ミケガモのブログ

《ヘヴィ・デス・メタル》《アマテラス》《ドルゲユキムラ》について【デュエプレ】【DMPP-11】

お題

11弾の「ヘヴィ・デス・メタル」「アマテラス」「ドルゲユキムラ」のミケガモさんの所感と考察記事を読んでみたいです。

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ヘヴィデスメタルの強さ考察記事をおねがいします!

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なぜツヴァイが強くてユキムラがあんまり強くないかの考察をおねがいいたします!

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《破壊龍神

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みんな待ってた《ヘヴィ・デス・メタル》。

11弾の「戦極大決戦」のロゴがそれに見えるという予測は一部で出ていたものの、 実際に収録が発表されたときの界隈の反響は凄まじいものがあった。

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真ん中の「眼」が特徴的。

紙の方での功労は、極神編ゴッド随一の使用率を誇った汎用性・カードパワーの高さ。

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特に《ヘヴィ》の側は、5-5000効果持ちドラゴンという標準以上のスタッツ、 お互い自壊してから自分だけ1ドローでアドバンテージを稼げるという、 当時としては破格のスペックを持つ。 pig持ちと組み合わせたり、 《グールジェネレイド》を起動したり、 《ダーク・ヒドラ》や《アク》でループしたりと、 《メタル》なしでも使われるレベルのカードだった。 その結果、環境でしばらく使われた後、《ヘヴィ》だけが殿堂入りとなってしまった。

リンクした《ヘヴィ・メタル》は、汎用性の高いフィニッシャー、および主にビート相手の盤面制圧要員として大活躍。 グッドスタッフコントロールの切り札として、絶大な人気を誇った。

そして《デス》はネタカードだった。


所変わってデュエプレには、ゴッドカードの形で参戦。 《ヘヴィ》のドローは、自壊時ではなくリンク時に持ち越しとなった。 ゴッドカードになったことで、《ヘヴィ》を自壊させて使い回すムーブは困難に。 《メタル》は純粋なランデス効果ではなくなり、除去されるとマナが回復する仕様となった。 さらにリンク時は、強制攻撃が1回限定になった。

またあまり触れられないことだが、紙だとWブレイクとTブレイクを選べたので、 《ヘヴィ・メタル》を寝かせる目的でWブレイクを選択することがあった。 デュエプレではTブレイク固定のため、この小ネタも使えなくなった。

一応の強化点としては、

  • 《ヘヴィ》が自壊しなくても1ドローできうる
  • 《メタル》がギア破壊とマナ干渉を同時にできる
  • ゴッドカードの仕様のおかげで最初から1ドロー相当のアドバンテージを得ている

といった感じ。この辺りで、弱体化分とトントンくらいかなというのが自分の見立てだった。

だが、《破壊龍神》が持つポテンシャルはそこではなかった。

今までカードファイルに眠っていた、《破壊神デス》の逆襲が始まったのである。

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ぴったりリンクしている姿が美しい。スリーブに入れてるとこうは行かない。

《ヘヴィ・デス・メタル》の効果は、パワーが1000上がった以外紙と変わっていない。 リンクさせればまさに圧勝。オーバーキルと言っても過言ではない、ロマンあふれるカードである。

だが、紙とデュエプレでは事情が違う。

紙の場合、《デス》は腐りやすいので、わざわざデッキスペースを割くほどの価値はなかった。

ところがデュエプレの場合、ゴッドカードの仕様によって、《ヘヴィ・デス・メタル》は1枚のカードに集約された。 これによって、《破壊龍神》というカードは、 「そこそこの単体性能を持ちながら、放置するとほぼゲームセットになる危険な爆弾」という神に成り上がった。

やるべきことは、カード1枚からなる《ヘヴィ・デス・メタル》の完成だけ。 デッキスロットを割かずに、圧倒的な勝利が無理なく狙える。 これは《ボルバルザーク》の再来と言っても過言ではない。

一応、《ボルバルザーク》と違って除去で対応するタイミングはあるし、 DP殿堂の神・《ゲキメツ》ほど早く出てこないので、対処しようのなさではこの2枚よりはマシかもしれない。 しかしながら、どんなデッキにも組み込めて、これ1枚で勝ててしまうという性質は、《ボルバル》《ゲキメツ》と同じである。

