デッキレシピ
- コンセプト:C
- 完成度:S
- デッキパワー:S-
- 思い入れ:A
使い納め。
2021/6/7, ボルメテウス武者カップのNDマスター到達。 プラチナ2-1まで【ネクラウェーブ】で63-64、そのバトンを繋いで【トリーヴァウェーブ】が13-10で昇格した。
戦績だけでは伝わらないが、戦いやすさは明らかに【トリーヴァウェーブ】が上だった。
追記:
この記事は、2021/6/10のバランス調整前に書かれたものである。 調整後は《アガピトス》《ゲオルグ》の弱体化により、このデッキを取り巻く状況も少し変わっている。
ウェーブストライカーの道のり
昔に環境を激変させたウェーブストライカーも、最近ではめっきり見かけなくなった。
横並べカウンター系のデッキとしては、【ツヴァイ】【メカオー】【アポロヌス】が出現。 同系のコンセプトでは、後から出のデザイナーズデッキに立場を脅かされている。
それらの横並べデッキを抑制するために、《連珠の精霊アガピトス》《竜極神ゲキメツ》など、 汎用性の高い盤面制圧クリーチャーが出てきた。 当然、ウェーブストライカーは盤面制圧カードにボコボコにされてしまう。
【ウェーブストライカー】に、もはや立つ瀬は無い。
あれだけ憎かった奴らが、今や不憫にすら思えてくる。
ならばせめて、最後に花を持たせてやりたいと思うのはごく自然な感情では無いだろうか。
環境の整理
9弾のND環境は、メタゲームが巡り回った結果、スタンダードなビートダウンがまあまあ強い。 具体的に言うと、【リースパンダ】【マルコビート】、最近流行りの【ガントラ大和】などだ。
こういった真面目に殴ってくるデッキに対してなら、【ウェーブストライカー】は優位に立てる。
一方で、【ウェーブストライカー】が苦手とする相手もまた、数多く存在している。
壁として立ちはだかるクリーチャーは、
- 汎用トリガーで2000火力を撃つ《聖鎧亜ジャック・アルカディアス》
- アドを取りながら継続的なタップキルを仕掛ける《連珠の精霊アガピトス》
- ついでのように全体2000火力を放ってくる《竜極神ゲキメツ》
- 一瞬で盤面を更地にする《超鎧亜キングダム・ゲオルグ》
- 詰ませ性能が非常に高い《超絶究極神ゼンアク》
たちである。
《ゲキメツ》《ゼンアク》《ゲオルグ》は、 一度場に出てしまうとウェーブストライカーのパワーラインではどうにもならない。 「出されたら詰み」のカードが多すぎて、とてもやっていられない。
さらに最近は《驚天の超人》メタとして、《魂と記憶の盾》が大量投入されているコントロールが増えた。 ウェーブストライカーは2~3コストを展開するデッキなので、これが相当厳しい。
この辺に抗う術を確保しなければ、ランクマッチを勝ち抜くことはできない。
従来のカラー
6弾環境くらいまでに、ガチ環境で使われた【ウェーブストライカー】のカラーリングは2つ。
【リースウェーブ】と【ネクラウェーブ】の2種類だ。
【リースウェーブ】は、スピードアタッカーを得る《斬神兵グランドルメス》を採用したアグロ寄りの構築。
【ネクラウェーブ】は、《略奪秘宝ジャギラ》のハンデスでコントロールをも制するミッドレンジ寄りの構築である。
今の環境でどちらを使うかと問われれば、やはり《ジャギラ》を擁する【ネクラウェーブ】になるだろう。 出されると詰むカードも、ハンデスで落とせさえすれば活路はある。 以前【ネクラウェーブ】を使ったことがあるという実績も鑑みて、まずは【ネクラウェーブ】を環境で試すことにした。
ちなみに【リースウェーブ】の場合、パワーラインの低さが祟って、《アガピトス》タップキルの前に沈む可能性が高い。 新参の《聖鎧亜ジャック・アルカディアス》による被害も、一段と大きくなってしまいそうだ。
ネクラの限界
ランクマッチに挑んだ【ネクラウェーブ】は、すぐに壁にぶち当たる。
