概要
デュエプレのカード効果の中には、ランダム要素が絡むものがいくつかある。 ところがゲーム内では、その仕様について簡素な説明しかされていない。 そこで今回、仕様の実態を調査する目的で簡単な検証を行なった。 その結果、本記事では仕様が以下のようになっているものと結論付けた。*1*2
探索
「探索」は、対象ゾーンのカード種類数のみに依存する。
同名カードの枚数には依存しない。
1積みのカードも4積みのカードも、等しい確率で探索結果に表示される。
ランダム
「ランダムに」という効果は、対象ゾーンのカード枚数に依存する。
同名カードが複数ある場合、選ばれる確率は同名カードの枚数に比例する。 対象ゾーンに同名カードが4枚あるなら、1枚ある場合に比べて4倍選ばれやすくなる。
《黒神龍ガルバロス》
《黒神龍ガルバロス》の6種の効果は、どれも等しい確率で選ばれる。 また、効果対象のゾーンに影響を及ぼさない場合でも、その効果は選ばれうる。 例えば、自分のシールドが0枚の状態でも、「自分のシールドを1枚手札に加える」という効果が選ばれうる(その場合、何も起こらない)。
《緑神龍ハルクーンベルガ》
出た時にマナブースト出来る確率は、1/2である。
パワーアップ能力は、+2000, +3000, ..., +8000の7種類が等確率で選ばれる。
結果はどれも、効果の説明文を読んだ通りのものであった。
多くのユーザーも、既にこれと同じ認識を持っているだろう。
実戦では
「探索」の仕様により、対象ゾーンにカード種類数が多い場合、目的のカードが引っ掛かる可能性が低くなる。 よって、「探索」で目的のカードを持ってくる確率を上げたいなら、なるべくデッキに搭載するカード種類数を少なくした方が良い。
普通のランダム効果と比べると、「探索」は相対的に1~2積みのカードが表示される確率が高いことになる。この特性を利用すると、同じような役割で異なる名前のカード(例:《鎮圧の使徒サリエス》と《碧玉草》など)をあえて両方とも積んでおくことで、それらが「探索」に引っ掛かる確率を上げることも可能。
《無頼電磁アカシック・サード》《聖獣王ペガサス》《破壊と誕生の神殿》のように、デッキからランダムでクリーチャーを出す効果は、デッキに多く残っているクリーチャーほど出やすくなる。
「探索」のように、仕様の特性を使ってテクニカルなことができるわけではない。普通の感覚で使えばよい。 ランダムのハンデス・ランデスも、普通の感覚で運用すればOK。
公式への問い合わせ
実は検証の前に、こんな感じの文面で公式に問い合わせをしてみたのであった。
問い合わせメール送信が、9/22(火) 20:21。その返信が、9/23(水) 11:23に返ってきた。
全文は載せないが、回答の主旨は以下の通り。
お問い合わせいただいた件につきまして、大変恐縮ではございますが、アプリの仕様に関連する内容のため、ご案内を差し控えさせていただいております。
要するに、仕様についてはコメントできないということらしい。
TCGの感覚だと、プレイヤーからの質問に対して公式が裁定を出さないというのはあり得ない。 競技性を保つという大義の下、たとえどんなに面白おかしい状況に関する質問だったとしても、公式は真面目に回答してくれる。
一方で、普通のゲームだと、開発側がゲーム内の詳細な仕様に関する質問に回答するというのは考えにくい。 攻略情報の問い合わせとの線引きが難しいため、それを質問として認めてしまうと際限なく回答しなければならなくなるからである。
TCGから派生したDCGならば前者の対応をしてくれるのではないかと期待して質問してみたが、残念な結果になってしまった。
検証の詳細と結果
1~3は「種類数に依存」と「枚数に依存」の2つの仮説を検証。 探索に特定のカードが引っ掛かった回数が、もっともらしい方(期待値に近いほう)を採択。
《ガルバロス》は6つとも等確率であることを前提に検証。
1.探索
方法
デッキは
- 《魅了妖精チャミリア》x4
- 《アクア・トランサー》x4
- ほか1積み x32
