はじめに
第3回デュエプレデッキビルド杯入賞者の皆様、おめでとうございます。 惜しくも入賞を逃した皆様も、投稿お疲れさまでした。
入賞デッキを一通り回してきたので、レビューしていこうと思う。
デッキへのコメントは、あくまで個人的な視点から。 入賞したヤツが偉いので、「うるせー負け犬!」と蹴っ飛ばしてくれていい。 そもそも、ボク好みにチューニングすると入賞できないかもしれない。
入賞したいよ~~~。
No.1『カウンタードデビル』
概要
マッドネス起動要員《スナイプ・アルフェラス》《封魔ジョーズジャクス》を元から持っている【グランド・デビル】に、 《バイケン》を入れてアレンジした型。 元の基盤がしっかりしているので、安定した立ち回りが期待できる。
【グランド・デビル】はあくまで種族デッキなので、 マッドネスクリーチャーを大量に積むことはできない。 マッドネスは1~2枚出せれば御の字という観点から、手札をすべて捨ててしまう《ヒャックメー》ではなく、 1枚だけ捨てられる《サルトビ》が適任だ。
コメント
見立て通り、【グランド・デビル】として回せるので戦いやすかった。 純正に比べると不純物が多いため、プレイングは若干難しくなる。
【グランド・デビル】は候補パーツが多いので、各々で細かいカスタムができる。 以下は自分用のメモである。
- 準バニラの《エリゴウル》より、《フォルカロル》や《アガシオン》のほうが好き。
- 《マーキュリー》よりかは3枚目の《ネプチューン》が欲しい。
- 《ハンド》よりは、トリガーした時に美味しい《ミスティック・ガストゥール》。 《キング》意識かもしれないが、マッドネスは《キング》耐性があるし、 最悪軽量ドデビルを生贄にして《ネプチューン》で返せる。
- 《アスティマート》は強力なカードだが、 手札に抱えてきたマッドネスをリセットしてしまうので若干噛み合わない場面も。 削りのためのカードなら、《魔皇グレンベルク》もアリ?
メタ的視点
マッドネス系の投稿が41件。 うち、《ヒャックメー》《リドロ》《アントワネット》のいずれも入っていないレシピは、この作品含め6件。 この3枚は第1回『マッドネスティラノ』に入っていたカードなので、選考時に避けられた可能性がある。
マッドネス×ドデビルはもう1件あったが、そちらにはなぜか《バルディオル》が入っていなかった。
残り4件のうち1つは《チェンジ・ザ・ワールド》《インフェルノ・サイン》のドラゴン型で、これは第2回入賞の 『ロレンツォグール』と被る。
あと3つは、同一レシピが起源の『マッドネスエルレヴァイン』。 これも奇抜で面白い構築だ。当落線上にあったのではないかと思っている。
『カウンタードデビル』は、第1回入賞の『マッドネスティラノ』のみならず、 第2回入賞の『プルート・デス・ドンキ』とも一部パーツが被っている。 出来の良いものが作れれば、過去の入賞デッキとコンセプトが似ていても大丈夫ということらしい。 3つの共通点は、マッドネス軸以外のプランがしっかりしている点だ。
No.2『逆転獄門バイオレンス』
概要
《逆転のオーロラ》《ガブリエラ》の耐久コンボの補助に、《ラスト・アヴァタール》を採用。 締めは《バイオレンス・フュージョン》でドッカン。《獄門》があるためAD限定構築。
シールドが無い時に出したい《ガブリエラ》と、 シールドが残っている時に出したい《アヴァタール》で相性補完ができている。 《アヴァタール》から入ってさらに《ガブリエラ》を出せれば、確実に2ターン耐えることができる。 《アヴァタール》の3ドローで《ガブリエラ》を引き込めたら芸術点カンスト。
《オーロラ》《ガブリエラ》に《獄門》まで入れると、この時点でデッキが4色。 ここに《アヴァタール》を入れると5色になってしまう。 普通なら、コンボデッキで色が増えすぎるのは避けたい。
しかし、このデッキはむしろそれを逆手に取っている。 《ミラクル》《デリンダー》の5c基盤を利用し、 決まり手として十分すぎる上にゴッドがサブプランにもなる《フュージョン》を採用した上で、上手く40枚に収めている。
コメント
さーて、コメントするためにもまずは回してみないとな。……ん?
ああ分かったよ、作りゃいいんだろ!!!
