はじめに
2021/9/7~2021/9/16に公募された、第2回デュエプレデッキビルド杯。 ユーザーは最新弾(10弾)のカードを1枚以上使ったデッキをTwitterに投稿し、 公式が後日入賞デッキを発表する。
自分は今回、投稿されたレシピすべてをチェックした。 その中から、
- 入賞しそうなレシピ
- 個人的にいいなと思ったレシピ
を紹介したい。 ついでに皆さんの投稿の統計データを取ったので、 それについても簡単にコメントしたいと思う。
↓ 前回記事。
入賞予想
『シデレジェドルザバード』
https://twitter.com/love_gardo/status/1437503742614507520?s=20
新規カード:《竜装 シデン・レジェンド》《大神秘ハルサ》など
投稿2件。サブプランが充実しているこれを選んだ。
《覇竜凰ドルザバード》に《シデン・レジェンド》をクロスし、ブレイク数追加。 cip2枚ブレイク・攻撃3枚ブレイクとなり、 トリガーを封じながらシールド5枚を一気にブレイクするというコンボ。
このデッキのキーパーソンは、《闘竜鬼ジャック・ライドウ》。 サムライが追加された《ライドウ》から、《ドルザバード》《ハルサ》を選択して持ってこれる。
コンセプトと完成度だけで言えば最優秀賞候補だと思う。 これが選ばれなかったら割と怒る。
ただし、《ドルザバード》は前回の入賞レシピ『マッドネスティラノ』のサブプランに組み込まれたカード。 偏りを避けるために選考から漏れてしまわないかが心配だ。
『マーシャルロマノフウルフェウス』
https://twitter.com/Welchs43814558/status/1435203761094356997?s=20
新規カード:《邪眼皇ロマノフⅠ世》《インフェルノ・サイン》など
類似コンセプトの投稿が5件。
このレシピは、《マーシャル》《サイン》《ロマノフ》に加えて、 《ウルフェウス》《ヘブンズ》までぶち込んだデラックス仕様。
踏み倒しトリガー呪文を限界まで詰め込んだ濃厚さは、入賞するに相応しい。
《ロマノフ》はドラゴンなので、 墓地に置いておくと《ウルフェウス》の条件を満たせるのも地味に良い。
今回、《ロマノフ》を採用したデッキは約70件もあった。 これだけ投稿されて《ロマノフ》入りデッキが1つも入賞しなかったら、 ユーザーから不満の声が上がるだろう。 沢山のレシピの中から、これが代表として選考されると睨んでいる。
『イダテンミスト』
https://twitter.com/kojosyo/status/1435915064519786497?s=20
新規カード:《炎刃 イダテン・アクセラー》《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》
投稿7件。 ちなみに、『イダテンカチュア』『イダテンサードニクス』など、 《イダテン》をキーカードにしたデッキは計23件あった。
《イダテン》と《エメラルド・ミスト》で、7マナ払って永久全バウンスが可能。 《イダテン》を繰り返し利用できるので、活用度としてはナンバーワンだと思う。 場を離れない《PG》をセットにするところまで定番の様子。
課題はフィニッシュ手段。
投稿デッキにあったのは、
- ライブラリアウト:勝ち方として評価しにくい
- マナ溜めマジレスゴッド:このデッキらしさが出ない
- 《ブルー・メルキス》:どこまで戦えるか
といったラインナップで、自分的にはどれもしっくり来なかった。 後で自分でも考えてみようか。
【イダテンミスト】もそれ以外も含め、《イダテン》採用のデッキはユニークなものが多い。 ここから何かしら入賞すると予想しているのだが、 果たして選考者を唸らせるのはどれになるだろうか……。
『オーブレコスモビュー』
https://twitter.com/toriru_guriru/status/1435247380543066120?s=20
新規カード:《氷牙の魔筆マクシミリアン王》《魔弾オープン・ブレイン》など
投稿8件。
《マクシミリアン》《オーブレ》で、手札枚数+4。 毎ターンマナチャージするとして、後攻ならそのまま、先攻なら1枚手札補充すれば《ルナ・コスモビュー》が出る。
青単で【テクノロジー】リペア風のもの、 《レオパルド・ホーン》で爆発力を確保するもの、 《デ・バウラ》で安定感を求めるものなどがあった。 奇抜なものとして、《電磁血風スチムパンプ》と組んだものもあった。
