はじめに
カジュアルマッチの環境について、ミケガモさんがどう思っているのか知りたいです。 カジュアルとか言っときながら環境デッキやテンプレデッキにばかり当たるのは流石にどうなのか?と思います。 特に顕著だったのが10弾ex期で、もうあの時は何回やってもゼロフェニックスとばっか当たってランクマの比じゃない地獄みたいな環境でした。 ファンデッキやネタデッキに輝ける舞台は無いのでしょうか? ぶっちゃけただの愚痴なのですが、カジュアルマッチをよく回っているミケガモさんの意見をお伺いしたいです。
https://odaibako.net/detail/request/69ee0e5c-69fb-491e-b3fd-bf46a2bf7507
カジュアルマッチを愛する者として、 この話題について書き始めると色々止まらなくなってしまう。 なるべくマイルドに自分の考え方を記そう。
自分の中で筋は通しているつもりだが、一方でかなりこじらせている自覚もある。 ここから書くのはあくまでこれは1プレイヤーの、しかもかなり尖った考え方である。 違和感を覚えることはあっても、感化されすぎないようにしてほしい。
注意書き
大前提として、どんなデッキを使おうが、それは個人の自由である。
相手プレイヤーの人格を、デッキ選択やプレイングを根拠に攻撃するようなことがあってはならない*1。 最終的にどんな意見を持つことになっても、これだけは履き違えないでほしい。
この記事もカジュアルマッチとの付き合い方を無理強いするつもりで書いているわけではないので、 その点もどうかご理解いただきたい。
カジュアルデッキが望ましい
ボクは、カジュアルマッチはカジュアルデッキで戦うのが望ましいと考えている。
理由は以下の通りである。
- ランクマッチでは見られない多様なデッキ同士で戦いたい。
- 「良い勝負」になるデュエルをしたい。
- 強いデッキはそれに相応しい場で活躍させるのが良い。
カジュアルマッチは星やレートがかかっていない、すなわち勝敗の重要度が低い対戦形式である。 そこで勝つためのデッキを振り回すというのは、いくらなんでも野暮というものだ。 カジュアルマッチは、楽しさ重視でデュエルできる環境であってほしいと思う。
要するに、運営から「ガチ」と「カジュアル」を棲み分ける仕組みが提供されているのだから、 それに乗っかるべきなんじゃないのというのが自分の主張である。
率直に言って、今のカジュアルマッチにはガチデッキの割合が多い。 もし貴方がガチデッキを使うつもりなら、それはランクマに持って行ってもらえると嬉しい。
デッキを"組まない"人もいる
棲み分けをすべきという意見を提唱したが、そうは簡単にいかないのがこの問題の難しいところである。
なぜなら現実として、DCGユーザーにはオリジナルのデッキを組まない、もしくは組めない人も多くいるからだ。
これは全くおかしいことではないし、誰かを批判すべきことでもない。 デュエプレ始めたての人や他のゲームと並行して遊んでいる人の場合には、攻略サイトや動画のレシピに頼るだろう。 攻略サイトなどで目立つのはやはり「勝てるガチデッキ」なので、そういう人たちはカジュアルマッチにふさわしいデッキを持っていないこともある。
全員が選択的にガチデッキ・テンプレデッキを回しているのではなく、 そうするしかできない層もいることを分かっておかなければならない。
逆に言うと、自分で一からデッキを組んだというだけでも、それは十分評価に値する。 ゲームに対する深い理解と幅広い楽しみ方に挑戦できるのは、とても素晴らしいことである。
リタイアしてもいい
仮に、あるプレイヤーが心底ガチデッキにうんざりしているとしよう。 そのプレイヤーがカジュアルマッチに潜ってガチデッキと遭遇したとき、 彼は勝負が付く前にリタイアするかもしれない。
賛否のある行動だと思われるが、ボクはそのリタイアは咎められるべきではないと考える。
