お題
9弾で友好色・敵対色の多色5マナ2000サイクル(アクアポインター、マグナスなど)の10体が出揃ったのでソレらの解説を見てみたいです。
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5マナ2000サイクル
5マナ2000で、各文明に対応した強力なcip能力2つを併せ持つクリーチャーサイクルの通称。 コストパフォーマンスが高いため、紙でもデュエプレでも、 中継ぎ役として重宝されてきたカードたちである。
デュエプレでは、友好色の5体が3弾に、敵対色の5体が9弾に収録された。 この記事では彼らを1枚ずつ解説していく。
なお、デュエプレ参戦にあたって、次のように能力が改変された。
- 白:シールドが6枚以上の時に、シールドを追加できなくなった。
- 青:シールド1枚ピーピングが、ドローになった。
白は、基本的には弱体化。 カードパワーがインフレ途上にあった3弾の時点で、 シールド追加をそう何度も使わせんぞという意図か。 あるいは、盤面7体制限があるデュエプレでは、 シールドが増えすぎると殴り切れなくなる恐れがあると判断されたのかもしれない。
青は、全プレイヤー待望の仕様変更。 本家デュエマでは、 初期のドロー軽視の失策(例:《サイバー・ブレイン》《ストリーミング・シェイパー》《アクアン》)を反省しすぎて、 青の能力は必要以上に弱くされていた。 コスト論で見ても、青の1ドローは緑の1ブーストよりも弱い。 この調整は至って妥当だ。
それでは、各カードの解説に入ろう。
友好色
友好色の5枚はDMPP-03収録。 9弾環境からはNDでスタン落ち。
《電脳聖者エストール》
採用:【ドロマーイニシエート】【トリガーボルバル】(3弾)
知性があふれ出る佇まい。
将来的に手札を2枚増やす強欲なカード。
ただし、効果の方向性は若干噛み合っていない。 シールド追加はビート対面で使いたい効果だが、対ビートでは手札を持て余すのでドローが腐る。 コントロール対面だと、シールド追加はあまり意味をなさないばかりか、 シールドとドローでデッキを2枚削ってしまうのがかえって痛い。 腐りにくいと解釈することもできるが、器用貧乏と言うほうが的確だろう。
自分は白青のカラーリングが好きなので、このカードも大好き。 フレーバーテキスト、デュエプレでのボイスも含めて、このサイクル中だと一番のお気に入りである。 特に実装当初は、【イニシエート】に積める青マナというのがすごく嬉しかった。
《腐敗電脳アクアポインター》
採用:【青黒ボルバル】(4~5弾)、多くのコントロールデッキ
紙だと見覚えがない。デュエプレでは見たくもない。
ハンドアドバンテージを具現化した存在である。 ドローとハンデスは、サイクルの中で最も腐りにくい2つの効果の組み合わせ。 サイクル中でも屈指の汎用性を誇る。
4~5弾環境の【青黒ボルバル】では、 《タッチ》《汽車》からランダムハンデスをリレーして猛威を振るった。 《タッチ》《汽車》が消えた6弾環境以降は、 《ロスト・チャージャー》からテンポ良く繋ぐカードとして引き続き活躍している。
ただし、環境がインフレすると盤面処理が忙しくなってくるため、 悠長にハンドアドバンテージを稼ぐ暇は無くなる。 実際、7弾の超神星環境における《アクアポインター》入りコントロールは、全体的に下火だった。 あれだけ嫌われたコイツが使われなくなる日も、意外と近いのかもしれない。
《腐敗勇騎ガレック》
採用:赤黒入りコントロール
ガレキ人間。
ビートに積みたいブロッカー破壊と、コントロール向きのハンデスは、 一見して方向性が逆である。
しかしながら、コイツはサイクル中で唯一、相手のリソースを2枚削れるカード。 コントロールミラーにおいて、相手クリーチャーを破壊しつつのランダムハンデスは、 アドバンテージ差を大きく広げる一手となる。
最近は《アガピトス》《ジャック・アルカディアス》《ボルシャリオ》など、 汎用性の高いブロッカーが多い。 《ガレック》のブロッカー破壊が全く機能しない相手は、めったにいないだろう。
《暗黒凰ゼロ・フェニックス》の進化元にもちょうどいいカラーリングだ。 9弾EX環境現在、NDから落ちたのが最も悔やまれるカードである。
《無頼勇騎ウインドアックス》
