ミケガモのブログ

先1ガードとはなんなのか【デュエプレ】

はじめに

「先1ガード」とは、「先攻1ターン目に《アクア・ガード》を出すこと」の通称である。 このプレイングは、一般的に悪手とみなされている。 そのため、一部のデュエプレユーザーがネタにすることがある。

「先1ガードにノートリで負けて頭抱えてる」

「先1ガードする人はツヴァイ8枚積んでるし盾にスパークも仕込んでる」

「強いのか試してみたら、そもそも先1ガードできなかった」

などなど(書きぶりは一部改変)。

プレイスタイルは人それぞれだし、最善のプレイができなかったからといって、 それが悪意ある批判を受けるようなことは断じてあってはならない。 が、流石に先1ガードに関しては、そこそこデュエマをやり込んだ層から見れば 「それはちょっとどうなんだ」という意見が出るのが自然である。

この記事の前半では、「先1ガード」が悪手であることを確認する。 そして後半では、「先1ガード」のメリットを探しながら、現実的になぜこれが無くならないのかを考える。

万が一真面目に「先1ガード」をしている人がいたら、主に前半部分を読んでそのプレイを考え直してほしい。 一方、ある程度プレイに自信がある方は、主に後半部分を読んで「先1ガード」の背景を一緒に確認しよう。 そして、全貌を理解した上で、「先1ガード」を一つのネタとして昇華できるようになってほしい。

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こんにちは。

前提

デュエプレで先1ガードが起きうるのは、6弾から存在するデッキタイプ【青単ツヴァイランサー】。 小型のリキッド・ピープルを大量展開し、 《クリスタル・ツヴァイランサー》をG・ゼロで召喚して一気に殴ることを目指すデッキである。

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実は持ってない。

《ツヴァイランサー》のカードパワーが非常に高いのと、リキッド・ピープルが軽量かつ手札補充が充実しているのとで、登場以降環境トップに君臨し続けている。 テンプレレシピが広く普及していること、 必須SRが《ツヴァイランサー》4枚(+《超神星マーキュリー・ギガブリザード》2~3枚)で済むこと、 勝ち筋が直感的に分かりやすいことから、初心者でも比較的組みやすいデッキとなっている。

目標が分かりやすい一方で、プレイングは奥が深い。 序盤から素直に展開するだけでなく、あえて手札とマナを溜め込んでから一気に展開するパターンも取れる。 《ツヴァイ》を出しても、《マーキュリー》を組み立てるまで殴らないという手もある。 他にも、攻撃の順番や、《ツヴァイ》を引けない時にどうするかなど、選択肢が意外と多いデッキである。

ちなみに、画像を見れば分かるように、自分は【ツヴァイ】を使ったことが無い。 エアプなりに頑張って考えた上で書いているが、手落ちがあるかもしれないことをご承知おき願いたい。 有識者の方は、是非コメントで補足していただけると幸いである。

先1ガードのデメリット

まず前半では、先1ガードが悪手であることを確認していこう。

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別に君は悪くないよ。

最序盤にに活躍することは稀

《アクア・ガード》は、攻撃できないパワー2000のブロッカーである。 早く出したところで、攻撃するぞというプレッシャーを相手にかけることはできない。 少しターンが経てば、パワー2000を超えるアタッカーがすぐに現れて、ブロッカーとしての圧も弱くなる。

相手が《凶戦士ブレイズ・クロー》を積んでいるような速攻デッキでもない限り、 1~2ターン目の最序盤から活躍することはあり得ない。

割といつでも出せる

《アクア・ガード》の役割はブロッカー。 召喚酔いがあるアタッカーと違い、出してすぐに機能を果たせるため、早めに出しておく意味は薄い。

さらに、《アクア・ガード》のコストは1。 使用可能マナが1マナでも余るターンがあれば、そのときについでに出せる。 ゲームが終わるまで、1マナも余らせることなくカードをプレイし続けるというのでもない限り、 早めにコストを支払っておく旨味も無い。