先述の通り、ボクはカジュアルマッチはカジュアルデッキで潜るのが望ましいと思う。 そんな場所で「デッキ選択の自由」を根拠にガチデッキを使ってくる人がいるならば、 カジュアルデッキ側には「戦わない自由」が認められていいはずだ。
環境外の弱いデッキと戦って勝ちたいとか、 相手を痛めつけて気持ちよくなりたいと思っているプレイヤーに対しては、 サンドバッグになってやる義理はない。
ガチデッキの調整や練習という名目で来ているプレイヤーに対しては、 「カジュアルデッキと戦っても仕方ないでしょう?」という言い分が通る。
リタイアは対戦相手に失礼だというなら、そもそもガチデッキでカジュアルマッチに乗り込むこと自体が無作法だし、 マッチング時間を無駄にさせるなというなら、ガチで戦ってもリタイアされにくいランクマを選ぶべきである。
いずれにせよ、見飽きた展開でボコボコにされるのは、やられる側にとっては面白くない。 ランクマならその覚悟もできているだろうが、カジュアルマッチでまでそんな体験はしたくないだろう。
少し極端な論理になるかもしれないが、 カジュアルに戦いたい人がガチデッキ相手にリタイアすることには、 正当に弁護することができると思っている。
補足:切断について
自分から対戦を降りるにしても、意図的な切断は迷惑行為になりうるため控えよう。 まあ、屈辱的なデュエルを相手に強要されたのであれば、情状酌量の余地があると思うけど……。
どちらかというと切断が問題になるのは、 切断されても自分からリタイアボタンを押すわけにはいかないランクマッチの方だと思っているので、 これ以上は切り込まないことにする。
リタイア連打はやめよう
さて、前節でリタイアは擁護できると述べたが、ガチデッキ相手に即リタイアばかりしているようでは、流石にマナー上の問題が発生する。 問題点は2つある。
1つ目は、あまりにリタイアが横行したらシラケるという、ごく当たり前の観点。
そしてここで掘り下げたい2点目は、勝てる相手を選別することになるという点である。
カジュアルマッチには、
- アイデアの実現や派手なゲーム体験が目的の「カジュアル・ネタデッキ」
- 環境で勝つことを目的に最適化された「ガチ・テンプレデッキ」
の他に、
- 資産や構築経験が明らかに足りない「初心者デッキ」
が一定数存在している。 体感だが、その数はカジュアルデッキよりも多いくらいだ。 ガチデッキを避けてリタイアを繰り返すと、結果的にこの「初心者デッキ」を選んで戦うことに繋がる。 言うなれば初心者狩りである。 これはガチデッキでカジュアルデッキを屠る以上に悪質性が高いと思っている。
そのため、即リタイアを完全にお咎めなしにしておくのも少々マズい。 ちょっと辛い話だが、ガチデッキともほどほどに向き合わなければならない。
カジュアルデッキはどうすればいいか
残念ながら、カジュアルマッチにもガチデッキはいる。 それと対戦拒否ばかりしていては、まともにゲームが遊べない。
そこでボクは、
ガチデッキ相手にもそこそこ戦えるカジュアルデッキ
を作ることを目指している。
本ブログ・チャンネルをよく見ている人であれば、 不安定なコンボに一点集中するロマンデッキ(例:『アースブライゼ』)が全然無いことに気付いているだろう。 それは、デッキの強さと完成度を意識しているからである。
もっとも、これはエンジョイ全開なデッキを使いたい人には取れない選択だ。 そういう場合には、
- 知り合いとルームマッチをする
- CP相手に戦う
- トレーニングモードなら、自分の作ったデッキをCPに使わせることも可能
というのが現実的な解決策になってくる。 自分がやりたいことを実現できるよう、上手い策を考えよう。
おまけ:自分語り
せっかくこの記事を書いたので、関連して自分の主義とこだわりを吐き出しておく。 関心がなければ読み飛ばしてください。
補足:リタイアの基準
ハッキリ言って、自分も「心が折れたとき」には精神の安定を保つためにリタイアすることが多い。 具体的には以下のような場面である。
- テンプレデッキのぶん回りや勝ち確定ムーブを食らった、もしくはすぐにでも食らいそうな時
