《貴星虫イザハヤテ》
4-4000。 自分のサムライ・クリーチャーが破壊されたときにシールドをランダムに1枚めくる。 それがサムライなら場に出し、それ以外ならそのシールドを交換する。
いかにもな効果だが、"ちゃんとした"デッキを組むのはとっても大変。 自分もこのカードの構築に非常に悩まされた。
最終形にこぎつけるまでに色々な型が生まれたので、Twitterでこんなクイズを作ってみた。
【ちょっとしたクイズ】
— ミケガモ (@nusu_fkr453145) 2021年12月21日
この数日間、カジュアルマッチで『クローシスイザハヤテ』を色々いじっていました。
以下の4つのレシピのうち、ボクが最後に辿り着いた(=最も感触が良かった、勝ちやすい)構築はどれでしょう?
投票フォームはリプライに。 pic.twitter.com/s3TUP1Wwec
問:一番勝てるイザハヤテ
— ミケガモ (@nusu_fkr453145) 2021年12月21日
正解のデッキは直近14-6、それ以外は負け越してます。
投票は締め切ってしまったが、よければ今ここで挑戦してほしい。 回答頂いた皆さんには感謝申し上げる。
この記事ではクイズの解答・解説編として、デッキ調整の経緯を辿っていく。
前提
調整の様子を説明する前に、構築の前提となるカラーとこだわりを紹介。 これを破れば、もっと良い構築が目指せるかも知れない。
カラー
クローシス・デアリガズ・デイガの3択。赤黒は要素不足、4c以上は安定しない。
クローシス
《トモエ》《ソウジ》《ラネーバ》で手札を増やせる。今回採用。
デアリガズ
《ドルルガン・ムラサメ》《禁門の超人》が◎。 しかし、緑の小型アタッカー《ビワノシン》は、 マナカーブの面で《イザハヤテ》と絶望的に噛み合わない。
デイガ
《ムシャ・ルピア》《ムシャ・レジェンド》の組み合わせでシールドを増やせる。 《イザハヤテ》自体がたられば効果なのに、そのバックアップに力を入れてもなぁ……という感じ。
構成のこだわり
1つ目、自壊用のカードを入れないこと。
ビルド杯投稿レシピでは、 《のろいとテラーの贈り物》で《イザハヤテ》を起動する構築が多かった。 しかし、そこにスロットを割くなら素直にブーストして、 《バルガライザー》を投げたほうが強いと思った。
2つ目、デッキのサムライ比率を極限まで高めること。
自分からガチャを狙わないので、ビートしながら相手に破壊を強要するスタイルになる。 ビートプランだと殴り手の数が重要になるため、《イザハヤテ》がスカるのは避けたい。 ハズレを極力少なくしたいと意識して組んだ結果、今回作ったものはどれもフルサムライの構成になった。
3つ目、《エルメテウス・雷撃・ドラゴン》を入れること。
コイツはシールドを削る《イザハヤテ》と相性が良い。 所詮はファンデッキなので、芸術点と満足度を上げるためにこのマイナーカードを入れておきたい。 2つある効果はどちらも発動することが無かったので、皆さんは抜きましょう。
調整の経緯
1個目
初めに組んだのがDのレシピ。
《イザハヤテ》に《ソウル・ブリンガー》をクロスし、 手札の減らない《トモエ》《バルット》を生贄に捧げてお得になるというコンボからスタートした。
《ソウル・ブリンガー》と《イザハヤテ》の両方をプレイしないといけないので、 精一杯黒を確保している。
当たり枠は、デッキが全てサムライにつき《バルガライザー》を選んだ。 「クリーチャーが出てきてくれればオッケー」という思考が強かったので、当たり枠の数は少ない。
何戦かやった結果、勝ち筋が見えずに終わる試合が多かった。 また、《イザハヤテ》に《ソウル・ブリンガー》をクロスし、その横に小型を1体並べるというのがそもそも難しかった。
2個目
次に試したのがBの前寄せ型。
《ソウジ》を新たに投入し、序盤から全力で殴って勝ちに行く設計に。 速さ重視なら、《イザハヤテ》の効果で何が出てくるかは重要ではないので、重いカードはさらに減らした。
結果的に、この改造は失敗だった。
速度は多少出るものの、中盤の押しが弱くてシールドを削り切れない。 せっかく《イザハヤテ》が起動できても、 出てくるクリーチャーがことごとく力不足すぎる。
これではダメだと思い、当たりカードを大幅に増やすことを決めた。
3個目
次に組んだのがCのタッチ青型。