手の内がバレる

デュエプレのランダムマッチは、相手のデッキが一切分からない状態から対戦が始まる。 使わないであろうカードはマナチャージしていくのがデュエマなわけだが、相手のデッキが未知である1~2ターン目は、 どのカードを使うことになるか判断がつかず、マナチャージに悩むことが多い。 さらに、相手のデッキタイプが判別できたとしても、相手がどのカードを使ってくるかは完璧には分からない。 メタカードを大事にキープしていたら、結局それが刺さる場面が来なかった……というのも良くある話である。

そこで、1ターン目に《アクア・ガード》を出したらどうなるか。 相手からしてみれば、こちらのデッキが【ツヴァイランサー】であることはほぼ確定。 もし相手が《ファントム・バイツ》《炎槍と水剣の裁》といった【ツヴァイランサー】に刺さるカードを引いていたら、 絶対にマナには置いてくれないだろう。 さらに、《コメット・チャージャー》《腐敗勇騎ガレック》といった、こちらのプレイ次第では有効札にならなかったかもしれないカードもキープされ、使われてしまう。 加えて、相手目線では2枚目以降の《アクア・ガード》が出てくる確率が下がるため、不意打ち《ツヴァイ》や《マーキュリー》に対する警戒度を下げられてしまう(その裏を読む、という話になるとややこしくなるが……)。

つまり、こちらの手の内が早々にバレることによって、相手の序盤のプレイングを楽にさせてしまうのである。

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逆に言うと、1ターン目《裁》埋めもちょっと危ない。

プレイの幅が絞られる

デュエマは、マナチャージとプレイするカードの両方を手札から捻出しなければならない。 1ターンに1枚ずつマナチャージをしていくと、先攻のプレイヤーが使えるカードは4枚しかない(手札補充しない場合)。 長期戦になるのであれば、その4枚には、マナコストの高い強力なカードに充てた方が試合を有利に進められる(例:3マナあったら《アクア・ハルフォート》>《アクア・ガード》)。

特に【ツヴァイ】の場合、《ツヴァイランサー》を1ターンに2体以上出して攻め込むのがベストな動きである。 よって、《ツヴァイランサー》は原則、マナに置かずに手札に抱え続けなければいけないカードとなる。 絶対にマナに置きたくないカードが入っているのにもかかわらず、1ターン目から《アクア・ガード》で手札を減らしてしまうと、 後に《ビジョン》などの使いたいカードが来た時にマナに埋めるカードが無くて困りかねない。 ハンデスなどされようものなら、目も当てられまい。

ということで、来たるべき時に強いカードをプレイするべく、序盤は手札を温存しておくのが大事だ。 少し大げさに言うと、「この後のデッキトップが2連続で《ツヴァイ》だとしてもマナ置きに困らないか?」と想像してプレイするべきである。

先1ガードのデメリットまとめ

先1ガードは、自分のプレイの幅を早い段階から狭めてしまうことになる。 早々と相手に手の内を明かすことで、いらぬ不利状況を招く可能性もある。 序盤に活躍するわけでもないので、もし1マナでも余るターンがあるなら、そのターンまで取っておいた方がマシである。

なぜ先1ガードはなくならないのか

ここからは後半、先1ガードが存在し続ける理由を考えてみたい。

先1ガードのメリット

先1ガードのデメリットを踏まえた上で、先1ガードがメリットになるのはどのような場合だろうか。 自分が思うに、先1ガードが合理的となるのは、

  1. マナを使い切り続けて《ツヴァイ》や《マーキュリー》が出せたとき
  2. 相手が速攻デッキで、《ブレイズクロー》を牽制できたとき

である(不確定要素が大きいため、「出せた」「できた」という形で書くしかないのがミソ)。

2番は相手のデッキが分かっているときにしか取れない行動なので、ここではいったん置いておく。

1番のパターンを考えてみると、

  • 《ガード》→《スクリュー》→《ハルカス》→ノーチャージ《ハルカス》, 《ツヴァイ》x2
  • 《ガード》→《スクリュー》→《エナライ》→2マナx2, 《ツヴァイ》
  • 《ガード》→《ガード》x2→《マーキュリー》