- ハンデス・ランデス・シールド焼却などの嫌がらせを連打された時
- コンセプトブレイクのカードを使われた時
- 呪文デッキへの《スペル・デル・フィン》など
今までにボクにリタイアされたことのある方もいるかもしれないが、 コイツメンタル弱すぎだろ……と思ってどうかご寛恕いただきたい。
なお、リタイアの基準は動画を投稿するようになる前から変わっていない。 動画のネタにならなそうだからという理由でリタイアすることは、絶対にない。
対初心者デッキ
自分が初心者デッキと当たってしまったときには、「ゴメンネ……ゴメンネ……」とひたすら謝りながら戦っている。 なんならデュエルを楽しんでもらうために甘めのプレイングすらしているが、これは教育上良くなかったりするのだろうか。
ところで、カジュアルで【リーフメビウス】なり【5cフュージョン】なりを使っている人は、 そういう相手に対しても容赦ないプレイングをするのだろうか。
そもそも、初心者デッキをそうだと判別できている人はどのくらいいるのか。
世の人が初心者相手にどう振舞っているのかが気になった。
"優しい"デッキ
自分は、お互い最後まで楽しくデュエルできたらいいなという理想を掲げてデッキを組んでいる。
言い換えると、相手が途中で戦意喪失するようなデッキはあまり組まない。 そのため、《バレバイ》《宝剣》《ロスソ》《サファイア》など、相手を痛めつけるためのカードは好まない。 全く使わないわけではないが、その場合は早々にリタイアされても当然と思って使っている。
「カードゲームは相手が嫌がることをしてナンボだ」という立場の人からすれば、 ボクの"優しい"デッキ構築は面白くないだろうし、甘いとすら言えるかもしれない。 ここは本当に主義と趣味の話なので、各々好きにやってくれればいい。
ちなみに妨害系カードを積まないもう一つの理由として、 デッキがコントロールに寄るとグッドスタッフ性が高くなり、 結果として個性を出しづらくなるというのがあったりする。
ガチ?エンジョイ?
Youtubeのコメント欄に 「ガチなのかネタなのか分からない」 という趣旨のコメントが、ポジティブネガティブの両方寄せられていた。
例えばこちらの『グレゴリシギャラ』では、普段避けている《ゲキメツ》《ヘヴィメタ》が入っている。 パワーカードの投入を躊躇う気持ちと闘っていたものの、今回はデッキの完成度が大幅に向上する(≒入れない理由がない)と判断して投入した。
この辺の配慮と苦悩は、ガチはガチ・エンジョイはエンジョイで切り離して遊んでいる人には伝わらないと思うし、別に伝わる必要もない。
また、自分と似たスタンスで「テンプレ以外のデッキを開発したい」とデッキ開発に望む人たちもいることだろうが、 どの程度で「テンプレを外した」と考えるかは人それぞれ少しずつ違っているはずだ。 ボクに対しても、「もっと《ゲキメツ》入れたら?」という"ガチ寄り"の意見と、 「いかなる場合も《ゲキメツ》入れるのは甘え」という"エンジョイ寄り"の意見、両方が寄せられる可能性がある。
とにかく、自分は自分の流儀に従うので、それが刺さる人に刺さってくれればいい。
おわりに
DCGの販売戦略を考察する記事では、 しばしば開発側の「ランクマッチ・ガチ勢重視」という姿勢が指摘され、問題視される。 確かにそういう面もあるかも知れないが、 ボクとしてはカジュアルマッチでも楽しく遊べるよという心持ちである。
しかし、カジュアルマッチがガチデッキに侵食されるようなことがあれば、 ライトな遊び方をしている層が離れ、ゲーム全体の衰退が早くなってしまうだろう。
レート変動のないマッチングを「フリーマッチ」という名前で実装するゲームもある中で、 デュエプレが「"カジュアル"マッチ」というネーミングを採用しているのはとても気に入っている。 そういう意味でも、カジュアルマッチにはもっと"カジュアル"で面白いデッキを持ち込む人が増えてほしいと願うばかりだ。
*1:無意味かつ意図的な遅延、挑発的なプレイヤー名など、明らかな迷惑行為を除く