どれかが突出して良いというわけではなかったので、最も上手くまとまっているなと思ったものをここに乗せた。
『オーブレコスモビュー』に関しては、自分がカジュアルマッチで出会った素敵な構築がある。 今回投稿された中にはなかったので、いずれ自分で組んで記事にしたい。
『石碑ロレンツォ』
https://twitter.com/nusu_fkr453145/status/1437453481405677571?s=20
新規カード:《天雷の龍聖ロレンツォⅣ世》など
投稿4件。意外と少なかった。レシピは自分が投稿したもの。
《神秘と創造の石碑》で《ロレンツォ》を2体並べて、同時に選ばれなくする。 単純明快なコンボの枠として入ると予想。
勝負所はやはり、コンボパーツ以外の構成をどうするか。
自分含む3件は、オーソドックスなトリーヴァ型。 自分の構築は、強さと完成度で言えば自信がある。 が、投稿順が1番ではなかったのと、見た目のインパクトに欠けているのが不安要素。
それよりもドキッとさせられたのが、残り1件のリースドラゴン型。 これに《ボルパンサー》が入っていたら勝ち目ゼロだった……。
https://twitter.com/sebu_lancerDM/status/1435604330048995332?s=20
↓ 前組んだ『石碑ボルパンサー』。
『神殿アウグスト』
https://twitter.com/oyatsu_yumoa/status/1435277281157529608?s=20
新規カード:《邪眼皇弟アウグストⅢ世》など
《アウグスト》を使ったデッキは4件。
クリーチャーのパワー、呪文のコスト、 それぞれを散らす必要のある難しいデッキである。
取り上げたレシピは、《破壊と誕生の神殿》をはじめとする「クリーチャーを場に出す呪文」を多く採用して、 《アウグスト》効果を2回使うことを狙っている。 2体場に出す《アガピトス》《アルバトロス》、2つのパワーから選べるゴッドカードなど、 《アウグスト》と相性の良いカードがてんこ盛りである。
前回の入賞作には、新弾SRが0枚、VRが《ヒャックメー》《メフィスト》の2枚だけ。 このジンクスを考えると、高レアカードを使わないこのレシピは、見た目以上に「ある」。
ドローが薄いため、《口寄の化身》を入れてもいいかも。
気に入ったレシピ
『ナーガバズーカ』
https://twitter.com/Hayabusa_Juvila/status/1435536895522398208?s=20
新規カード:《流砲 ハイドロ・バズーカ》
《ナーガ》採用のデッキは2件。
素朴な構築だが、味わい深さのあるデッキである。
- ブロックされない《ナーガ》で《バズーカ》の条件達成
- 《ナーガ》が大型、《バズーカ》が小型を戻す相性補完
- 《バズーカ》と同じくATの《ゼリー・ワーム》
- 《バズーカ》で捨てたカードを拾う《ネクロ・ワーム》
と、シナジーが地味に多い。
前回入賞『ジェントルアイ』の切り札も《ナーガ》なので、選ばれる可能性は低そうだが、個人的にとても気に入ったレシピ。
『ドンキノフプルート』
https://twitter.com/Mechorrid/status/1435207398814195722?s=20
新規カード:《魔光人形ドンキノフ》など
投稿これのみ。
《ドンキノフ》を召喚する意義を見出そうと思うと、 《プルート》に行きつく。 自分の思考回路とシンクロ率が高かった。
《プルート》に期待してか、《デモハン》を切っているのが特徴的。 《エマタイ》は、《アルゴ・バルディオル》《キキカイカイ》の両方と相性が良い。
《エマタイ》のディスカード、《プルート》のMBを回収するために、《ソウル・キャッチャー》を1~2枚入れてもいいかも。
『ナイトトリファリオン』
https://twitter.com/nanabi____/status/1435252981021089796?s=20
新規カード:《魔光王機デ・アシス公》など
投稿これのみ。
確かに、ナイトにはセラフィムメカオードデビルが揃ってる。
だからって誰がやれと言った。
《アガピ》《デ・アシス》で微妙にシナジーがあるところも憎めない。 ここまでやるなら、《エタガ》を切って《ストリーム・サークル》を積んでもいい。
『ラルアブクリューソス』
https://twitter.com/sokooz13ms/status/1435431052013555712?s=20
