はじめに
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この記事では、DMPP-08EXの対戦環境を総括する。 想定はガチ対戦である。
直前のDMPP-08環境と被る部分については、説明を省略している。 DMPP-08環境の記事も併せて読んでほしい。
デッキレシピはTwitterの投稿から引用させていただいた。 削除要望があればコメントまで。
環境初期
まずは8弾EXで大幅に強化が入った、ティラノ・ドレイクとアーク・セラフィムが注目を浴びる。
グランド・デビル? ここらでは見かけないねぇ……。
【赤黒ティラノ・ドレイク】
https://twitter.com/roubanrei02/status/1395230102565265409?s=20
EXパック発売直後に大流行したのは、 目玉SR《覇竜凰ドルザバード》を軸にした【赤黒ティラノ・ドレイク】。 盤面制圧の《超竜騎神ボルガウルジャック》、 条件付き4-9000SAのWブレイカー《キラ・ゼクス・ドラグーン》も従えており、 フィニッシャーが充実している。 赤黒基軸というヒロイックな種族だけあって、リリース当初は相当の人気を博していた。
しかしながら、クリーチャーのパワーが低いこと、 アドバンテージに直結するカードがほとんど無いことから、環境に食い込むことはできなかった。 紙の頃よりははるかにマシだが、いかんせん軽量カードの絶対的スペックが足りていない。 特に、《竜極神メツ》で《竜音のキラ》をはじめとする主要カードが軒並み焼かれてしまうのは絶望的である。
【白緑アーク・セラフィム】
同じく早期から組まれていたのが、《聖帝ソルダリオス》を軸にした【白緑アーク・セラフィム】。 《ソルダリオス》は《パンダネルラ》よりも1コスト重いため、速度は出ない。 その代わりに、デッキ全体が高スタッツのカードで固められている。 《霊騎ラディア》の踏み倒しがあるだけで、【パンダネルラ】との差別化は十分。
こちらは、【ティラノ・ドレイク】よりは環境で戦えている。 ビートキラーの【アポロヌス】【ツヴァイ】を除けば、概ねどのデッキにもバランスよく戦える。
純正の白緑型の他に、《霊王機トリファリオン》をねじ込んだ【トリファリオン型】、 《ソルダリオス》がビーストフォークも踏み倒せることに注目し、《霊翼の宝アルバトロス》(とついでに《ゲキメツ》)を組み込んだ【黒リース型】も見られる。
https://twitter.com/flamme_ocelot/status/1393069179461259264?s=20
環境中~後期
8弾EXのテーマは、環境を塗りつぶすほどのパワーはなかった。 次第に、各カードのグッドスタッフ性に注目したデッキが環境に進出してくる。
【4cアガピトス】
《連珠の精霊アガピトス》が、新たに《居合のアラゴナイト》を獲得。 《アガピトス》のタップ効果と合わせると、即座に5000以下のクリーチャーを1体除去できる。 赤マナが確保しやすくなったことで、《竜極神》も気軽に採用できるようになった。 以前から使用率の高かった《アガピトス》が、もう一回り上の強さを手にすることとなる。
このデッキの基盤となっているのは、
- 《霊騎幻獣ウルコス》
- 《居合のアラゴナイト》
- 《連珠の精霊アガピトス》
- 《竜極神》
の4種。 残りの枠の自由度が非常に高いため、様々な型が見られる。
比較的初期に開発されたのが、 《聖騎士ヴォイジャー》《霊翼の宝アルバトロス》を積んだビートダウン型。 SAを持つ《アラゴナイト》の攻撃力に注目した形である。
https://twitter.com/kurage_akira/status/1386679321926934535?s=20
その後、環境に合わせて研究が進み、 《G・A・E》《光神龍スペル・デル・フィン》搭載のコントロール型が出現した。 【天門】やミラーマッチ、後述の【驚天ビート】を意識した構築になっている。
https://note.com/fafa_6843/n/na38863cb2d58
さらなる派生形として、《ゲート》《サファイア》のギミックを組み込んだレシピを紹介しておく。
https://note.com/sos_duel1125/n/n2458cc92a64f
これだけ様々な型が見られるのは、 やはり《アガピトス》《竜極神》のグッドスタッフ性がずば抜けているからにほかならない。 高速のデッキに対しても、《フェアリー・ギフト》からの《アガピトス》《メツ》などがあるため、対応力が高い。 ハンデスに若干弱めだが、ほとんどのデッキタイプを満遍なく相手にできる強デッキである。