【5c】も【フュージョン】も回したことがないデュエプレにわかなので、プレイングは若干怪しかった。 その上、《オーロラ》で何枚ブーストするのか(《アヴァタール》を使いたいなら盾0枚にするのはマズい)、 《ガブリエラ》《獄門》をいつまでキープするのかといった、普段考えないような難題が襲いかかってくる。
が、その分上手くハマったときの気持ちよさは格別。 ブン回った【メカオー】を《アヴァタール》《ガブリエラ》で止めて勝った試合は脳汁ドバドバだった。
弱点は、トリガーがほぼ無いため序盤に躓くと取り返しがつかないこと。 《アヴァタール》のマナまで辿り着けず、何も出来ずにやられるパターンがあった。 これはコンセプト的に切るべきか。
《イングマール》さえあれば《獄門》で勝てたのに!という局面があったので、 1枚くらい挿してもよさそう。 サーチ対象が多い《G・A・E》も候補入りする。
メタ的視点
『オーロラガブリエラ』の投稿は15件。公式のコメントにもあるように、《獄門》《イングマール》型、 《ミルザム》《アルファディオス》型などがあった。
その中で、《アヴァタール》が入っているのは今回入賞のレシピのみ。 やはりここがポイントだったと思う。
No.3『雷撃ファイナル』
概要
《ヴァルキリアス・ムサシ》から《維新の超人》を発射し、 《THE FINAL》をクロスしてぶっ飛ばすロマンコンボ。
タッチ白で《フォトン・クロック》と《ピュアザル》を投入し、 G・ブレイクのトリガーカウンター要素を生かしている。
さらにコンボ要員として、《エルメテウス・雷撃・ドラゴン》。 相手全体に5000火力を撃つことができる。 《維新》と同じコスト7なので、この2種を《ムサシ》で呼びたいときにはプレイングに注意。
進化元は《バルット》《ジャック・ライドウ》の2種・8枚に絞り、 《マッハアーマー》や白トリガー、《ナチュラル・トラップ》なども数を調整。 苦労して空けたスペースには《ライフ》《石版》をフル投入し、 デッキの回転率を上げている。
コメント
コンボ以外の部分を優良カードで固めてあるおかげで、無難に回せる。 ここを変えたい!という箇所は特にない。
コンボ決定率はそこそこ。 種が《バルット》《ライドウ》しかないのが若干気になった。 《石版》を2枚ほど《キヨマサ・コムソー》にしてもいいかもしれない。 が、進化できない場合は《維新》手出しで突っ込めばいいという説もある。
《フォトン・クロック》《ピュアザル》は、ご都合ムーブと割り切るべし。 この枚数だと、シールドから出てきてくれることに期待はできない。
相手のブロッカーが重たい。 《センジン・スタリオン》1積みでメタっているものの、 《バルット》で《FINAL》を持ってきた日には仕入れるタイミングがなくなる。
メタ的視点
《FINAL》を使ったデッキの投稿は約70件。 大きく分けると、
- 《ピュアザル》《ネビュラ》型
- 《維新》型 ←《ムサシ》はあったりなかったり
- 《フルスロット・サージェント》型
- 《ロスチャ》《アシカガ》型
- トリガー《天門》《ミルザム》型
があった。
このレシピは、《維新》型に《ピュアザル》型のパーツを取り込んで多くの要素をカバーしている。 《エルメテウス》とのコンボを盛り込んでいたのもこれだけだった。 さらに、デッキ全体が回しやすく仕上がっているのも特長である。
要素の多さ・唯一性・再現率、3点揃った文句なしの入賞と言える。
ちなみにこちらの方、 なんと第1回の『ジェントルアイ』に続いて二度目の入賞である(※TwitterIDが変わっているので注意)。 ビルド杯選考スタッフのハートをガッチリ掴んでいる。
No.4『魔弾の担い手達』
概要
デイガカラーのビート型ナイト。 小型を並べて、《バクレツ・ストライク》で特攻を仕掛ける。
《ヴァルアーサー》は、どこかで出した《ブラッディ・シャドウ》の上に乗せられるとベスト。 《ドラム》で呪文を軽減しながら、一気に4~5枚ブレイクを狙いたい。
注目すべきは、ビートダウンにもかかわらず入っている《バレット・バイス》。 公式コメントでは「攻撃だけでなくコントロールもこなせる」と、この二刀流を評価している。 自分だったらまず入れないカードだが、ここは公式コメントを信用しよう。
コメント
《バレバイ》は変なところで刺さって面白かった。 ハンデスで咎めるしかないぶん回りもあるので、これは十分にアリだ。