追加の当たり枠として、単体性能が高い《ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》を投入。
トリガークリーチャーは、コストが大きい《タイガーグレンオー》4積みにした。
少なくなった青は手出しが困難と見て、《ラネーバ》のみにした。 カジュアルにもコントロール系のデッキは多くいるので、 ご都合マッドネスでペースを奪える《ラネーバ》は外せない。 素のコストが大きいので、当たり寄りのカードでもある。
《トモエ》が抜けた枠は《弥太郎》に変えた。 《イザハヤテ》をセイバーできるのでシナジーがある。 《トモエ》と違って《マッハアーマー》のコスト軽減を受けられるのも良かった。
これを使ってみた結果、《紫電》がめちゃくちゃ強くて噛み合っていることが発覚。
《イザハヤテ》のおかげで盤面の数が減らないので、 《紫電》の「サムライ5枚」条件が満たしやすい。
相手が《イザハヤテ》を恐れて盤面処理を怠ると、 《バルット》の隠された効果「《紫電》をSAにする」が火を吹く。
この時点で、《紫電》が4枚確定枠に昇格した。
一方で、方針転換直後のため粗いところがぽつぽつ。
《ラネーバ》4枚だけだと息切れしがちという悩みもありつつ、 《マッハアーマー》と《イザハヤテ》のコストが被るせいで手札が詰まることもあった。 《弥太郎》も《イザハヤテ》が引けないと微妙だった。
4個目
この課題を乗り越えて最後に辿り着いたのが、Aのレシピ。
リソース確保と手札吐きを両立できる《ソウジ》が、Cの問題点を見事に解決してくれた。
2マナクリーチャーがいなくなったので対速攻は絶望的だが(※カジュアルにも速攻は割といる)、 他のデッキ全般に勝ちやすくなった。
青確保のため、《タイガーグレンオー》はしぶしぶ《パーフィン》に変えた。
侍流ジェネレートの《ヒゲマロ》は、《ソウジ》と役割が被るため減。 黒が9枚にまで減ったが、最悪《バルット》で《ソウル・ブリンガー》を持ってきて埋めれば間に合うことを考えると、黒は実質13枚。 4ターン目に《イザハヤテ》を出すには十分な枚数といえる。
この構築のポイントは、 《バルット》《ソウジ》《イザハヤテ》をどの組み合わせで引いても繋がりが良いこと。
最終的に勝率を分けたのは、《イザハヤテ》に依存せず、 《ソウジ》《バルット》からの《紫電》ルートでも勝ちを拾えたからだと分析している。
強力な《ソウジ》をもっと活かすには、《シデン・レジェンド》まで入れたいところ。 エースの《紫電》ともシナジーがある。 しかしながら、《ソウル・ブリンガー》《デュアル・スティンガー》も外せないカードなので難しい。
というわけで、正解はAのレシピ。 順番は、D→B→C→A。
皆さん、結果はどうだっただろうか。 投票ではAは一番の不人気だった。ニヤニヤ。
これに正解するにはデッキパワーを見抜く審美眼だけでなく、
- 弱いデッキが勝ちをもぎ取るにはどうすればいいか
- カジュアルマッチがどのような環境か
を知っているかどうかも重要だったと思っている。
偉そうなこと言ってるけど、ボクがこれを出されても正解できる自信はない。
おわりに
最後に、それぞれのレシピを選んだ人に向けてコメントを置いておく。 B,C,Dの強さは似たり寄ったりだと思っているので、そこの優劣は特にない。
A(正解)を選んだ貴方は、おめでとう。 「《イザハヤテ》の出力を確保しながら、それに依存してもいない」という本質まで見抜けていたなら満点。 カジュアルの構築&環境の理解が人よりも優れている、かもしれない。
Bを選んだ貴方は、現実主義者だ。 デッキの立ち回りがひと目で分かり、《イザハヤテ》の効果起動も一番狙いやすく見えるのがBの構築である。 足りなかったのは、「良い回りをしたときに勝てるかどうか」というカジュアル特有の視点。
Cを選んだ貴方は、芸術的センスに秀でている。 《イザハヤテ》に期待を寄せすぎかもしれないが、ファンデッキならこのくらいやってナンボだ。 デッキビルド杯で評価されたいならこれが一番いいと思う。 ただし、美しさと強さはしばしば両立しない。
Dを選んだ貴方は、デッキ作りの基礎をよく分かっている。 色・コストバランス、トリガー枚数、コンセプトなど、各種要素を最も無難に拾えているのがこれだろう。 あとはカード選定のセンスを磨いていくべし。