最も大きな欠陥は、《ジャギラ》を出しても勝てない試合が多いことだった。
最近流行りの白クローシス系の除去コンには、必ずと言っていいほど《アクアン》が採用されている。 《ジャギラ》を出す前に《アクアン》で手札を補充されると、ハンデスの効用は大きく下がる。
また、頑張ってハンデスを決めても、トップで引かれたカードで詰まされる事案が数多く発生した。
《ジャギラ》をプレイした後は、自分も手札が少ない。 したがって、その後は1ターンに1体ずつ展開し、殴り切りに必要な打点が揃うのを待つことになる。 その間に、「引かれてはいけないカード」が来て負けるのだ。
《ゲキメツ》《ゼンアク》《クルセイド・チャージャー》はもちろん、《エタガ》《アクアン》などもアウト。 《ビューティシャン》や《ジャック・アルカディアス》も、こちらの打点生成を確実に妨害するカードとなる。
引かれてはいけないカードが多すぎて、やっていられない。
【ネクラウェーブ】の総合戦績は、63-64。延々とプラチナ3~2を彷徨うばかりだった。
ここで、《ジャギラ》のハンデスに頼ったゲームプランを見直す必要があると判断した。
水文明の可能性
【ネクラウェーブ】がダメ、【リースウェーブ】はおそらくもっとダメ。
白と緑は、《予言者ラメール》《アラーム・ラディッシュ》《マッチョ・メロン》ら優秀な2マナクリーチャー、 《命運の伝道師ラミエル》《シェル・チャーチ》のトリガーを持つ定番カラーなので、 抜けることは無さそうである。
ウェーブストライカーの可能性は、未開拓の水文明にしか残されていない。
《アドラス》
最も注目すべきは、大量ドローの《アドラス》。 《ジャギラ》と同じ、5-3000の中継役だ。
一般的なコスト論で考えると、3ハンデスと3ドローなら、3ハンデスの方が強力である。 この事実は、多くのプレイヤーが《アドラス》、および水文明を侮る根拠となっていた。
しかし自分は、《ジャギラ》のハンデスが頼りないことを確認したばかりである。 「《アドラス》は《ジャギラ》と対比すると見劣りする」という通説は、今の自分なら否定できる。 他と比較することなく、《アドラス》だけを見つめてデッキに採用できた。
実際に回して見ると、このデッキの3ドローは、普通のデッキ以上に大きな価値を持つことに気付かされた。
ウェーブストライカーは、場に3体以上クリーチャーを並べていなければ、ただの紙切れである。 デッキに課された「リソース要求ライン」があって、そこを越さないと何もないも同然なのだ。
以前の環境では、初期手札+《アラーム・ラディッシュ》のリソース量でも、 ギリギリながらリソース要求ラインを越すことが出来た。
しかし、盤面制圧が片手間にできるようになった今、 【ウェーブストライカー】のリソースは簡単に削られるようになった。 結果、旧式の構築ではリソース要求ラインを越せずに、デッキの出力がほぼゼロに等しくなる。
今の環境を戦うには、【ウェーブストライカー】が従来以上にリソースを取ることが求められる。 そのためには、《アドラス》のドローが必要になってくる。
少し誇張して言うと、《アドラス》のドローが無ければ、 今の【ウェーブストライカー】はスタートラインに立てない。
青を使う理由とも言えるカードなので、当然4枚。
《ピリリパ》
次に強いと見込んだのが、おそらくこれまで見向きもされなかったであろう《ピリリパ》。
ウェーブストライカーには、各文明の4コストに
《ラミエル》《ピリリパ》《ハザリア》《ゴリアック》《チャーチ》
と、除去系のカードが配られている。 このラインナップの中で、《ピリリパ》の1体バウンスは明らかにコスパが悪い。 これも、水文明が人気の無かった理由の一つである。
ところが、現環境ではこの微妙な性能が上手く機能している。