余談だが、このデッキタイプは有名配信者の影響で「クレケン」と呼ばれることがある。 《ケンジ・パンダネルラ》が入っていない「クレイジーな」「ケンジ」ということらしい。 訳の分からないネーミングに見えるが、このデッキの原型は、 《アガピトス》《アルバトロス》《竜極神》といったグッドスタッフカードを積み込んだ【黒リースパンダネルラ】にある。 初めに現れたのがビート型だったのも、そういう経緯があってのことだ。
【驚天ビート】
https://note.com/lochan00/n/nc234cf57602e
https://note.com/merunia/n/n77963e76cadf
新カードを使ったデッキタイプとして遅れて現れたのが、【驚天ビート】。 《驚天の超人》は、発売前は評価が分かれていたカードだった。 しかし、4ターン目にT・ブレイカーが殴りかかってくるのは普通に強かった。
相手クリーチャーが出てきても、そのcip効果を無効化するのが強みである。 小~中型のcipクリーチャーでアドバンテージを稼ぐデッキに対しては、特に有利を取れる。
このデッキタイプも確定枠が《驚天の超人》《運命の選択》の8枚しか無いため、自由度が非常に高い。 うっかり殴り負けないように多めにトリガーが積まれるが、 それ以外はバリエーションが豊富である。
一例としては、 《腐敗勇騎ガレック》《アルバトロス》で戦術を広げる黒型、 速度を重視するリース型などがある。
既存のデッキタイプ
【ゲオアガピ天門】
https://twitter.com/9YbrKBRlBIKvTxV/status/1393220472511209479?s=20
【ゲオアガピ天門】に、《居合のアラゴナイト》が参戦。 《光神龍スペル・デル・フィン》なども候補入りする。 デッキパワーがさらに補強された。
【テクノロジー】
https://twitter.com/duedueprepre/status/1393819980035067905?s=20
https://twitter.com/D14433298/status/1392622555761020933?s=20
【テクノロジー】に、《キング・レムリア》《ラセン・チャージャー》が参戦。 分かりやすくプッシュを受けた影響で、使用者が増えている。 従来のリキッド・ピープル軸だけでなく、 グランド・デビルを入れて《魔皇アスティマート》で盤面干渉する型も出てきた。
【烈流パンダ】
https://twitter.com/jpjgjntdgjat/status/1386278695459966983?s=20
【パンダネルラ】の打点補強に、《烈流神》を採用した型が流行している。 《アクア・サーファー》をタッチで積む【青リース型】から派生したものと見られる。
詰ませ性能が向上している反面、事故率は上がっている。
DMPP-08EXのカードを使わないスタンダードな【パンダネルラ】も強い。
全体俯瞰
ND環境
8弾環境のデッキに、新たに【4cアガピトス】【驚天ビート】が加わった環境になっている。 この2つは新デッキかつデッキパワーが高いとあって、ガチ環境で人気である。
デッキパワー的には、【ゲオアガピ天門】【テクノロジー】がこれに加わる。 【ゲオアガピ天門】【4cアガピトス】【驚天ビート】【テクノロジー】の4デッキが、 8弾EX環境の主要デッキだと思う。
ここに、環境2軍として【パンダ】【アポロヌス】【ツヴァイ】【メカオー】【セラフィム】【ドルバロム】などが続く。
《アガピトス》&《アラゴナイト》、《メツ》の使用率が高いため、 小型クリーチャー展開からスタートするデッキはちょっとしんどい。 具体的に言うと、速攻系統や、【メカオー】【パンダ】【ツヴァイ】【アポロヌス】など。
それらのデッキは、【驚天ビート】対面が得意かどうかでふるいにかけられる。 【ツヴァイ】【アポロヌス】といったカウンター要素の強いデッキは、【驚天ビート】に対して優位なので、環境でもワンチャンスある。 一方、【メカオー】や速攻系統は【驚天ビート】対面もやや苦手。【メカオー】は、《ピラミリオン》《ガトリンガー》といった強力cipが《驚天》に引きずり出されやすい。速攻系統は、豊富なトリガーがキツい。
【テクノロジー】は、《アガピトス》が苦手な小型系デッキを抑え込んでくれているため、 かなり動きやすい環境。
【ドルバロム】は、【天門】や【テクノロジー】、 コントロール寄りの【4cアガピトス】に対して良く刺さるため、メタデッキとして一定の注目がある。