採用:【シータメイデン】(4弾)
崖際に立ってて怖くないのかな。
サイクル中、1,2を争う扱い辛さだと思っている。
ゲームを終わらせるために、破壊対象がいるときを見計らって出したいブロッカー破壊。 将来のゲームプランを見据えて、マナカーブに従って決められたターンで使いたいブースト。 2つの効果は、強いタイミングが全く異なる。
《ウインドアックス》に限らないが、このサイクルに登場する種族だと、 赤のヒューマノイドは最も活用しにくい。 ヒューマノイドは軽量種族なので、 種族デッキ(せいぜいファンデッキだが)を組もうとすると、 中コストの5マナ2000サイクルは候補に上がりにくい。 紙の方ではヒューマノイド再プッシュの流れがあったので、 その時にこいつらが注目されると良いのだが。
《無頼聖者スカイソード》
採用:【白黒ボルバル】(3弾)、【リースペガサス/二角牙】(6弾)
笑顔が素敵。
マナを伸ばしながら、シールドを追加してそのマナを使うための時間を稼ぐ。 効果の方向性としてはよく噛み合った1枚である。 デュエプレオリジナルの《二角牙》に繋げてやりたい。
その一方で、腐るときにはとことん腐るカードでもある。 コントロール相手の終盤、殴り手として出したいのに、 デッキを2枚も削るコイツに頭を抱えた経験は誰しもあるはず。 《聖獣王ペガサス》から美兎ソードが出てきてライブラリアウトした加賀美社長の姿は忘れない。
敵対色
敵対色の5枚はDMPP-09収録。 友好色サイクルのスタン落ちと同時にデュエプレ参戦。
《腐敗聖者ベガ》
採用:コントロール全般
「ペルソナ」シリーズをプレイしていた時、 キウンとコロンゾンを合体したら《ベガ》になりそうだなーと思ってた。
シールドを追加しながら、ハンデスでリソースを削る。 放っておけば《キング》に進化。 ビートダウンにしてみれば悪夢のようなカードである。
一方、コントロール相手だと、 《アクアポインター》《ガレック》《トリプルマウス》らよりは劣るカードとなる。 ただ、シールドが6枚以上にならない仕様は、 コントロールミラーで《ベガ》を使う際にはむしろ有難かったりもする。
昔の《エストール》に比べ、今の《ベガ》の採用率が圧倒的に高いのを見ると、 役割のハッキリしたカードの方が運用しやすいということらしい。 これからの環境でも、長く見ることになるであろうカード。
《電脳勇騎マグナス》
採用:?
カッコいいんだけど影が薄い。
ブロッカー破壊で壁を壊し、ドローで後続を持ってくる。 ビートダウンの戦略にはよく噛み合うカードである…… はずなのだが、今のビートダウンには《烈流神》をはじめとして、 より強いカードが積まれている。
昔は《エリクシア》《バルホルス》さえ破壊出来れば……というシーンが多かったのに対して、 今は《アガピトス》によってブロッカーが複数並ぶ状況が増えたため、 《マグナス》の1体破壊では突破口が見えないこともしばしば。 インフレと環境の変化で、活躍するタイミングを見失ってしまった。
昔組んだ自作デッキでは、 『地脈ビート』『マルドゥクスメタビート』あたりに《マグナス》を入れたいと思っていた。 3弾に収録されてればなぁ。
《腐敗無頼トリプルマウス》
採用:【黒緑ドルバロム】【5cコン/フュージョン】
品。
ハンデスでちょっかいを出しつつ、 ブーストで自分のやりたいことを目指せるこのカードが、弱いわけがない。 現環境では思ったより見ないが、それでもかなりの使用率である。 《ポインター》と比べると、爆発力で勝り、腐りにくさで劣る。
現状、コイツが使われているのは【黒緑ドルバロム】【フュージョン】のランプ系。 ランプデッキは得手不得手が強く表れるので、環境に占める割合は頭打ちになりがちである。 もし今後、これらに加えて緑入りのコントロールが環境に入ってきた場合は、 見かける頻度がもっと増えるはず。
個人的には、8.5弾環境の【4cアガピトス】(白黒赤緑)にコイツが採用されたのかどうかが気になる。 9弾リリース直後に共存できたタイミングが一瞬だけあったものの、 その時はリリース直後で環境が荒れていたため、これを使っている人は多くなかった。 《ゲキメツ》に繋がるので結構いい働きをするのではと思うのだが、どうなのだろうか。
《勇騎聖者ジェット・アール・イー》
採用:?