などの場合、先1ガードに意味が出てくる。ただし、いずれも手札の余裕が0~1枚程度しかないので、ドロー運は相当良い必要がある。

個人的にだが、1番上は比較的現実に起こり得る流れであるように思う。 《ハルカス》は《ハルフォート》でもいいし、 2体目の《ハルカス》は2マナ以下のリキピでも《ツヴァイ》が1体は出る(先1ガードのメリットは無くなるが)。

こういう上振れムーブを狙うならば、先1ガードは必要な行動だと認定できる。

ND版構築だとデメリットが少ない

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AD構築。

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ND構築。

AD構築の【ツヴァイ】には、4マナの《クリスタル・パラディン》《ストリーミング・ビジョン》が採用される。 当然、マナは4以上必要。《ビジョン》が撃てれば6マナくらいまでは無理なく伸びる。 《ビジョン》をプレイしたいこの構築では、1→2→3でリキピを展開するほど手札に余裕は無い。

一方、ND構築の【ツヴァイ】では、デッキ内の主要なカードはすべて3マナあればプレイできてしまう。 よって、前節で紹介した「1→2→《エナライ》」や「4t目ノーチャージ《ハルカス》」のような慌ただしいムーブをしても、 その後すぐに困ることは無い。 ADと違って短期決戦志向の構成なので、序盤に詰め詰めのプレイをするのもナシとは言えない。

ところで、沢山のデッキタイプを見てきたプレイヤー(特に紙版からやっている人)は特にそうだと思うが、

速攻以外のデッキがマナを3マナで止めることなどあり得ない

という先入観を持っているのではないか。 だが逆に、デュエプレの【ツヴァイ】のレシピだけを見た人は、どのような感想を持つだろう? 「このデッキは4マナ以上のカードがほぼ無いから、3マナあれば十分だな」という発想に至っても、何らおかしくはないではないか。 むしろ、そのように信じ込んでプレイを最適化していくというプレイヤーも一定数いるように思える。

前のめりなプレイヤー

前2節は最善のプレイングを前提に、先1ガードをできるだけ前向きに捉えて解説した。 だが現実には、「先1ガード→2パス」だったり、「先1ガードから3~4ターン目に《ツヴァイ》マナ置き」だったりと、 明らかに先を見据えていないイマイチなプレイも見られる。それも、初心者とは思えないランク帯でだ。 このようなデメリットの勝るプレイングすらまかり通っているのは、一体なぜなのか。

先1ガードをしてくる典型的なプレイヤー像とは、「《ツヴァイ》を早いターンに召喚することだけに集中する」というものである。 《ツヴァイ》は1体出せれば十分で、2体目が出せたら超ラッキー。 パッと見で繋ぎが悪くても、出せるものはすべて出しておいて、トップが強ければ全部解決。 ここまで極端に能天気な思考ではないかもしれないが、いくらか上振れ思想に偏ったプレイを続けている人も多いだろうという話だ。

そしてこれはなにも、【ツヴァイ】に限った話では無い。 特に急ぐ理由も無いのに、 《ガトリンガー》を出さずに《ヴィーナス》《マーキュリー》を組み立てて突っ込んでくる【メカオー】使い、 皆さんもランクマをやり込んでいれば一度は当たったことがあるのではないだろうか。

リソースを稼ぐことよりも、目の前にある切り札を出すことだけを考える。 そんな前のめりなプレイヤーは、きっと先1ガードをしてくるだろう。

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全種族を支援して欲しい。

咎めナシのことも多い

先1ガードが減らない現実的な理由として、 悪手だったと明確に認識してもらえるようなパターンがやってこないというのもあると思う。

初手5枚の中に4積みの《アクア・ガード》がある確率は、約42.7%。 先攻を取れる確率が半分なので、先1ガードができる確率は約21.4%, 大体5試合に1回ということになる。 その5試合に1回というのが、

  • 《ツヴァイ》や《エナライ》などをマナに埋めるなどして苦い思いをした
  • 軽量除去やハンデスに富んだ相手が、先1ガードを分かりやすい形で咎めてきた

という展開になったときのみ、先1ガードのデメリットを体験できる。 それも1回くらいでは印象に残らないだろうから、比較的短い期間に3~4回そのパターンに出会わなければならない。