1つは、《ピリリパ》はこの中で唯一、相手クリーチャーを確実に場から退けられること。 特に仮想敵となるのが《ゼンアク》。 【ネクラウェーブ】を使っていた時、散々に悩まされた相手だ。 その《ゼンアク》を確実に対処できるのは、 ウェーブストライカーのラインナップだと《ピリリパ》しかいない。
もう1つは、《ピリリパ》のパワーが3000であること。 《メツ》《ジャック》の2000火力が蔓延している今の環境では、 単体で3000ラインを保てるのが高評価だ。
ちなみに、《のろいとテラーの贈り物》の3000火力が流行っていた前環境では、 《ピリリパ》のパワーは特に優秀では無かった。 時代が進んで火力ラインが下がるというのは、興味深いものだ。
このように期待がかかるカードだが、詰みすぎると最序盤の展開に困るので3枚。
《リバイバル・ソルジャー》
3マナサイクルの水担当。モヤシ能力を得る。 普通に強いのだが、ウェーブストライカー状態が崩れた後に殴られることも多かったりする。
ウェーブ3マナサイクルの個人的評価は、
《ラフレシア》≧《アースラ》≧《ソルジャー》>《サピエント》>《パンプキン》
である。
《ソルジャー》も悪くないとはいえ、カラーを黒から青に変更したことで、 評価トップの《ラフレシア》を抜くのは不安だった。
しかし、【ネクラウェーブ】での120戦を思い出すと、 《ラフレシア・ワーム》のスレイヤー能力が活きたシーンはただの一度も無かった。
昔であれば、【5c天門】の《剛撃聖霊エリクシア》に対して特攻する光景がよく見られたが、 今はスレイヤーを使いたい対象がいない。
「能力を使っていないのであれば、入れ替えても問題ないのでは?」という思考で、 ためらいなく差し替えることが出来た。
3マナでの展開を確実にしたいため4枚。
《アクア・トリックスター》
テメーが一番の出来損ないだ!!!
コイツ1人がブロックされなくなったところで、ゲームには全く影響がない。 ウェーブストライカーの中で、間違いなく最弱のカードである。 ウェーブに青が採用されないのは、「2マナが弱いから」というのが最大の理由だ。
ただ、【ネクラウェーブ】でも時々《トロンボ》を2-1000バニラとして出すシーンがあった。 その役割くらいなら果たせるだろうという見込みで採用した。
《ピリリパ》の4枚目の枠を差し替えた、というイメージで1枚。
構築解説
そんなわけで、青のウェーブストライカーにもそれぞれ採用理由を見出すことができた。
ここからは、青以外で旧来のテンプレ【ウェーブストライカー】と違う構成になっている点について説明する。
《スパーク》なし
旧来の【リースウェーブ】【ネクラウェーブ】は、6マナ溜めるのが難しい構成にも関わらず、 トリガーしたら強いという理由だけで《スパーク》を投入していた。
【トリーヴァウェーブ】は、《アドラス》を手に入れたことでマナが溜まる。 手撃ち《スパーク》も視野に入ってくるので、旧来の構築よりも《スパーク》をもっと有効に活用できるだろう。
ところが、今の環境では《スパーク》の価値は低下気味。
コントロール対面が増えているのと、ビートダウンは打点を刻むタイプが多くなったことがその原因である。
今回は《スパーク》よりも優先して積むべきカードがあると感じたので、採用しなかった。
《星雲の精霊キルスティン》
優先して積むべきカードその1、《キルスティン》。
リソースが取れるようになって何が嬉しいかというと、 マナを伸ばしてこのパワーカードを出せるようになることである。
横広げが得意なウェーブストライカーも、結局は盤面制限に引っ掛かって、殴り数がギリギリになることは多い。 そこで《キルスティン》は、1枚で打点を大幅に増やし、勝ちを確実にしてくれる。
また、《驚天の超人》に合わせて出せればかなりラッキーだ。
出さなくてもいいけどできれば欲しい、というラインのカードなので、2積み。
《堅防の使徒アースラ》
優先して積むべきカードその2、《アースラ》。