山札に《チャミリア》《トランサー》が3枚残っている状態で、《チャミリア》のタップスキルを発動。 残り山札の枚数と、《チャミリア》《トランサー》が引っ掛かったかどうかを毎回記録。 探索は組み合わせ確率で、その回ごとに《チャミリア》《トランサー》が引っ掛かる確率を計算。*3 全部の回を合わせた引っ掛かる回数の期待値と、実際に引っ掛かった回数を比較。
結果
探索の試行回数は51回。今回の検証の全事象を合計した引っ掛かる回数の期待値は、
- 種類数:13.49回
- 枚数:24.76回
となった。
実際に引っ掛かった回数は、
- 《チャミリア》:13回
- 《トランサー》:18回
だった。
このことから、探索は種類数に依存するものと判定した。
2.《アカシック・サード》の変身
方法
デッキは
- 《アカシック・サード》x4
- 《アクア・トランサー》x4
- 《次元の霊峰》x4
- ほか1積み x28
デッキ内に《トランサー》が3枚、他クリーチャーは全て1積みの状態で《アカシック・サード》の変身能力を発動。 山札内の《サード》を除くクリーチャー枚数と、《トランサー》が出たかどうかを毎回記録。 その回ごとに《トランサー》が出る確率を計算。*4 全部の回を合わせた出る回数の期待値と、実際に出た回数を比較。
結果
変身の試行回数は75回。今回の検証の全事象を合計した《トランサー》変身回数の期待値は、
- 種類数:8.54回
- 枚数:19.98回
となった。
実際に変身した回数は、22回だった。
このことから、《サード》の変身先は枚数に依存するものと判定した。
3.ランダムハンデス
方法
「手札3枚、うち同名カード2枚」の状況でランダムハンデスし、どちらのカードが落ちるかを記録。
結果
試行回数は82回。 落ちたのは、2枚の方が51回、1枚の方が31回だった。
1枚の方が落ちる期待値は27.33回なので、それよりは少し多めに落ちている。 ただし、二項分布の累積確率を計算すると、今回の条件で31回以上落ちる確率は約23%もあるので、誤差の範囲内だと言える。
よって、ランダムハンデスは枚数に依存するものと判定した。
4.《黒神龍ガルバロス》
方法
《ガルバロス》の能力を何度も発動し、どの効果が選ばれるかを記録した。 念のため、全ての対象ゾーンにカードが存在する状況で効果を発動した。 出た時と攻撃時は区別しなかった。
効果は次の6つ。
https://dmps.takaratomy.co.jp/faq-cardrule/no-0069
結果
試行回数は200回。 各効果の選ばれた回数は以下の通り。
能力 | 回数 |
---|---|
効果1 | 31 |
効果2 | 32 |
効果3 | 25 |
効果4 | 40 |
効果5 | 43 |
効果6 | 29 |
各回数の期待値は33.33回。 今回の検証で期待値から最も外れているのは、効果5だった。
二項分布の累積確率を計算すると、43回以上になるのは約4.44%。 少ないほうに振れる確率が同程度あることを考えると、95%信頼区間の範囲には収まっている。 そのため、今回の結果は誤差の範囲内だと考えられる。
よって、《ガルバロス》の効果は6つとも等しい確率で選ばれるものと判定した。
5.《緑神龍ハルクーンベルガ》
方法
- 召喚時にマナブーストできるか
- ターン開始時のパワー上昇
を記録。
結果
- cipブースト: 成功141回, 失敗146回
ブーストはほぼ半々になった。
上昇幅 | 回数 |
---|---|
+2000 | 140 |
+3000 | 138 |
+4000 | 117 |
+5000 | 114 |
+6000 | 144 |
+7000 | 142 |
+8000 | 140 |
パワー上昇は、+4000と+5000がやや少なめ。 とはいえ、等確率であることを否定するほどの偏りではないと思われる。
小話
本当は統計分布の分散も使って、今回の結果がどの程度もっともらしいのかを調べるべきだと考えたが、大変そうなのでやめておいた。
検証では《アクア・トランサー》と《エウロピカ》が大活躍。 《エウロピカ》は全部砕いてしまっていたので、3日前にインストールした検証用サブアカウントで4枚生成した。