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ここまで《ヘヴィ・デス・メタル》の強さを解説したが、 実際のところ《破壊龍神》が即刻規制されるべきとまでは思っていない。 アッパー調整がほぼない(むしろ部分的に弱くなっている)にもかかわらず、環境に堂々と参戦できているのは素晴らしいことだと思う。 デュエプレ開発班の手腕に改めて感心している。

個人的な意見としては、これはこれで良デザインなものの、紙の頃の《ヘヴィ・メタル》とは別物という印象である。 《ヘヴィ》が強かった紙版《HDM》と、《デス》が活き活きしているデュエプレ版《HDM》。 あなたはどちらが好みだろうか。

ちなみに一部界隈では、《破壊神デス》の「スピードアタッカー」の意味を考察したり、 単体の《破壊神デス》を抽出しようと試みがなされたりしている。 やはりカードとしての人気も高いのが《ヘヴィ・デス・メタル》のようだ。

youtu.be

《青狼の始祖アマテラス》

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6-5000, 出た時に山札からコスト4以下の呪文またはクロスギアを直接使う。 紙ではプレミアム殿堂まで上り詰めたトンデモカードである。

流石にデュエプレでも許されないだろう……と思われていたら、まさかの無調整で登場。 多くのプレイヤーが驚き、歓喜した。

しかし実装されてみると、11弾環境に与えた影響は微々たるものだった。

最も使われたのは、【ガントラビート】で《運命の選択》を撃つパターン。 しかし今やそのタイプの【ガントラ】も減り、黒型に戻りつつある。

他には、

  • 《マッハアーマー》を持ってきながら《紫電》《剣誠》の数稼ぎに使う
  • 【ナイト】ではないコントロールで《バレット・バイス》を撃つ
  • 《バルクライ王》で釣り上げて《フォトン・クロック》を撃つ

などが考案されているようだが、どれも環境外のコンボにとどまっている。

このように《アマテラス》が活躍できていない原因を考えた結果、以下の3つが思い当たった。

1つ目は、デュエプレのクリーチャーがインフレを起こしていること。

デュエプレでは、クリーチャーのカードパワーのインフレが、呪文のそれに比べて著しい。 6マナ溜まったときにコスト4以下の呪文を唱えても、コストに見合ったカードパワーを発揮できないのである。

ただしこれに関しては、「クリーチャーを出す呪文」が出てくれば途端に話が変わる。 現状唯一環境で使われた《運命の選択》も、クリーチャー踏み倒しのカードだ。 ここへさらに、《アマテラス》が場に出ることに価値を見いだせるとなお良い。

具体的には《母なる星域》が欲しい。

ちなみに、【ガントラビート】がそこそこ活躍できたのも、 青クリーチャーを場に残して《ガルベリアス》が強くなるというオプションがあったからだろう。

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2つ目は、探索システム。

サーチ・回収系のカードに降りかかるこの災厄からは、 《アマテラス》も逃げられなかった。

具体的には、《ライフ》《ギフト》といったブースト系カードが積みにくくなる点。 また、《天使と悪魔の墳墓》《翡翠と紅玉の炸裂》《リアルとデスの大逆転》といった、 渋めな呪文をシルバーバレットとして運用するのが難しい点。

山札が完全サーチできてしまうと、シールドの中身確認という恐ろしくテンポの悪いプレイングができてしまうため、 ゲームシステム的に仕方のないところはある。 ゆえに改善は絶望的だが、やはり残念なところである。

それはそうとマナ・墓地の探索はなんとかしてくれ。

3つ目は、サーチ対象に殿堂呪文が少ないこと。

これは1・2つ目と被るところもある。

紙の方では、《サイバー・ブレイン》《転生プログラム》《母なる紋章》など、 デッキに1枚しか入れられない呪文を《アマテラス》で引っ張ってきて、 《デ・バウラ伯》で使い回すのが強かった。

こういったデュエマ初期のコスト論ぶっ壊し軽量呪文たちは、デュエプレ世界線にはほとんど来ていない。 あるのは《魂と記憶の盾》だが、こちらは《アマテラス》参戦と同時にスタン落ちしたためか、 あまり研究が進んでいないように思える。

以上が、デュエプレの《アマテラス》に足りない要素だ。

ところで、このカードの本領は、組み合わせられるカードの豊富さにある。 コスト4以下の呪文・ギアが出るたび、《アマテラス》の選択肢が確実に増えていく。 この拡張性は、現行のカードでは間違いなく1, 2を争うレベルだ。 いずれ大化けするポテンシャルを秘めているのは間違いない。