さらに重要なのが、先1ガードが咎められたと認識できるかが、プレイヤーの視野の広さに依存するということ。 例えば、《ガード》に《コメット・チャージャー》を撃たれた場合(ブーストついでに除去されるのでかなりマズい)、 「じゃあ出さない方が良かったな」と後悔できるなら良いのだが、「いずれ撃たれるから仕方ない」と割り切ってしまうと、 それは失敗の体験とはならなくなる。

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一番分かりやすいお咎めカード。

こうして整理すると、先1ガードを正そうと思える機会が意外と少ないことに気付かされる。 自分のプレイングをじっくり見直したり、上級者のプレイを客観的に観察したりしない限り、 初級者プレイヤーがプレイを矯正するタイミングはなかなか訪れない。

先1ガードが存在する理由まとめ

先1ガードが活きるルートもあるといえばある。 NDルールに限って言えば、最悪3マナあれば全ての行動ができるため、それに賭けるリスクも低めだと言える。 それ以外だと、やはりプレイヤーレベルに差があるというのが大きい。

”後1ガード”はどうか

後攻1ターン目《アクア・ガード》、すなわち「後1ガード」も、先1ガード同様かなりの悪手だ。 しかし、先1ガードには無い利点もある。

後攻の場合、使える手札が5枚あるので、

  • 《ガード》→2マナ→《ガード》&2マナ&《ツヴァイ》 の3t《ツヴァイ》
  • 《ガード》→2マナ→《エナライ》→リキピx2&《ツヴァイ》x2 の4tダブル《ツヴァイ》

が可能となる。 先1ガードが活きるルートと同様、手札がめちゃくちゃに良くなければ不可能なムーブではあるが、 後攻という不利な条件を捲り返せる手でもあるので価値はある。

また、後攻の場合、相手のマナチャージを見ることができる。 除去が薄い、もしくはすぐに殴ってきそうなデッキと判断できるなら、《ガード》を早めに出しても問題になりにくい。 手札も多いため、自分のマナチャージにも余裕がある。 《ガード》召喚が大きく裏目となる可能性が少し下がるのだ。 手札が整っていれば、上記のスーパー上振れに期待して《ガード》を出す選択肢もないではない。

とはいえ、やはり《ガード》召喚に意味が出てくるシーンは稀である。 デッキバレやプレイ幅減のデメリットも依然としてつきまとう。 後攻であっても、基本的には1ターン目は様子見するのが無難だと思う。

自分の結論

先1ガードはデメリットの多い手である。 プレイスキルが足りないプレイヤーがやりがちという見解も、概ね正しいと思っている。 しかし、それが完全なプレイミスかというと、必ずしもそうとは言い切れない。 状況によってはそれが最善のプレイになりうるということも知っておくべきである。

おわりに

先1ガードは、デザートを我慢できない子供のようだ。 すぐ食べたくなってしまう気持ちも良く分かるが、 そのせいでメインディッシュを美味しく味わえなくなる可能性を考慮できていない。 面倒な大人から、「行儀が悪い!」とお叱りを受けることもあるだろう。 しかしながら、最終的にメニュー全てを完食できるのなら、一応問題はないのである。 さらに、料理が出来上がる順番によっては、先にデザートを食べておいた方がテンポ良く食事ができるというケースもある。 上手く行かなかったときには周りの人から「変わった人だな」と思われるだろうが、 それも個性というくくりで片付く程度の話でしかない。

自分は無闇な先1ガードはしないと思うが、これに通じるようなプレイをやってしまうことはしばしばある。 少しでも気を抜いていると、マナチャージの選定が甘くなったり、 除去札を切るべき対象を見誤ったり、 マナをちょうど使い切れるという観点だけで使うカードを選んでしまったりと、 木を見て森を見ずなプレイが後を絶たない。

人の振り見て我が振り直せ。 自分が適切なカードプレイをできているかどうか、 こういう簡単な例をもとに見直してみてはいかがだろうか。