が非常に高いカード。構築を適度に縛りつつ、組む人の個性を引き出してくれる。
グループB・解説
基準デッキ
- チュリン
- 古くて渋いカードのチョイスが光る。破壊欲求強め。
- 《キュラトプス》、《霊光の化身》
- カイト
- コンセプト、構築ともにシンプル。メジャー基盤や明快なコンボに沿った構築が多め。
- 「エタサイジャクソン」のコンボ、王道の【トリーヴァグライフ】
- カノン
- デッキ全体でカードパワーと安定感を確保しつつ、1-2積みのカードで繊細なシナジーを組む。
- ブースト札多めのグッドスタッフ構成。《バリアント・バデス》《宝箱》《バウライオン》
- カスミ
- 独自マイナーコンセプトに全力投球。色少なめ・4積み多めで安定化を狙う。
- 《時空ホーガン》+青軽量進化、《コーシロウ》+《ミスディレクション》
チュリンとカスミは比較的選びやすい。 正しく方針を立てられれば割りとスムーズに解けるはず。
《デストラーデ》《オレオレ・ダークネス》《バウライオン》など、複数回登場するカードが多数あるのが面白い。
基準デッキを《コーシロウ》にしたのは、カノンとカイトの《グライフ》がミスリードになるのを避けた形。
B-1
「あ」は《グライフ》がカノンの生産者表示。基準デッキ2つとともに初動9枚体制なのも特徴である。
《オレダー》のハンデス欲、《オーラヴァイン》《メビウス・チャージャー》などの渋いセンスから「い」がチュリン。
王道の【青単トワイライト】に乗せた「う」がカイト。
《ザガーン》《ホーガン》の変態寄りコンセプト、かつ4x10の「え」がカスミ。
平均1.85点。第1弾の中では2番目に高い。 カイト=「う」だけランダム解答並だったが、それ以外の3人は正答率50-60%と解きやすかったようだ。
B-2
グループBの中では難しめ。
2色構成、かつマイナーな《ボーン》4積みから「い」がカスミ。 1-2積みの多いグッドスタッフ構成、かつ初動9枚の「あ」がチュリン。
『黒単Bロマノフ』の「う」は、破壊衝動のあるチュリン、素直なコンセプトのカイト、両方に結びつきそう。 「え」のカードチョイスが《プライマル》《ダイイング》《バウライオン》など全体的に渋めなので、そちらをチュリンにする。
平均0.65点。第1弾中で最低である。 特にカイト=「う」を当てた人は48人中4人しかいなかった。《ドルバロム》と《DEATHドラ》の大量破壊ムーブ、結びついてもおかしくなさそうだがそうでもないらしい。 誤答として顕著に多かったのは、カスミ=「う」。色の少ない構成という根拠で選んだ人が多かったか。 「う」はコンボもマイナーカードも少ない構築ゆえ、カスミの傾向とは異なっている。
B-3
オールイエス基盤の「え」がチュリン。ここは正答率約60%と顕著に高かった。
マイナーSR《エルレヴァイン》を2色構成で仕上げた「う」がカスミ。
構成全体が王道の【赤緑ハンター】である「あ」と、【黒エンジェル】基盤を《ハッスル・キャッスル》はじめとする緑でアレンジした「い」では、 前者がカイト、後者がカノンの傾向に近い。
グループC・カード
いっっっちばんヤバいお題。このグループに振り分けられた4名の皆様、申し訳ない。
《ライオネル》を用途多彩枠で配ったつもりだったが、冷静に考えれば構築は死ぬほど難しい。 大まかに《ワテライオ》軸と【ターボゼニス】軸の2種類を想定していたが、全員前者で来たため判別もできなくなった。
そこに加えて《プラチナム》という、これまたクセの塊のようなカード。 筋金入りのカジュアルデッカーならともかく、ガチデッカーや構築初心者にとっては地獄のようなお題セットとなっている。
《パンドラ城》はアドバイザー提供のお題。 中々のカードパワーでありながら一筋縄ではいかない、絶妙なラインのカードだと感心した。
グループC・解説
基準デッキ
- 勝舞
- 白凰
- 攻撃的かつ破壊要素が多い構成。デザイナーズ基盤に忠実。赤と白を好んで使う。
- 《武者》&《ウルフェウス》、エイリアンビート
- 黒城
- ミミ
- この中では比較的素直な構築。攻略上は消去法で選ぶのが無難。
- 実は代表デッキがスタートチャージ用なので、クイズ中に特徴を掴むのは難しい……。