《アガピ》《アラゴ》に対しては、 《アースラ》を1体立てておけばタップキルを防ぐことができる。
自分が昔使っていた【ネクラウェーブ】では、《スパーク》の枠を確保するために、 白の《アースラ》を削って3枚にしていた。
今の環境では、その優先度は逆転していると考える。
色バランスと《ニンジャ・パンプキン》
2マナクリーチャーがいない(も同然の)青は12枚。残りの2色は14枚。 色バランスは整っている。
緑の数合わせとして入っているのは、《ニンジャ・パンプキン》。
3マナウェーブとしては長らく最底辺だったが、 この環境になってから、トリガー《ジャック》をすり抜けるW・ブレイカーという点で評価を少し上げた。
改良点
初めは《魂と記憶の盾》で、《ゲキメツ》や《ゼンアク》を確定処理しようと考えていた。
しかし、多色を1枚でも入れてしまうと、 《アラーム・ラディッシュ》を絡めたプレイングに著しく支障をきたす。 序盤のマナカーブが特に大事な【ウェーブストライカー】に、多色カードは御法度だった。
ゲームプラン
基本的に、場に4体揃ったら殴りに行く。 トリガー1除去+返しで1除去を食らっても、 次のターンに1体出せばまたウェーブストライカー状態に復帰できる。
ウェーブストライカーの一番の強みは、3~4ターン目の出力の高さにある。 それを活かすためには、早めに殴り始めるのが良い。 安全を期すために試合を引き延ばすと、その間に相手も準備が整ってしまう。
また、環境的に《スパーク》が弱くなったとは書いたものの、 ビートダウン系のデッキにはまだまだ採用されていることが多い。 【ウェーブストライカー】には《スパーク》ケアの手段が無いので、 可能なら先に《スパーク》を踏んでおきたい。
殴った結果、ワンパン2トリガーや、
ワンパン《サーファー》→ 返し除去→ 《サーファー》殴り返し
で3処理されると辛いが、これは自分の中で割り切った方がいいと思う。
コントロール相手は、
- 除去が来なければ、4体揃えてからWブレイカー連中で殴る
- 除去が来たら、どうにかして《アドラス》に繋ぐ
でOK。
初手があまり良くない場合は少し様子見して、
3マナウェーブ → 2マナウェーブ2体
の流れを狙うと良い。
《炎槍と水剣の裁》《のろいとテラーの贈り物》が少ないこともあって、 《アドラス》後はウェーブを2体展開していくだけで意外と立ち回れる。
《メツ》の2000火力を意識して、《ラメール》を大事に扱いたい。
お題
現代版ウェーブストライカーの考察をお願いします ギフトアガピでアースラ展開やギフトジャギラで4t3ハンデス、アルバトロスでの再展開などできることは増えたと思います
https://odaibako.net/detail/request/0424db8b-b541-4a55-b6bd-c655ded41808
発想は分かる。だが、できることが増えたとしても、ウェーブストライカーで固めるのが強いのがウェーブストライカーだ。
《フェアリー・ギフト》で手札を消費してしまうと、 肝心のウェーブストライカーを並べられなくなる。 《ギフト》は1点集中のカード。 対するウェーブストライカーは、数を武器にするギミック。 この2者は、コンセプトとして噛み合っていない。
《アルバトロス》は、崩されると脆いウェーブストライカーと相性補完が取れる面白いカードだ。 しかし、やはり多色なのが一番のネック。 他にも、6マナ溜めるのもしんどかったり、《魂と記憶の盾》で除去された場合は墓地も溜まらなかったりと、 なんとも歯がゆいカードになっている。
それでもあえて組むならこんな感じか。《アルバトロス》は色基盤。
おわりに
やはり自分にはトリーヴァカラーが合っている。 今まで好んで使ってきたデッキは、トリーヴァもしくはその中の2色の取り合わせが多い。 これからもトリーヴァの人として頑張る所存。