一つ前の記事では、現デュエプレ環境のメジャーデッキを紹介した。 今回はデュエプレ環境で特に目立つカードを考察してみる。
強いカード
《光輪の精霊ピカリエ》
現環境を規定しているカード。 こいつがいるからパワー4000以上のクリーチャーが強いし、ブロッカー除去が強いし、アンブロッカブルが強い。白を積む理由とまで言える。 持っていない人はさっさと4枚作ってしまおう。
現在唯一のキャントリップ持ちブロッカー。 対速攻になんとか間に合うコスト4にして、大抵の非進化クリーチャーを黙らせるパワー4000。 光のブロッカーなのでクリーチャーも殴れる。 さらに種族は、《聖霊王アルカディアス》に進化できるエンジェル・コマンド。 ブロッカー除去のカードは多いが、1枚ドローのおかげでアドバンテージを失うことがない。 序盤から終盤まで、とにかく腐る場面が少ない1枚である。
デュエプレの環境ではオーバースペックだが、それもそのはず、コイツは2015年リリースのDMD-28からの刺客なのである。 抜擢されたのは間違いなく《アルカディアス》を活躍させるためだろう。 初期DMのエンジェル・コマンドはどれもコストが重かった。 聖拳編DM-12で登場したコスト5の《青嵐の精霊バルキア》 でさえ、《アルカディアス》の進化元として重宝されていたくらいだ。 《アルカディアス》のカードパワーは、進化元の重さを踏まえてデザインされたものだったのである。
デュエプレ環境では、単体で強い《ピカリエ》がデッキに積まれる。 そのため、それに文字通り乗っかる形で、《アルカディアス》が色々なデッキにすんなり入ってくるようになった。 《アルカディアス》支援のカードとしてはこれ以上ない活躍をしていると言えよう。 それでも《アルカディアス》一強にならないのは、他の収録カードとのバランスが絶妙だからだろう。
《クエイク・ゲート》
こんなカードあったっけ?
コストに対して高パワーかつクリーチャーを殴れる光のブロッカーと組み合わせて使われる。 アンタップキラー付与はもちろんのこと、パワー+1000が地味ながら強力。 コスト踏み倒しが少ない現環境では、同じようなパワーのクリーチャーがお互いの場に並ぶ。 そのため、自軍のパワーラインを1000引き上げるだけで、相手を一掃できるのである。 状況によっては《ホーリー・スパーク》の上位互換となりうる恐ろしいカード。
ビートダウンが《ミラージュ・マーメイド》《ふたつ牙》などで爆発的なカードアドバンテージを取るのに対し、 コントロールは《クエイク・ゲート》で1:複数の交換をして対抗しているのが現環境となる。
環境でのカードパワー的に、このカードのレアリティはレアくらいが適正であるように思う。
《ホーリー・スパーク》
速攻・ビートが白を積む理由。これが最後のシールドから出れば勝ち。 現環境はT・ブレイカー(もしくはそれ以上)が少なく、クリーチャーの数で殴りに行くデッキが主である。 そのため、複数体を確実に止められるこのカードは非常に強力。 準速攻〜中速ビートの殴り合いにおいて確実に1ターン稼げるのは強いし、コントロールが場を固めてきた時にもこれ1枚で突破できるのは素晴らしい。 もちろん、《クエイク・ゲート》と同じようにタップキルにも使える。
本家DMでスパーク系を強く感じたことがあまりないのは、やはりシノビがいたせいだろうか。
《アクア・サーファー》
《ホーリー・スパーク》と一、二を争う強力トリガーである。準速攻~ビートのデッキを組むときには思考停止で4積みしてしまう。 いつ出てきても、なんなら普通に召喚しても強いが、真価を発揮するのはやはりビートダウン同士の殴り合いの時。 相手の場を1体減らしつつ、自分の殴り手を1体増やせるのがやっぱり強い。 本家をやっていたときにはここまで強かった覚えが無いのは何故だろう。単純に自分がビートダウンを組んでいなかったからか。
《ゴースト・タッチ》
使われると非常に厄介だが、このカード自体はただの1:1交換である。 その後に《エナジー・ライト》などを撃って、初めてアドバンテージを取ることができる。
今のデュエプレはハンデス環境と言われているが、正直なところなぜ今強いのかを上手く説明できない。 本家の方では、超次元環境で呪文コンが台頭してきた時に突然環境に現れた。 その時強かった理由は、《アヴァラルド公》で一気に手札を補充して《タッチ》を乱射する、という動きが強かったからである。 今のデュエプレにおいてそういった背景は無いはずだが、どういうことだろうか。 全体的なカードパワーが低いことと関係があると思うのだが…。
《ツインキャノン・ワイバーン》
スピードアタッカーのW・ブレイカー。それだけ。 それだけなのに強いというのが本当に面白い。 昔活躍できなかったのは《ヘヴィ・メタル》《パーフェクト・ギャラクシー》のせいだろう。 そのどちらもコスト7であることからも分かるように、7マナ溜まればもっと強いカードが沢山あったのもまた真実。
本家ではレアだったのが、デュエプレではスーパーレアに格上げされている。 環境を荒らしまわることを危惧しての調整だろう。この辺りは本当に絶妙である。
ちょっと残念なカード
《ダイヤモンド・カッター》
召喚酔いを無効にできないという予想外の弱体化を食らった1枚。 実際スピードアタッカー化は非常に強力な効果だったので、念を入れて弱体化させたのだろう。
しかしそれに目を瞑ったとしても、「バトルゾーンに7体までしか出せない」というデュエプレの仕様が追い打ちをかけてくる。 本来ダイヤモンド系のデッキは、大量展開して最後に一気に殴り殺すゲーム展開を取る。 ところが現環境では、相手が少量でもブロッカーを出してきた時点で1ターンフィニッシュは不可能。 仮にトリガーのせいで決め損ねたとすれば、アンタップ状態で残っているブロッカーが少ないために返しのターンで負ける可能性が本家以上に高い。 このように、このカードを使うデッキ自体のコンセプトがかなり厳しくなっている。
この効果なら、完全上位互換の《ダイヤモンド・ソード》を収録しても良かったのではないだろうか。
《ストーム・クロウラー》
「探索」が弱い。 特に《ストーム・クロウラー》は、ゲーム中~終盤に欲しいカードをピンポイントでマナ回収するためにコントロールデッキで採用されていた。 そのため、そこにランダム性が絡むのは致命的である。 《大地の咆哮》《二角の超人》など、回収できるカードが限定されている方がマナ回収として安定するのは、本家の事情とは正反対でなんとも皮肉である。
《コッコ・ルピア》
このカード自体は非常に強力だが、周りのカードがまだ充実していないためにそれほど活躍が見られない。 現在サポートを受けられるのは、
- 《ガザリアス・ドラゴン》
- 《ボルシャック・ドラゴン》
- 《バルキリー・ドラゴン》
- 《ミラフォース・ドラゴン》
- 《ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン》
の5体のみ。種族タイプとしてのドラゴンもアーマード・ドラゴンしか出ていないので、本領発揮にはまだまだ遠い。 いずれ《紅神龍バルガゲイザー》が現れるはずなので、それまでは雌伏の時だろう。