勝舞と黒城を同席させたのが采配ミス。 別グループなら、2人とも異彩を放つ構築ですぐ見分けられるボーナスキャラになれたのに……。 攻略上は4x10構築を勝舞のほうに結びつけることで正解可能。
《パンドラ城》はクローシスの素直なエイリアンビートが2個来たため、あえなく基準デッキ送りとなった。
C-1
「ライオネル」テーマを取り込み、破壊的なカラーリングで仕上がっている「あ」が白凰。
「い」「う」はコンボ構築。コンセプトから判別するのは難しめだが、4x10の「う」を勝舞に、 《バルホルス》《オレワレオ》のチョイスが《ザラブ》《プラチナム》《ガブリエラ》あたりと近い「い」を黒城に充てたい。
消去法的にミミが「え」。
C-2
難しい。コンボ&4x10の「あ」を勝舞に結びつけた後、残り3つが判別困難。
- 相手干渉要素の多い「う」が白凰
- 手数の多いコンボを狙う「い」が黒城
- 【サバイバー】基盤で比較的素直な「え」がミミ
という説明ができるが、自信を持って選べるほどハッキリした特徴にはなっていない。
C-3
マトモなデッキじゃない(←褒めてる)「あ」が黒城。 4x10でこそないが、ロマンを追い求めている「い」が勝舞。 《武者》で生産者表示している「え」が白凰、素直な《サンダム》の「う」がミミ。
平均1.96点。第1弾の中で1番高い。 特に《武者》つながりの白凰=「え」は、正答率77%の楽勝選択だった。 むしろ逆張りする人が2割いるのか……。 黒城の異端児っぷりも流石によく正答されていた。
第1弾解答状況
2023/5/1時点で、48人の方にクイズを解いていただいている。 結果の概要は以下。
……なんだこれ。
4点 x 9題=36点満点のところ、平均はわずか12.13点。 最高は出題サイドで有利な条件の方の21点、非出題者に限れば19点だった。
仮に全てデタラメに答えた場合、今回の形式では1題あたりの得点期待値は 11/12 ≒ 0.91666...点。第1弾なら9題で8.25点、第2弾なら6題で5.5点となる。 一応、第1弾の平均点は、それよりは有意に高い。 また出題形式上、4点を逃すと2点になってしまう(1つ間違えると連動してもう1つ間違う仕組みのため)のもシビアではある。
が、得点率33%が平均のクイズは、果たして良い問題と言えるのか。 問題を解くからには、やはり正解する喜びを味わいたいものである。 デタラメよりはいい結果が出ているからといって、満点の半分にも届かないような点数では、決していい気分にはなれまい。 第2弾はもっと問題を簡単にしようと意を決するミケガモであった。
ただし、この点数の低さは、誰かの過失や能力の低さに起因する失敗というわけではない。 今回、製作者の皆様には、お題以外の指示を特に出していない。 製作者同士ですり合わせなども特にせず、純然たるレシピだけを提出いただいている。 ミケガモがコントロールしているのは、製作者のグループ分けと、基準/問題の振り分けのみだ。 問題を解きに来ている人も、多くはデュエプレへの理解が深く、自身でのビルド経験も豊富な方である。
そういう中でベストを尽くした結果が、今回の得点分布なのである。 言い方を変えると、平均点をなんとしても上げたければ、デッキ製作の時点でヤラセをするか、何かほかのメタ読み要素を入れなければならない。
この企画は、かなり挑戦的かつ実験的であることは理解していた。 その結果として、デッキ製作とはそんなに単純なものではないんだよ、ということが示唆された。 問題を解いて爆散した方々には申し訳ないが、これはこれで価値のある結果だと考える。
問題制作裏話
第1弾の反省と第2弾の工夫
第1弾はあまりにも難しすぎたので、第2弾でやり方を少し修正した。
まず、第2弾では基準デッキを「象徴デッキ + お題4つのうち2デッキ」とした。 製作者ごとの特徴をつかみやすくすると同時に、難しそうな問題をもう1つ弾くことができる。 問題数が9題から6題に減ってしまうのが心残りだったが、前回は量が多すぎたのでこれでよい。
次に、お題をよりデッキが組みやすいカードに変えた。 《ルードヴィヒ》《ヤバスギル・スキル》《プラチナム》のような難解なものは避け、ガチからカジュアルまで多様なデッキが組めるものを選んだ。
さらに、象徴デッキを問題に使うことを伝え、提供者自身が不適だと思ったらそれを再提出してもらった。
これで少しは得点率が上がればいいのだが、果たして……?