今の時点では期待外れかも知れないが、今後も注視していくべきカードである。

《終の忍者 ドルゲユキムラ》

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背景ストーリーの都合で先行輸入された哀れなニンジャ。

DMPP-11が出るに先立って少し調べた感じだと、現代デュエマのジャイアントは、

  • ジャイアント・インセクトを組み込める
  • 《西南》がツインパクト込で8枚まで積める
  • 《佐助の超人》《サイゾウミスト》など優秀なシノビがいる

という強みで戦うデッキで、《ユキムラ》はそこに2枚ほど入るのが基本のようだった。 当然、10弾までのデュエプレに、これらのギミックは無い。 11弾でサポートカードをしっかり出してくれるのだろう、と思っていたら……。

来なかった。

ジャイアントで収録されたのは、《怒流牙 サルトビ》のみ。 わざわざ《ユキムラ》を引っ張ってきて、この仕打はあんまりだ。

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まあまあ強いよ。

ここで、《ユキムラ》本体のスペックがどう変わったかを見てみよう。

  1. パワー17000 → 13000
  2. G・ゼロは場に1体までの制限
  3. クリーチャー回収はランダム3体

……はぁ。

まず一番意味不明な、パワーの弱体化。

正直、13000~17000のパワーを持つクリーチャーは少ない。 今の環境デッキだと、《マーキュリー》《バルガライゾウ》くらいのものだろう。 ここのパワーラインが重要になるシーンは、そう多くない。

しかし、だからこそ、ここでパワーを下げる意図がわからない。 重要な場面が多くないとは言ったものの、 【メカオー】【ライゾウ連ドラ】に対して殴っていけるかどうかは明らかに変わる。 パワーラインが重要になる試合ではこの調整を非常に恨めしく思うだろうし、 試合に関係なかったとしても気分がよろしくない。

次に、G・ゼロの制限化。

まあマナ回収から連鎖したら困るからというのは分からないでもない。 ランダム回収だから確定しないけどさ。

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じゃあコイツはいいのかい?

なんならパワーも同じになったんだけど???

ジャイアントは火力除去に強いという差別化ができているものの、 G・ゼロでT・ブレイカーを出すことをゴールにするなら、《ツヴァイ》のほうが3倍お手軽。 おまけに、《ツヴァイ》には「ブロックされない」という地味に超強いテキストが書いてある。 《ユキムラ》自身は何のアドバンテージも稼げないのが本当に終わっている。 《ツヴァイ》の1年後に出てきたカードとはとても思えない。

どうしてこんなことになってしまったのかは……正直わからない。

開発班に《ツヴァイ》大好きマンがいて、かつジャイアントファンがいなかった?

本気で【ジャイアント】が環境を取ると思って危惧した?

《ツヴァイ》のスタン落ちを待って、NDをもっと穏やかな環境にしたい?

自分も非常に理解に苦しんでいる。

最後が、マナ探索のランダム化、ついでに0or3枚の2択化。

デュエプレの悪いところがめいいっぱい出ている調整だと言える。

自然文明が得意とするマナ回収の器用な動きが、ランダムによって完全に封じられてしまった。 元から3体回収のため、探索というシステムを入り込ませる余地がなかったのだろう。 序盤に埋めた《ゼクウ》を確定回収できたら良かったのに……。

ドルゲーザ》がようやく再録され、ND・AD問わずにまともなデッキが組めるようになったのだけは喜ばしい。 でも《ユキムラ》を活かすには《ゼクウ》が欲しいので、やっぱりADがいい気がする。

ここまでネガティブな評価をしてきたが、別に【ジャイアント】が弱いわけではない。 《西南》《ドルゲーザ》が繋がれば出力としては十分だし(※繋がらなかったら苦しい)、 トリガー《サルトビ》などからジャイアントを4体揃えて《ユキムラ》をG・0できればカウンターも狙える(※《ツヴァイ》でもできる)。

ただ、せっかく最近のジャイアントプッシュがあったのだから、 ここでもう少し頑張ってくれれば環境入りできたかもしれないのに……と思うと、 ひたすら惜しい。

個人的願望だが、《ユキムラ》には何らかの強化が来てほしい。 そのとき、ついでにマナと墓地の探索を廃止してくれないだろうか?