新規カード:《光神龍ラル・アブゾーバー》
投稿これのみ。
やりたいことはすごく伝わってくる。 上手くいくかは分からないけど……。
統計
今回チェックしたデッキは、全部で493個。
それらをデッキタイプごとに分類し、投稿数の多い順にリストアップした。 割合として1%を超えるのを目安に、投稿数5個以上のものを上げている。
なお、新カードを1枚も入れていない(=応募要件を満たさない)ものが13デッキあった。うっかりさんめ。 一応、それらも集計には含めている。
デッキタイプ | 投稿数 | コメント |
---|---|---|
ロマノフ | 42 | 圧倒的カリスマ。サブ利用まで含めれば70デッキ近く |
ナイト | 23 | 10弾のテーマその1 |
グッドスタッフ | 22 | コントロール系。個性アピールが難しい |
ハイランダー | 22 | ハイランダー戦の影響。《アマデウス》無しも多い |
武者 | 18 | 漂うガチ臭 |
サムライ | 16 | 10弾のテーマその2 |
連ドラ | 15 | 《バルガライザー》 |
天門 | 13 | 《PG》《デ・バウラ》 |
フュージョン | 11 | ガチからカジュアルまで |
マッドネス | 11 | 《チェザワ》《サイン》が人気 |
速攻 | 10 | 《イダテン》投入の赤単が多い |
ウンリュウ | 10 | もっと多いかと思った |
ガントラ | 10 | クロスギアなどでアレンジ |
ドルバロム | 10 | 《ギガボルバ》 |
マルコ | 9 | 「ザ・サムライ・レジェンド」再現も |
オーブレビュー | 8 | 本文参照 |
アレクサンドル | 7 | 《宝剣》連射 |
維新 | 7 | 《維新の超人》特化タイプ |
イダテンミスト | 7 | 本文参照 |
ザガーン | 7 | しょーもな!!! |
イダテンサードニクス | 6 | 妙に多い。動画が出ている影響? |
ツヴァイ | 6 | 《アクア・コテガエシ》 |
ドラゴン | 6 | 連ドラでも墓地系でもないもの |
ネタ | 6 | 戦う意思なし。カード名などで遊ぶ |
ボルフェウス | 6 | 《PG》《ライトニング・キッド》 |
マーシャル | 6 | 《サイン》利用が多い |
ロマネサイン | 6 | 《ロマネスク》アッパー調整の成果 |
グール | 5 | 「エンドレス・オール・デリート」再現も |
カードだと、《ロマノフ》がずば抜けた人気を誇る。 構築の縛られ具合では《紫電》と似たり寄ったりだと思うのだが、この差は何なのか。
ざっと見渡すと、 新テーマのサムライ・ナイトや、 ガチデッキおよびそのアレンジが多い。 前回の選考結果を見ると、こういった王道のレシピは、なかなか選考に残れないようである。 というのも、「なぜほかでもなくそのレシピを選んだのか?」という問いに対する合理的な説明が難しいからだろう。
それよりは、分かりやすいコンボか、デッキ基盤からして斬新なレシピが選ばれる。
といっても、みんながみんな入賞を目指して投稿しているわけでもあるまい。 レシピを見ていると、少ない資産で工夫していたり、 つたないなりに精一杯組んだりしている方もちらほらと見受けられた。 一つのお祭りとして、レベルを問わず多くのプレイヤーが参加しているのは良いことだと思う。
調査方法について
Twitter APIを使って、「#デュエプレデッキビルド杯」を含む画像付きツイートを取得するプログラムをPythonで書いた。 ただ、この企画を思いついた時点で、9/7~8のツイートが期間制限に引っかかって取得できなくなっていたため、 仕方なく手動でダウンロードした。
おわりに
これだけ多くのデッキを無差別に見る機会はなかなかない。 細かい部分まで見つくしたわけではないが、 デッキの審美眼を養う良いトレーニングになった。
実は今回、レシピの画像だけを手元に表示して、 投稿アカウントが分からない状態で構築を評価していった。
ところが蓋を開けてみると、 これはいいぞ!と思って記事に乗せたレシピの大半(自演の『石碑ロレンツォ』を除いて6/9)が、 自分が普段「参考になるな~」と思ってツイートをチェックしているプレイヤーが作ったものだった。
投稿全体には全く見知らぬアカウントも多くあった中で、 自分の「眼」がいかに信頼できるかを改めて思い知った(自画自賛)。
投稿ツイートをサブリミナル的に覚えていたとか、 センスが普段見ているものに寄っているとか、 それっぽい理由付けはできるけどね。