しかしながら、元レシピのままだと全然勝てなかった。 どうブログに書こうか……と絶望して製作者さんのTwitterを見に行ったら、 下のようなツイートがあった。
デッキビルド杯に受賞して嬉しかったので、自分で何度か回してみたけど《ドンキノフ》が少し扱いづらかったので《デュアルザンジバル》に変更しました
— つっつん(旧Leinn_Evo) (@Leinnbullet) 2021年12月24日
受け性能とコントロール性能が若干上がると思うので、もし【魔弾の担い手達】を使って下さる方がいたら是非(・ω・) pic.twitter.com/k9yiAb2Ole
早速《ドンキノフ》→《デュアル・ザンジバル》にして回してみたところ……。
回る。ちゃんと回る。 カードをたった1種類差し替えるだけで、見違えるように改善した。
一番大きいのが、《アヴァ公》のドロー枚数が増えたこと。 実際に《デュアル・ザンジバル》を撃った回数は多くないが、手札に余裕ができたことで、場の展開やハンデスにまで手が回るようになった。 一方の《ドンキノフ》は、コスト軽減が活かせるのが「《ドラム》不在時に《バレバイ》を撃つ場面だけ」だったため、抜くのは妥当だと思う。
あとは《クリティカル・デストロイヤー》を2枚ほど入れておくと良いと思う。
このデッキからは得るものがとても多かった。 製作者さんとこれを選んだ公式に感謝し、ボクのデッキ構築理論をアップデートする。
メタ的視点
《バクレツ・ストライク》を入れたビート路線のナイトは10件(赤黒で3キルを狙う速効型は除く)。
カラーリングは、デイガ4、ラッカ4、クローシス1、赤緑1。 構成はどれも少しずつ違っている。
この中から1つ選ぶのは難しいが、今回の選考ポイントを推測するなら、 「《バレバイ》入りの中で最も構築のまとまりの良いもの」ということになるか。
ちなみに、このデッキの製作者さんは↑でカウントしたクローシス型も投稿している。
No.5『バルクライキングダム』
概要
《ヴィルジニア》で《バルクライ》を吊り上げてビートダウン。 《バルクライ》からは《アマテラス》を吊って、山から《フォトン・クロック》を唱えてアンタップする。
《ヤミノシーザー》《ボーンおどり・チャージャー》に加え、狂気の《ストリーミング・チューター》搭載。 墓地を乱暴に肥やしまくり、《バルクライ》で吊り上げるカードを準備する。
《チューター》には、《アマテラス》の探索に引っ掛かる呪文を3種類に絞りたいという意図がある。
コメント
ハッキリ言おう。イカれている。
《バルクライ》を確定で落とせる《ロスチャ》ではなく、ランダムに2枚を落とす《ボンチャ》。 手札補充と墓地肥やしを両立できる《ブレイン・タイフーン》ではなく、墓地だけを大量に増やす《チューター》。
何食ったらこんな構築ができるんだ。でも入賞してるから勝ちなんだよな。おめでとう。
使っているとだんだん頭がバグってきて、 「1枚でも多く墓地を増やさなければ……」という謎の使命感に駆られる。 そして何戦も戦ってしまう。カジュアルマッチにて、入賞作の中で一番見かけたのもこのデッキだった。
書いていて「『再現率の高さ』とは……?」という素朴な疑問が浮かび上がってきたが、これはこの形で良いのだと思う。
メタ的視点
前記事で解説した通り、《ヴィルジニア》から《シーザー》以外を出すデッキは約40件で、うち《バルクライ》《アマテラス》《フォトン》は2件。 ボクが入賞予想に挙げたのはもう1件の方だったので、入賞作発表時には「そっちかーい!!!」とツッコミを入れていた。
てか今見たらもう1件のほうも《ロスチャ》入ってなかったわ。 ボクにはこのゲームが分からない。
諸説あるかも知れないが、 《エマタイ》《ロスチャ》《ブレタイ》《フォトン》から3種類に絞る場合、 ボクなら《エマタイ》を抜く。 もはや、《アマテラス》対象呪文が4種類になっても良いのでは?とすら思う。 4種類積んで75%を外すよりかは、《バルクライ》を墓地に準備できなかったり、 山を削りすぎて《フォトン》が残ってなかったりすることのほうが起こりやすいような。
No.6『水闇自然呪文墓地ソース』
概要
アナカラーの《フェルナンドⅦ世》。
《ライフ》《石版》《ダライフ》の3種類を積んで、 《フェルナンド》および《パンダ・ブーリン》の早出しに特化。 クリーチャーもわずか7体と、極限まで呪文比率を高めている。
