はじめに
記事をのんびり書いてたらDP殿堂しやがった。
お題
カード考察のお題を投稿させて頂きます。「魂と記憶の盾」エターナルガードに対するミケガモさん個人の所感に加え私個人の2つ質問を考察をお願いいたします。 ①コストが3から4になった点について ②低コストカードを盾送りにするとドローできる点について
https://odaibako.net/detail/request/8ddff778-2ea8-453e-af4a-d6c5ff2c06ac
考察の前に書いておくと、デュエプレ《エタガ》は良カードだと今でも思っている。
収録時の感想
5弾でこのカードが収録されたとき、「めちゃくちゃ良い調整じゃん」と思った。
本家では、大型をたった3コストで消せるせいで殿堂入りしている。 これを顧みて、コストが1増えた。
しかし、4コストには《デス・スモーク》《炎獄スマッシュ》といった軽量除去がある。 それらとの差別化のために、確定除去の旨みが薄い軽量を除去した時には、 水文明要素としてドローがつくようになった。
使われなかった時代
実装されてしばらくの間は、《エタガ》の採用率は低かった。
当時は3~5コスト圏に、除去したい対象がいなかった。 というのも、小~中型クリーチャーを【天門】が狩りつくしていたからである。
環境にいる小型クリーチャーは、スノーフェアリーとウェーブストライカーくらい。 【ブリザード】相手に1体除去&ドローしても仕方ないし、 【ウェーブストライカー】はチャージャーからの《裁》や《ザーディア》で十分崩せていた。
6~7弾では、スペースに余裕のある【4c天門】が《エタガ》を積んだり、 クローシスベースの【除去サファイア】が《エタガ》のために頑張って白を入れるケースがあったりした。 この時代では、《エタガ》は必須級のカードとは言えなかった。 せいぜい、力を増してきた《カチュア》を封じるメタカードという立場だったように思う(それも重要だったが)。
《エタガ》の台頭
様子が変わってきたのは8弾の頃から。
放置すると致命傷を負う《ゲキメツ》の登場で、確定除去の需要がアップ。 大流行した【ゲオルグ天門】においては、3コストブーストの《ウルコス》が登場したことで、 《ヘブンズ》や《アガピトス》の前に4~5マナ圏のカードをプレイする余裕ができた。 *1
8弾EXになると、《驚天の超人》《烈流神》の2枚が登場。 これらを対策するため、《エタガ》の需要はさらに高まった。
9弾環境では、【ガントラビート】の3コスト連中や、 破壊を受け付けない《ゼンアク》の登場で、《エタガ》の採用はますます堅くなった。 多色の《アルカディアス》一家リリースで、 コントロールの99 %が白を積むようになり、《エタガ》が無理なく入るようになったのも大きい。
先攻ゲーの助長
《エタガ》は、特に先攻を取った時に強いカードである。
3マナ圏には、《ルピア》《ラルック》《ガントラ》、環境外では《キラ》《アルフェラス》など、 放置したくないクリーチャーが多くいる。 先攻を取れば、これらコスト3のクリーチャーを出されても、返しでそれを埋めることができる。 先攻は手札が少ないので、ドローできるのも嬉しい。
一昔前だと、類似した性質のカードとして《クリムゾン・チャージャー》があった。 しかし、あちらは火力なので終盤腐るのが課題だった。
個人的に、このカードがあると、グランド・デビル、ティラノ・ドレイク、 武者ドラゴンなどの小型に依存するデッキが一生浮かばれないのが良くないと思う。 小型デッキは《メツ》まで繋がれるだけでキツいのに、 それに《エタガ》でアド差までつけられては太刀打ちできない。
《エタガ》は必要悪
《エタガ》は、「軽量かつ腐りにくい、非破壊の確定除去」という、 今のコントロールに必要な要素を集約したカードである。
しかしこれは、《エタガ》が環境において強力すぎることを意味しない。 むしろ現環境には、《エタガ》でなければ止められないクリーチャーが何体もいる。 《エタガ》は、それらを抑え込むための必要悪だった。
唐突なDP殿堂
2021/8/26, 10弾のリリースに併せて、《エタガ》がDP殿堂となることが発表された。
先に述べた通り、現環境における《エタガ》は、必要悪としての側面が強かった。 「《エタガ》採用デッキの勝率は5割を切っている」「1つのデッキあたりの採用枚数が多い」という公式レポートを見ても、 コントロールデッキが頑張って《エタガ》を4枚採用してもなお、 他のデッキに勝ち切れていないという構図が見えてくる。
これを考えると、《エタガ》を消すなら、 道連れにすべきカードがいくつかあったはずである。 《烈流神》は、既に多くのプレイヤーから指摘が出ている通り、その筆頭だろう。 個人的には、《カチュア》《レオパルド・ホーン》あたりもヤバいと思っている。
《アガピトス》等のナーフ、《アポロヌス》DP殿堂のあたりから、 カードバランス調整のやり方が少しずつ雑になってきているように感じる。 対戦環境のことを考えてくれるのはありがたいが、問題点の本質を見誤らないでほしい。
おわりに
この記事を書いたことによる収穫は、
《エタガ》が良調整に見えたのは、【5c天門】によって環境が歪められていたせいだった
と分かったことだ。
仮に、5弾が五王たちの活躍できるような環境だったとしたら、 《エタガ》は早々にヘイトを集めていたと思う。
初期《ブリザード》を見せられた後の《ボルバルザーク》のときもそうだったが、 1つのカードを絶対的に評価するのは難しいのだと改めて感じた。
*1:この現象は、《ロスチャ》をブーストカードにしている6~7弾の【4c天門】にも見られた