名前だけクソカッコいい。
腐りやすい能力2つをチョイスした残念カードである。 守りたいのか攻めたいのかハッキリしてほしい。
リリース前は【トリガービート】での活躍が期待されたが、結局あまり見ない印象。 白赤という色基盤にしても、 あまりに汎用性の高い《聖鎧亜ジャック・アルカディアス》の登場で存在意義が薄れた。
自分の知る範囲では、【赤白武者】に就職しているのを見かけた。 盾追加は《武者》の補填として有用らしい。 色的に他のグッドスタッフカードが無いだけというのが本音だと思う。
《無頼電脳スプラッシュアックス》
採用:?
紙のほうでは転生に成功している。
リソースブンブン。 自分の事しか考えてない効果が大好き。 昔からずっと使いたかったカードなのだが、 未だにいいデッキを考えてやれずにいる。
環境ではほぼ見ない。 ドローとブーストは、堅実で汎用的な効果のはずである。 ところが、このサイクルの白黒赤の効果に比べると、コスト論的なパフォーマンスはよろしくない。 また、他のカードで代替が利きやすい効果でもある。 それゆえ、同僚に比べると「《スプラッシュアックス》を採用しなければならない理由」が弱いのだと思う。
総評
主に環境での使用率から見た評価はこう。
↑ 強い
- 《アクアポインター》《ベガ》
- 《ガレック》
- 《トリプルマウス》
- ==== 黒の壁 ====
- 《スカイソード》
- ==== 環境の壁 ====
- 《スプラッシュアックス》《マグナス》
- 《エストール》
- ==== 汎用性の壁 ====
- 《ウインドアックス》
- 《ジェット・アール・イー》
↓ 弱い
やっぱりランダムハンデスが強い。 《タッチ》《汽車》が制裁を食らってからは、ランダムハンデスはほぼ彼らでしか撃てない。 5マナ2000サイクルが遅めのデッキで使われることが多いため、 コントロールよりの能力を持つカードが重宝されるという背景もある。
《ベガ》《アクアポインター》《ガレック》は、どれも甲乙付け難い。 《トリプルマウス》も今でこそ一歩劣るが、将来的に伸びてくる可能性は大いにある。
累計の使用回数は、間違いなく《アクアポインター》が優勝。 一方、環境によっては、《ベガ》《ガレック》の尖った能力の方が強くなるということも容易に起こる。 今のコントロールは、《ジャック・アルカディアス》《魂と記憶の盾》で白入りが主流。 ドローソースは《アクアン》で十分で、なおかつ《ビューティシャン》も新たに参戦している。 こういった背景から、仮に今《ポインター》が使えたとしても、 《ベガ》の方が採用率が高くなる可能性は十分に考えられる。 ただ、個人的には、《アクアポインター》が弱い世界であってほしくない。 彼にはもう少し意地を見せてほしいところだ。
《スカイソード》は、環境で使われていたギリギリのライン。 個人的には、6弾環境の《スカイソード》の用途が結構好き。 マナとシールドを伸ばしながら、 【ツヴァイ】【アウゼス】に対して《アポカリプス・デイ》をぶち込んで耐久し、 10コストで《サファイア》を出して〆るという、 とても綺麗なデッキになっていた。
《スプラッシュアックス》《マグナス》《エストール》は、 なんとか上手く使ってやりたいカードたち。 ドローがこのランクに3枚入っているのを見ると、5マナで1ドローは悠長なのかもしれない。
《ウインドアックス》《ジェット・アール・イー》は、使い方がよく分からない。 それでも、構築時に頭の片隅に置いている程度には、カードパワーがある。
おわりに
多色カードの象徴ともいえる5マナ2000サイクル。 色によって性能に差はあれど、5マナ圏のカードに困ったら間違いなく採用候補に上がってくるカードたちだ。
逆に言えば、こいつらがいるせいで、中途半端なスペックのコスト5のカードは頭から抜けがちである。 他のカードにも意識的にスポットライトを当てていきたいところだ。