ちなみに製作者さん曰く、「50回対戦してクリーチャー7枚に辿り着いた」とのこと。 入賞したいなら実戦を考えないほうが良いとすら思ったこともあったので、 こうやってじっくり調整したデッキが入賞したのは良かった。
コメント
見た目以上によく出来ていた。
《怨念集結》を採用する人が多い中、《デュアル・ザンジバル》は面白いチョイス。 《フェルナンド》が苦手な小型横並べの処理、《パンダ・ブーリン》を立てた上で序盤の軽量除去として使える。 一方で除去トリガーとしては頼りないため、一長一短とも言える。
クリーチャーが少ないことの弊害とも向き合わなければなるまい。 SA化手段も無いため、除去を当てられ続けると殴り手がいなくなって詰む。 そうならないために、終盤山を削らずに墓地回収できる《ソウル・キャッチャー》、 《花籠》《ナチュトラ》から立て直すための《ピクシー・コクーン》などがあると便利そう。
《ネオン・ウインド》は手札が減ってイヤなので、 2枚ほど《エナジー・ライト》かバウンス呪文などに差し替えたい。
総合的な強さで行くと、《イナバ・ギーゼ》を積んだクローシス型のほうに分があると思う。 しかし、アナ型には墓地とマナ両方に呪文を溜め込む楽しさがある。 ゲーム体験としてはアナ型のほうが面白いという印象。
メタ的視点
《フェルナンド》入りのデッキは32件。 カラー分布は、青黒9, クローシス8, アナ5と続く。
このレシピの唯一性は公式コメントの通り、クリーチャーの数とブースト呪文である。
ところで、一般的に《フェルナンド》以外のアタッカーは《イナバ》か《ブーリン》が主流。 両方を試したあとで投稿作品たちを見直して、「やっぱりこのどっちかだよな」と確認しているとき、ヤバいレシピを見つけた。
マナは4~5マナ圏で止めて、ドロー連打で《コスモビュー》を目指す。 手札が溢れても、墓地に呪文が溜まるので問題ない。
このレシピは、最終的に《フェルナンド》が1~2マナで出るためマナが要らなくなるという、 《フェルナンド》を使ってみて初めて気付ける特性に着目しているのだと分かった。
バカに見えて理に適っているのが面白いのだが、 こういうデッキは初見で動き方のイメージがつかないため(自分もそうだった)、選考では不利かもしれない。 また、手札上限という消極的に実装しているシステムを"悪用"しているのも議論を呼びそうである。
選考基準について
今回の公式選考基準はこうらしい。
◆選考基準 DMPP-11 戦極大決戦収録のカードを1種以上使ったデッキの中から、 デッキの強さだけではなく、コンセプトの斬新さや再現率の高さ、デッキのこだわりポイントなどを総合的に判断して選考いたしました。
「再現率の高さ」は、第1, 2回には無かった評価項目である。 デッキがちゃんと回るかどうかにも目を向けてもらえる、ということでいいだろうか。
実際、今回は選考の傾向が変わってきている。
第1,2回は、コンセプトの次元で斬新なものが選考されていた。 デッキの基盤をゼロから作る、完全なアイデア勝負だったといえる。
対する第3回の入賞ラインナップは、デッキ基盤やキーカード自体の奇抜さは薄れている。 代わりに、同系列の作品との差別化と、デッキ自体の完成度が重視されているように思える。
今の所、自分が思う選考方針はこんな感じ。
- 基盤ごと新しいものを作る。または、既存デッキタイプ内でオンリーワンの個性を出す。
- 要素を多く拾う。
- 再現率もある程度意識。
- 特定の1枚に寄せすぎない。
- 投稿日時は関係ない。
自分の入賞予想は、『フォトンバルクライ』で2択を外し、他は全てピントがずれていた。 『逆転獄門バイオレンス』『雷撃ファイナル』あたりは、新傾向を対策すればピックアップできそうな気がする。
おわりに
別に辞めるわけじゃないけども、デッキビルダー自称してるのにビルド杯入選できないってもはや何のためにデュエプレしてるのかって話なんだよな。
— ミケガモ (@nusu_fkr453145) 2021年12月24日
気を引き締めるためにup。
しかし正直、第2回に自分で投稿した『石碑ギフトロレンツォ』を超えるデッキを生み出せる気がしない。
あれが入賞できないなら一生ダメだろうと思えるし、 仮にテキトーに作った変なデッキがひょこっと入賞しようものならそれはそれで微妙な気分になる。
でも本気で、いつか入賞したいと思っている。 再現率の高さは、熟練のデッキビルダーには明らかに有利な評価条件なんだ。 頑張るぞ。