【除去コン】系のデッキは、主要4デッキが小型を出さないせいで役割対象がいない。 《アガピトス》をメタった構築にすることもできるが、結局【驚天ビート】には不利が付く。 《解体人形ジェニー》《マインド・リセット》等を積まないと、【テクノロジー】もキツいだろう。
AD環境
概ね、ND環境と同じような構図。 ここに、重要カードがADにある【カチュアサンダー】【黒緑速攻】【ブリザード】などがいる。
《カチュア》が出てくるのを嫌ってか、【驚天ビート】はNDに比べると存在感薄め。 【驚天ビート】を苦手とする速攻系統(【赤緑速攻】【赤白速攻】なども含む)は、 NDに比べると動きやすい。
コラム
《アガピトス》問題
巷では、《アガピトス》の使用率があまりにも高いことを嘆く声が多い。 しばしばナーフ論だの現状維持論だのが持ち上がるまでになってきている。
この問題が持ち上がってきたのは、《アガピトス》と《アラゴナイト》のシナジーがあまりにも強いからだろう。 今後の光の3コストクリーチャーの開発に支障が出るという意見もよく見られるが、 《アラゴナイト》以上に《アガピトス》を強くするカードはなかなか出ないと思っている。
議論をする際に忘れないでおきたいのは、《アガピトス》は
- 構築やプレイングの幅を広げるカードであること
- 単体で勝ちを狙えるカードではないこと
の2点である。 過去にヘイトを買いまくって殿堂入りした《無双竜機ボルバルザーク》は、 この2点とは真逆のカードだった。
一方で、白入りのデッキに高確率で《アガピトス》が入ってきて似たような構成になってしまったり、 小型クリーチャーがすぐにタップキルされてしまったりという、 別のベクトルの問題があるのも事実である。
仮に調整が来るとしたら、
- コスト7にする
- パワー5500にしてW・ブレイカー削除
- ブロッカー削除
- コスト3の光単色に限定
- タップ効果を消す
などがあるか。
ちなみに、「コラボカードだからナーフを免れている」という説があるのだが、 仮にそれが真実なのだとしたら、調整班には今すぐにその思考を捨て去ってほしいと思う。 コラボカードだどうだなど構わず、普通に調整したらいい。
環境デッキにドロソは不要?
【4cアガピトス】の構築を見ると分かるように、 このデッキには手札枚数を増やすドローソースがほとんど入っていない。 7コストの《ゲキメツ》、構築によっては9コストの《スペル・デル・フィン》まで入れておきながら、 リソースを取る手段が少ないというのは異様だ。 デッキ構築の基礎からは逸脱した形であると言える。
↓デッキ構築の基礎。
では、なぜそんなデッキタイプが環境最先端にいるのだろうか。
理由の1つ目は、デッキなどから他のクリーチャーを直接踏み倒せるクリーチャーは、 実質ドローソースに換算できるということ。
《アガピトス》のリクルートや《竜極神ゲキ》のリアニメイトは、少し柔軟に解釈してやると、 「ドローしてそのカードをプレイ」というステップを省略しているようなもの。 山札や墓地のカードを直接ボードアドバンテージに変換しているので、実質ドローソースと見て良い。
理由の2つ目は、1枚で実質2枚分の強さになるゴッドカードの存在。
デュエプレのゴッドは、カード1枚から2枚のクリーチャーを召喚することが出来る。 言い換えれば、ゴッドカード自体が1枚ドローするカードなのである。
理由の3つ目は、デュエプレはハンデスカードが弱いこと。
《ゴースト・タッチ》《汽車男》のナーフによって、序盤の強力なハンデスは無くなった。 結果、ハンデスを軸にしたコントロールは環境から絶滅してしまった。 ハンデスが来ないということは、必要以上に手札を溜め込まなくてよいということ。 それなら、手札補充はターン開始時のドローに任せ、トップデックを強くしようというのが適切な回答になるわけだ。 本家DMに比べると、ドローソースが薄めでも全然戦えるのがデュエプレである。
理由の4つ目は、ゲームスピードが上がっていること。
7弾以降、カードパワーのインフレによってゲームスピードが大幅に加速している。 アグロやコンボはもちろん、《テクノロジー》《バーロウ》《ゲオルグ》《ゲキメツ》など、 遅めのデッキも「決まればほぼゲームエンド」というカードを有している。 コントロール同士のジリジリした展開も無いことは無いが、 序~中盤のウェイトが重くなってきているのは確かだ。 悠長にドローソースを撃っている暇が無い試合が増えている。
おわりに
8弾環境から引き続き、8弾EX環境も創意工夫が重要な面白い環境になった。 ユーザーが作ったデッキは9弾環境で生き残れるのか、とても楽しみである。